試験の社会史: 近代日本の試験・教育・社会

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  • 東京大学出版会
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  • Amazon.co.jp ・本 (310ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784130530750

作品紹介・あらすじ

進学,卒業,就職,資格,昇進と現代人の一生に必ずついて回る試験−−.その「試験地獄」のルーツを明治期日本にもとめ,小・中・高・大学,さらに官僚・法律家・医師・教師などにわたって,試験と選抜の制度の導入と定着の歴史を描く. サントリー学芸賞受賞

感想・レビュー・書評

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  • 今後も「試験」は在り続ける。むしろ、高等教育を受けることができる機会が増えれば、試験の数は増えていく。入学試験の形態が変わったとしても試験じたいは無くならないだろうし、最近では卒業の統一試験の話さえある。一般化、客観化すればするほど、試験機能に頼らざるを得なくなる。本書を読んで改めてそう思わせられた。

    試験制度の歴史と関係人物から教育政策を、ダイナミックに描写する様相は、『大学の誕生』に通ずる。大河ドラマ的とさえいえる生きいきとした写実が、天野節なのだと思う。

    最近、そう難しくないことを、英単語のカタカナ表記日本語と、角ばった単語をあえて多用した論文を何本も読まされていた。本書を読んで久しぶりに「楽しい」と感じることができた。

    ★メリトクラシーは、日本の試験制度と密接に関わっている。知的能力は同じでも、生まれ育つ家庭が教育に価値を置く家庭か、経済的に豊かかどうかの程度で左右される。

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著者プロフィール

1936年神奈川県生まれ。一橋大学経済学部・東京大学教育学部卒業。東京大学
大学院教育学研究科博士課程単位取得退学。名古屋大学教育学部助教授、東京
大学教育学部教授、国立大学財務・経営センター研究部教授などを歴任。
東京大学名誉教授、教育学博士。
著 書 『試験の社会史』(東京大学出版会、1983年、サントリー学芸賞受賞;
     増補版、平凡社ライブラリー、2007年)
    『高等教育の日本的構造』(玉川大学出版部、1986年)
    『学歴の社会史』(新潮選書、1992年、平凡社ライブラリー、2005年)
    『日本の教育システム』(東京大学出版会、1996年)
    『日本の高等教育システム』(東京大学出版会、2003年)
    『教育と選抜の社会史』(ちくま学芸文庫、2006年)
    『大学の誕生』(上下、中公新書、2009年)
    『高等教育の時代』(上下、中公叢書、2013年)
    『新制大学の誕生』(上下、名古屋大学出版会、2016年)
    『帝国大学』(中公新書、2017年)他多数

「2019年 『新制大学の時代 日本的高等教育像の模索』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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