免疫・「自己」と「非自己」の科学 (NHKブックス)

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  • Amazon.co.jp ・本 (219ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784140019122

作品紹介・あらすじ

我々を、伝染病などの病から守る「免疫」。免疫は、「自己」と「自己ならざるもの=非自己」を識別し、身体の「自己」を監視・維持する機構であるが、アレルギーや自己免疫疾患、がん、エイズなどからは、「自己」と「非自己」の交差する、免疫のもう一つの顔が見えてくる。免疫学の基本を分かりやすく解説しながら、高次生命機構としてのヒトを理解するための超システムとしての免疫系の働きにまで着目する。免疫学の大家による、はじめての免疫学の入門書。

感想・レビュー・書評

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  • NHK教育テレビで放映された『人間大学』で著者がおこなった12回の講義をもとにした本です。

    著者は、『免疫の意味論』(青土社)や『生命の意味論』(新潮社)において、免疫という現象の思想的な意味について論じていますが、本書では現代の免疫学の研究によって明らかになってきた事実を、一般の読者にわかりやすく解説することがねらいとなっています。

    免疫学そのものよりも、それについての著者自身の思想に興味のある読者としては、細かい説明にすこし退屈をおぼえてしまったのも事実ですが、免疫という人体の仕組みについて知ることができました。

  • 免疫のメカニズムから哲学まで、専門外にもわかりやすく説明している本。たまに用語の説明がわかりにくいのがすこしだけ残念だけど、読んでいてわくわくした。

  • だいたい『免疫の意味論』と同じであるが、多少説明の追加がある。特にマクロファージとナチュラル・キラー細胞が活躍する「自然免疫」とT細胞とB細胞が活躍する「獲得免疫」の違いに詳しい。自然免疫というのは記憶をもたず、いわゆる「抵抗力」のようである。スーパーシステムについても、「自己生成」「自己多様化」「自己組織化」「自己適応」「自己言及」「自己決定」「閉鎖性と開放性」などのキーワードで定式化していて、言語や都市、社会などの解明にも使えるであろうとの提言をしている。T細胞を教育する「胸腺」の役割が理解されだしたのが1960年代だそうだ。

  • 一般向けに書かれた免疫学の本。教科書ではないけれど、免疫学のエッセンスと、多田先生のフィルタを通した免疫学の面白さが書かれている。

  • 全く知らなかった方なのだけれど・・・
    追悼。

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著者プロフィール

多田富雄(ただ・とみお、1934-2010) 
1934年、茨城県結城市生まれ。東京大学名誉教授。専攻・免疫学。元・国際免疫学会連合会長。1959年千葉大学医学部卒業。同大学医学部教授、東京大学医学部教授を歴任。71年、免疫応答を調整するサプレッサー(抑制)T細胞を発見、野口英世記念医学賞、エミール・フォン・ベーリング賞、朝日賞など多数受賞。84年文化功労者。
2001年5月2日、出張先の金沢で脳梗塞に倒れ、右半身麻痺と仮性球麻痺の後遺症で構音障害、嚥下障害となる。2010年4月21日死去。
著書に『免疫の意味論』(大佛次郎賞)『生命へのまなざし』『落葉隻語 ことばのかたみ』(以上、青土社)『生命の意味論』『脳の中の能舞台』『残夢整理』(以上、新潮社)『独酌余滴』(日本エッセイストクラブ賞)『懐かしい日々の想い』(以上、朝日新聞出版)『全詩集 歌占』『能の見える風景』『花供養』『詩集 寛容』『多田富雄 新作能全集』(以上、藤原書店)『寡黙なる巨人』(小林秀雄賞)『春楡の木陰で』(以上、集英社)など多数。


「2016年 『多田富雄のコスモロジー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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