豊臣平和令と戦国社会

著者 :
  • 東京大学出版会
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  • Amazon.co.jp ・本 (275ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784130200738

作品紹介・あらすじ

戦国社会から信長・秀吉の天下統一期に対する通説的理解に根底的疑問を提出し,「豊臣平和令(惣無事令・喧嘩停止令・刀狩令・海賊停止令)」の発見を通じて,中世から近世への移行期の歴史像を豊かな史実によって再構成した労作.

感想・レビュー・書評

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  • 10数年前に読了。
    中世社会を覆う自力救済の考え方は、村落間紛争から大名間戦争に至るまで浸透していたが、全国統一を図る秀吉政権は喧嘩停止の法令を出し、政権が構築した「平和」の論理への服従と、それへの違反を私戦と位置づけ、政権への重大な敵対行為とみなす基本論理とした。但し、政権の認める戦闘は公戦であり、つまり「戦争」を管理するという意思を上から一方的に定めたものである。
    具体的には、大名へは惣無事令、村落へは喧嘩停止令、海の民へは海賊停止令となって発令される。有名なところでは、後北条氏と真田氏との名胡桃城問題に際しての、後北条氏滅亡にいたる端緒は、惣無事令違反を問うたものだ。また、喧嘩停止令から派生して、豊臣政権期と徳川政権期での刀狩の実相と意味の違いについての論述もなかなか面白かった。村落間紛争の論文は、学生時代に近世史ゼミで活用させてもらったような気がします。(笑)
    戦国社会の果てしなく厳しい「自由」の論理に対し、統一政権が作り出す「平和」の論理の対峙を鮮やかに描き出した好著。

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著者プロフィール

藤木 久志(ふじき ひさし)
1933年 新潟県に生まれる。新潟大学人文学部卒業。東北大学大学院文学研究科修了。群馬工業高等専門学校専任講師,聖心女子大学助教授,立教大学教授,帝京大学教授を歴任。現在,立教大学名誉教授。文学博士。日本中世史専攻。[主な著書]『豊臣平和令と戦国社会』(東京大学出版会,1985年)、『戦国の作法』(平凡社,1987年。1998年に平凡社ライブラリー,2008年に講談社学術文庫より増補版刊行)、『雑兵たちの戦場』(朝日新聞社,1995年。2005年に朝日選書より新版刊行)など多数

「2019年 『戦国民衆像の虚実』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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