- Amazon.co.jp ・本 (204ページ)
- / ISBN・EAN: 9784140018354
作品紹介・あらすじ
欲望を滅尽し死を超越する道とは。時代の半歩先を読む。
感想・レビュー・書評
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仏教は難しい用語が多く入りづらいところがありますが、この本は易しい語り口ですんなりと読めます。
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NHKテレビの『こころの時代』で著者がおこなった講座をまとめた本です。
著者は、日本を代表する仏教学、インド哲学の権威として知られており、多くの著作がありますが、本書はテレビ番組がもとになっているということもあって、釈尊の生涯と思想が非常にわかりやすいことばで解説されています。また、著者が翻訳している『スッタニパータ』などからの引用も、こなれた日本語になっていて、さらに読んでみたいという気持ちにさせられました。 -
ブッダの思想は論理的かつ客観的。この世界観が真理だと感じる。
■四聖諦■
①世の中は苦しみに満ちている
②苦しみの原因は己の執着である
③執着がなくなれば、苦しみも消える
④執着を消すための具体的行動が8つある。(正見・正思・正語・正業・正命・正精進・正念・正定)
■諸法無我■
人は生存欲を核とした自己を築くため執着が生まれるが、それは虚構にすぎない。この世は単なる縁起の重なり合い(空)で、人の生死もまたその中にある。
→自己や自己の所有物などない。 -
ブッダの思想に興味がある方には、中村先生の『ブッダのことば』(岩波書店)のほうがおすすめだが、それもちょっと敷居が高く感じられる向きには、本書を薦める。
「この世界は美しいもので、人間の生命は甘美なものだ」という老ブッダの言葉が心に沁みた。冷徹なまでに洞察を深め、この世は「空」であると看破したブッダが、それを認識した上で、なおこのような発言をしたことは興味深い。 -
いちど悟ればそれですべて終了ではなく、常に煩悩や迷いと緊張関係にあり、悟りつづけてゆく、目覚めた状態を続けることが、道を歩むということ。p.34
自己は妄執と執著によって仮構されたもの。妄執の中核を打ち砕けば、仮構された自己は消滅する。自己が消滅すれば、そこにはありのままの世界があるのみで、有るとか無いとかの分別なく、対象化された世界はない。自分と世界は素通しになる。自己は無限定なもの。自己と他を分離できない。p.49
ブッダの教えにはドグマがない。観念的な議論や形而上学ではない。既成の信条や思想にとらわれることなく、現実の悩みを解決するための安心の境地を得るための実践哲学。合理主義や科学とも矛盾しない。p.52
執著を離れるのが中道であり、足して二で割るのが中道ではない。p.64
所有を捨て去る考え方は、ヴェーダ聖典、ウパニシャド、アーヤーランガ(ジャイナ教)にも見られる。p.98
我執を離れると、自然に利己心が減少し、他者との感情の交流が成立。人間の美質が湧いてくる。その最も純粋なものが慈悲。p.110
ニルヴァーナ現世において実現すべきもの。死後安らぎの世界に行くのではなく、今の現実の苦からの解放を目指す。p.179
ブッダの法を受け入れるのに、輪廻転生を信じる必要はない。 -
中村元先生のテレビでの「ブッダの人と思想」を書籍として取りまとめたもの。仏典からの引用とその解説を中心にブッダの説いた教えの実相に迫ろうとするもので、入門書としていい本でした。
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学生時代に手塚治虫の漫画「ブッダ」を読んで,ブッダ像とその教えについて,なんとなくわかった気になっていた.この本には,釈尊の生涯と教えの要諦とがまとめられており,当時を否定するものではないが,漫画とはまた違う発見があったと感じる.
一切のものは空(現象)であること,自我もまた然りであること,これによって死の恐怖は滅せられること,これらの悟りを得るためには八正道に精進すること・・・と説かれる.生きることはもとより苦(自我の思うようにならない)となれば,生きる目的とは.この点に注意してもう少し勉強してみよう. -
初期仏教のシンプルで力強い所が自分には合ってると思った。
ブッダが亡くなって数千年のうちに、仏教もだいぶ変化してる。 -
原始仏教と同じく番組の内容をまとめた本で、
原始仏教と併せて読む事を推奨している。
題名の通り、向こうは教団について書かれていて、
こちらはブッダという人物について書かれている。
後で書かれたので、こちらの方が分かりやすい。
両方読むつもりならこっちを先に読んだ方が良さそう。 -
トルストイが「人生論」で、「真理は、ブッダ、孔子、キリストが既に語ってる。どれも安価に経典が手に入る」ってなことを言っていて、手にとった本。
著者中村元先生の柔らかな文体が、理解を促す。スラスラ読めてしまった。
苦しみは、執着から生まれる。執着を捨てれば、憂いはなくなり、穏やかに生きられる、とブッダは説く。
ブッダの説法は、哲学かと思いきや、苦しみへの対処法だった。
最近(お釈迦様との比較なんでスケールが滅茶苦茶だが)の本でいえば、スティーブン・R・コヴィーよりはデール・カーネギーのスタンス…かな。
とはいえ、日々どのように実践したらいいのか、難しい。まずは苦しみを自覚して、それを客観することから始めてみようかと思う。
この読書体験が、人生のターニングポイントとなることを祈る。
そのときは、★★★★★にしよう。