ピカソを見わけるハト: ヒトの認知、動物の認知 (NHKブックス 747)
- NHK出版 (1995年9月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (210ページ)
- / ISBN・EAN: 9784140017470
作品紹介・あらすじ
ヒトはどこまでハトか。近年、明らかにされつつある動物たちの意外な知的能力。ハトやオウム、アシカ、イルカなどの知覚・記憶・言語・推論能力を興味深く紹介し、人間の心と比較する。
感想・レビュー・書評
-
詳細をみるコメント0件をすべて表示
-
(2005.06.30読了)(2003.05.02購入)
副題「人の認知、動物の認知」
●ハトはピカソの絵とモネの絵を見分けられるか
「ハトを使って絵画を見分ける実験を行ってみよう。実験では10枚のピカソの絵と10枚のモネの絵を使った。ハトはおよそ20日間程度の訓練でこの区別ができるようになる。20枚の絵を丸暗記して覚えただけのことかも知れない。しかし、ハトは訓練に使わなかった、初めてみる絵を見せられた場合でも、それがモネの絵であるかピカソの絵であるかを区別したのである。先ほどのハトに、セザンヌ、ルノアール、ブラック、マチス、ドラクロアの絵を見せてみる。モネに反応する訓練を受けたハトはセザンヌやルノアールにも反応し、ピカソに反応する訓練を受けたハトはマチスやブラックにも反応した。」
●場所を覚える
「ホシガラスに餌となる種を与えて、それを自由に隠させ、3,4日後にそれを探させる。ホシガラスはおよそ52から78%の成功率で隠した餌を見つけることができた。しかし、岩や木などの目標を動かしてしまうと成功率は低下するので、これらの比較的大きな目標を目印として場所を覚えているらしい。」
●クーリッジ効果
「言い伝えによれば、大統領夫妻が養鶏場を視察した時に、先に訪れた夫人が、案内係から「鶏のオスが一日に何回も交尾をする」という説明を聞いたところ、「それを是非、夫に話してください」といわれた。さて、その案内係が大統領にその伝言を伝えたところ、大統領は「きみ、それはいつも同じ雌と交尾するのかね」とたずねた。係りが、違う雌と交尾する、と答えると、大統領は「今度は是非、女房にその話をしてやってくれたまえ」といった、という。」これをアメリカ大統領の名前にちなんでクーリッジ効果という。
鳥や動物の認識や思考やコミュニケーションについていろんな人の実験をあげながら鳥や動物の認識、思考がかなり人間と近い可能性が述べられている。訓練の仕方を工夫すれば、人間とのコミュニケーションも可能なものもある。
著者 渡辺 茂
1948年 東京生まれ
1970年 慶應義塾大学文学部心理学専攻卒業
(「MARC」データベースより)amazon
動物たちの不思議な知性の世界。ハトやオウム、アシカ、イルカ等の知覚・記憶・言語・推論能力を興味深く紹介。著者による最新データを中心に、比較認知科学から知性の起源やヒトの認知の特性に迫る。 -
あの親指の先っちょほどの脳みそで、驚くべき認知能力を披露してくれるハトさんたち。
それを分かりやすく面白く紹介してくれる著者さんに拍手です。
ハトはピカソとモネだけでなく、ゴッホとシャガールも、サザエさんとマスオさんも見わけます。そんなハトたちには、思考力―――即ち心があるのか?
最終的にはその問いに向かう一冊です。
因みにワタクシ、この論文読んだことありますけど、
シャガールとゴッホ、見分けが出来ません。
・・・・・うん、
教養って、なんでしょうね。
サザエさんとマスオさんは見分けられます。
大阪出身なのに、大阪弁を喋らない入り婿がマスオさんです。