官僚 (社会科学の理論とモデル 8)

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  • 東京大学出版会
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  • Amazon.co.jp ・本 (176ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784130341387

作品紹介・あらすじ

官僚の権力の源泉は何か。官僚の裁量の程度を左右する要因は何か。また官僚はどのような環境のもとで職務をとりおこなっているのか。ウェーバー以来の理論とモデルを紹介しながら官僚制の実態に迫る。

感想・レビュー・書評

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  • 【読書その92】 日本の政治学者で京都大学教授である真渕勝氏による官僚論。官僚制について、Mウェーバー等の理論などを説明しながら、論理的に行政学的に説明している。
    面白いと思ったが、官僚制は、ひとたび完全に実施されると最も困難な社会現象の一つになり、行政官僚に対してNPO等が対等に渡り合うためにはNPOもまた官僚制を整備しなければならないということ。たしかに政治・行政に発信力のあるNPOは専門能力のあるスタッフを常勤職員として採用し、給料を払い、階層的に組織している。
    また、非常に官僚として重要な指摘だと思ったのが、Pダンリービーのエリート官僚の行動様式についての分析。そこでは、エリート官僚は、地位、威信、影響、とりわけ仕事のおもしろさや重要性など、「金銭以外の効用」を強調する傾向があるという。収入よりも権力や威信、さらには特定の政策との同一化や仕事の熟練に対する自負心が官僚を動かす動機として重要であるという。確かに金銭よりも重要なものがあると思う。これにさらに、仕事のおもしろさや重要性だけではなく、社会をよくしたいという志を追加したい。
    そのほか、本書では、第一線公務員、司法官僚にもわざわざ章を設けて論じている。第一線公務員では、生活保護のケースワーカーについても言及があり、その仕事の裁量と一方で抱える深い悩みについても触れられており、共感ができる。

  • 2625円購入2010-08-02

  • 官僚の権力の源泉は知識である。それは、専門的能力にだけ由来するわけではない。経験に由来する。その通りだと思います。そんな時代は続くのでしょうか。

  • 行政学の教科書を読んだあとに、マックスウェーバーの官僚制論にいまいちピンと来なかった方におすすめです。
    ケースワーカーの事例などをあげて具体的に理解することができます。また、司法官僚制については最高裁判事を退官された方や現役判事の出版書籍はこれまでありましたが、それらを体系的にまとめて司法官僚制を分析しております。

  • 2005年の農水省のキャリア官僚には東大法学部が一人もいなかった。そのくらい人気のない職業なのだ。もう東大、官僚の時代じゃないんだよ。
    70年代以降、自民党政権が長期化し、利益団体の活動が活発になるにつれ、調整型官僚が登場した。
    日本では一般に行政、法律、経済の3つの試験区分で採用された官僚を事務官と呼び、それ以外を技官と呼んでいる。
    一般市民にとっては区役所にいる第一線の役所の人が一番身近。霞が関に行くようなことなんてない。

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著者プロフィール

京都大学大学院法学研究科教授

「2011年 『政治学 補訂版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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