- Amazon.co.jp ・本 (315ページ)
- / ISBN・EAN: 9784140057261
作品紹介・あらすじ
分断された平和な日々の再生を願って、明日へと続くペダルを踏み続ける
本間優一は、多少のさざ波はあっても大過なく仙台で会社員生活を送ってきた。50代半ばに差し掛かり、健康上の理由からロードバイク(本格的なスポーツ用自転車)に乗るようになる。部下の唯の指導を受けて、優一のロードバイク技術はめきめき向上していく。思えば本気になって趣味に打ち込むことは、いままでに経験のないことだった。おりしも新型コロナウイルスのパンデミックが仙台にも広がり経済にも影響を及ぼすように。そんな息苦しい状況にあっても、自転車を通して、優一たちは新しい扉を開いてゆく。直木賞作家であり、自ら愛車を駆りイベント入賞も果たす現在最も自転車に詳しい作家が、ロードバイク愛を込めて描く感動の物語。
感想・レビュー・書評
-
自分もロードバイクに乗っている、最近は仕事の休みが取れず遠ざかっているが主人公の優一と同年代だった事もこの本を読むきっかけとなった。
50代で健康の為、ロードバイクを始めた優一と自分自身が重なり、面白おかしく読み進めた。又、夫婦関係の大切さをつくづく思い知らされた作品であった、コロナ禍で人生が変わった私もそうだが、人それぞれ葛藤がある事を改めて感じた‥詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ロードバイクで風を切ってみたくなった。それは主人公がなんの悪意もなく日々を送っているからかなと感じました。この物語は、ロードバイクと仕事の良い所が感じられ、初読の作家さんでしたが大変面白かったです。別の著書も是非読みたいです。
-
著者は自転車に乗っているということで期待しましたが、全くのはずれ本。まるで素人が書いた小説のよう。ストーリーも主題もどこにでもある陳腐なもので、展開の工夫や目新しい情報もまるでなし。その上、コロナコロナとしつこく、テレワークだのDXだの地震まで出てきてうんざり、その部分は完全に飛ばし読み。手に取る必要のない本でした。
-
コロナ禍を背景に、50代半ばの主人公がロードバイクに挑戦する物語。
主人公は健康診断で脂質異常をD判定と診断された本間優一。
体質改善を考え会社の部下に勧められたロードバイクを始める事を決意する。
自転車ショップ「ベルマシーヌ」の場面だけで、その情景が目に浮かんで来る。
ロードバイクの師匠・水野唯との初ライドから、一人で百キロライドまで、めきめきと上達していく姿はこちらまで風を感じて爽快だ。
会社の業績不振やリストラ、様々な問題が勃発しても誠実でポジティブな主人公に元気を貰えた。
何歳になっても新しい扉は開けられる。 -
ロードバイク好きには分かる、ロードバイクあるあるが出てくる。
話としてはうーんかな。 -
自転車に興味があり読みました。
すんなり読めました。
ロードバイクやってみようかな。 -
お仕事&ロードバイク小説。なかなか気持ち良い物語です。
熊谷さんと言えば、先日ビッグスリー時代を思わせるSF小説の『孤立宇宙』を読んだばかり。それにしても色んな小説を書きますね。多彩というか節操がないというか(笑)。
舞台は2020年の仙台。コロナの初期から第3波当たり。この本の前に大島真寿美さんの『たとえば、葡萄』を読んだせいで2作連続でコロナ禍の小説になってしまいました。いささかコロナにも食傷気味。
どうもロードバイクについては自身の経験が随分入り込んでいるようで、微に入り細に入り語ります。最初は面白かったのですが最後は趣味の話を聞かされ続けるのにも飽きてしまい。お仕事は中年男性の主人公が務める小さな印刷会社のIT関連部門。紙の印刷を重視する前時代的役員vs圧倒的システム開発能力を持つ若手社員。その間で若手を助けて動く中年の主人公といった構図。
熊谷さんもさすがにIT 領域は苦手なようですね。物語に出てくる様な個人スキルで出来たシステムなんて実際には会社では使えません。システムの裏には充分な仕様書が整備されていて、その人が居なくてもメンテナンスできることが必須です。とは言え、そんなことは読み飛ばして。。
後半の盛り上がりは出来過ぎで、しかも古臭い人情ものの世界なのですが、前向きで明るく、心地良く読了しました。 -
ダイエットの為にロードバイクを初めて、痩せると共に新たな趣味を獲得する話でかなりべたな展開で、特別劇的な事は無いのですがこういういい話でまとめた本嫌いじゃないです。作者がきっと自転車にはまって、そのすばらしさを喧伝したくて書いたのではないかと邪推しますが、多分当たっているんじゃないかと。
実際に自分でも自転車乗ってみたいなと思いました。かなり自転車の事細かく書かれているので、知っている人はそこも楽しいはず。ギターに置き換えるとなんとなくわかります。 -
170これまで少なからず情緒的な部分が強調されがちなところが目立ったが、大きな組織と小さな集団との対比から始まって、家族の向き合い方や自分にない才能への気付きなど、面白くあっという間に読んだ。お仕事小説もいけますねえ。
-
この人の本何冊目かな。どの本も面白かったし、自転車が好きで読みました。
真骨頂は終盤に近い経営会議での専務とのやり取りかと。自転車あれこれシーンよりなによりここが一番面白かった。
最後の元上司との再会シーンも本を読んでいるというより実際自分がそこにいるような臨場感があった。熟年男性二人の会話。穏やかな語らいの中に時代を生き抜いてきた人生の機微がにじみ出てくるような。筆力あってのことだし、この人の作風が自分に合っているんだと思う。
少し出来過ぎのハッピーエンド。ちょっと違った形にして欲しかった気もしたり。