人生の旅をゆく

  • NHK出版
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感想 : 81
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  • Amazon.co.jp ・本 (267ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784140055007

感想・レビュー・書評

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  • よしもとばななさんの小説は好きだが、彼女自身は私は苦手な種類の人だなと、このエッセイを読んで感じた。

    確かに犬や花、ゆっくりと流れる時間、温かみのある人、お店を愛する様子がうかがえるので、素敵な人だなと思う気持ちもある。

    しかし、そういう素敵な人たちにも2種類いて、
    「自分が愛するものを大切にして自分らしく生きることに一本な人」
    と、
    「自分が愛するものを大切にしていて、そうではない人をかわいそうな人だと軽蔑している人」
    だ。
    そして私はよしもとばななさんは後者のように感じた。

    例えば、地震が起きたとき前にいた人に「こわかったですね」と話しかけたらその人に睨まれたエピソードや、飲み屋の店長が融通が効かない人だったとき、「私たちを冷静に見れば、それなりの職についた人間で、もしいい対応をしていれば他の客も連れてきたかもしれないのに」とコメントしていたことなど、あちこちに上から目線の分析と感じることがあった。

    そういうことを批判したり、エッセイに書くのが悪いと思うのではなく、「素敵な人」という立場で「本当に心に余裕のないかわいそうな人たちね」という書き方が気に障るのだ。
    「こういうゆったりした時間は素敵だと思った。それに比べて日本は・・・」だとか「花屋にきてささっと店員さんに話しかけてくれた女性は品があって素敵だった。それに比べて前にいた人はえらそうな態度で・・・」といったように、前半でとめておいてくれればいいものを、後半の「それに比べて」の内容を書いてしまうから、なんとなく読んでいて気持ちがよくないのだ。
    どうせだったらすごく毒舌で批判しまくる人の方が気持ちがよくて私は好きだ。

    最後に、よしもとばななさんがなぜ死をテーマにした小説を多く書くのかわかるエッセイだったのは良かった。
    本当はとても繊細で敏感で考え深い人なんだと思う。

  • 海外との比較、日常の出来事、思い出などを通して、
    よしもとばななさんの理想や希望といったものが書かれた本だと思う。

    よしもとばななさんの理想や希望はのんびりしたものが多いように感じたが、
    よしもとばななさん自身は、とてもバイタリティのある人だと思った。

    そのなかで、私が一番好きだった文章は、
    「朝起きて、隣に寝ている赤ちゃんを見ると、向こうもうっすらと目を覚ます。そして、私の顔を見て、にっこりと笑う。いちばんはじめの顔が笑顔だということは、一日のはじまりを何の疑いもなく受け入れているということだろうと思う。何てすごいことだろう!」

    私も一日を笑顔ではじめられるようにしたい。

  • 『…1日は二十四時間。そんなにたくさんのことができるわけがない。それなのにこの時代の日本が人に要求することは、ほとんど超人になれということばかりだ。』本文より

    沢山の旅と、日常の生活の中にある喜び、悲しみ、怒りなどなど、ばななさんの包み隠すことのない実直さがぐっと心に染みます☆

    肩の力がふっと抜けて…
    毎日を丁寧に生きよう…
    と思わせてくれる素敵なエッセイ集です♡

  • 嘆きが多いエッセイは苦手ですが
    モヤモヤした気持ちにならずに読むことができました。
    自分の人生をご機嫌に生きていくことが大切なんだと思います。

    苦労したり、腹が立ったりすることもあるけれど、後から、まぁあれも必要だったよねと思えるような生き方をしたいなと思います。

  • 吉本ばなな先生による素晴らしいエッセイ集!

    大切な言葉がこれでもかーっとたくさん詰まってる、読めば胸がいっぱいになる本です。

    思い出と同じくらい、今を大切に生きればいい。

    さばさばとしているようでいて悩んだりすることもあって、他人のことを深く見つめ、人生や命のことをまっすぐに向き合う。

    その生きる姿勢そのものを見習いたくなる、人間力の教科書のように感じました。

    他人や家族から大切なものを受け取った分、自分をそれを与えられる人になりたい。

    今の社会を生きていく上で、大切なものを見落としてしまうことの悲しさ。

    それでも他人を、自分の人生や感性を大切にする。

    得難いものがこの本に込められています。

  • 短い文章がたくさん入っていて読みやすいので、逆に読むのに時間がかかった。
    小分けにして何日もかけて読んだ。

    内容は旅に出て感じること、日本(特に東京)のこんなところが生きづらい…というようなことが主なんだけど、わかるな〜と思った。

    東京にいるとつい、日々のタスクやノルマに追われてあっという間に一日が終わってしまうけど、ふと散歩に出た時に感じる季節のにおいとか、人との関わりとか、そういう時代も場所も関係なく感じられることが、本当は生活に必要なんだと思う。

    この本の中に「人生は思い出を作ること」というような文章があって、仕事とか現実的なことでモヤモヤしてた気持ちが少し晴れた。
    本当にそう思うし、たくさん思い出を作りたい。

    ただ、少し考え方が傲慢…?というか人に対して思うことがちょっと自分とズレているところもあって、それもまた発見だった。

  • 自分の価値観を再認識できるようなエッセイ集であった

  • 「単純に、バカみたいに」はバナナさんのメッセージが優しくて心強いなと感じた。

    ただ上京してきた自分にとっては、東京ってやっぱり住みにくいところなのかなー?とマイナスに感じてしまう部分もいくつかあった。
    確かにそういう部分があることは否定できないけど、言うて冷たい人だけじゃないし。冷たいだとかキツイとかありふれたレッテルに振り回されない自分でいようお思った!

    あとは多肉植物かって愛情そそぎたいと思った!通じ合ってみたいと思った!

  • 全ての人が「あなたがいてくれてよかった」と他の人に思われるようなところを持っている。

  • 日本の良いところとあれ?って思うところと
    旅に出ると感じるパワーを改めて教えてくれた

    人との距離とかちょっと距離取りたいって日常では思ってしまうのだけども
    旅に行くとそこが緩くなる
    もっと日常も緩くしてもよいのかもしれない

    日々を大切にまわりの人を大切にしたいです

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著者プロフィール

1964年07月24日東京都生まれ。A型。日本大学芸術学部文藝学科卒業。1987年11月小説「キッチン」で第6回海燕新人文学賞受賞。1988年01月『キッチン』で第16回泉鏡花文学賞受賞。1988年08月『キッチン』『うたかた/サンクチュアリ』で第39回芸術選奨文部大臣新人賞受賞。1989年03月『TUGUMI』で第2回山本周五郎賞受賞。1993年06月イタリアのスカンノ賞受賞。1995年11月『アムリタ』で第5回紫式部賞受賞。1996年03月イタリアのフェンディッシメ文学賞「Under 35」受賞。1999年11月イタリアのマスケラダルジェント賞文学部門受賞。2000年09月『不倫と南米』で第10回ドゥマゴ文学賞受賞。『キッチン』をはじめ、諸作品は海外30数カ国で翻訳、出版されている。

「2013年 『女子の遺伝子』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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