- Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
- / ISBN・EAN: 9784130330404
作品紹介・あらすじ
戦争は必然だったのか。「太平洋戦争への道」を国際関係史の流れの中でとらえる。
感想・レビュー・書評
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現・ハーヴァード大学名誉教授(歴史学)の入江昭による太平洋戦争へ至る国際関係史概論。
【構成】
第1章 序論
1 はじめに
2 ワシントン体制への日本の挑戦
3 新ワシントン体制の可能性
4 人民戦線
第2章 日本の孤立
1 はじめに
2 中国における日本の武力行動
3 ドイツの対日接近
4 宥和政策
5 東亜新秩序
6 外交革命
第3章 反民主連合の進展
1 はじめに
2 東京とワシントンの動向
3 東京と南京の動向
4 ドイツの春季攻勢
5 国内新秩序
第4章 同盟の蹉跌
1 はじめに
2 三国同盟
3 英米同盟の形成
4 日ソ中立条約
第5章 戦争への道
1 はじめに
2 独ソ戦争
3 岐路に立つ日本
4 日本の開戦決定
第6章 結論
1 はじめに
2 東条内閣
3 ABCD陣営の戦争準備
4 真珠湾攻撃
本書は入江昭が1987年出版したThe Origins of the Second World War in Asia and the Pacific, Longman Group UK Limited, Londonを邦訳したものであり、緻密な実証による研究書ではなく、大学の学部生・一般向けに書かれたものである。
しかし、その内容に目を向ければ、国際関係論の泰斗である著者ならではのマクロな視点によるダイナミックな構造解析が行われている。
太平洋戦争の起源を語るということは中国を巡る国際関係を語るということに等しい。単純に日本の対中外交、アメリカの対日外交を論じるのではなく相互の関係性の中で繰り広げられる利害対立と政治力学を淡々と、しかし鋭く描写する。
太平洋戦争の開戦についての書物は満ちあふれているが、一般向けのほとんどの文献はとても「歴史」と呼べるような代物ではない。正統的な歴史学、国際関係論のアプローチによって提示される知見は、刊行から20年の歳月を経てもなお、色褪せてはいない。
欲を言えば、本書ではアメリカの対中国政策の意図が奈辺にあったのかということを含め、アメリカ政府の政策分析にもう少し紙数を割いて説明があった方がよかったのではないだろうか。詳細をみるコメント0件をすべて表示