- Amazon.co.jp ・本 (236ページ)
- / ISBN・EAN: 9784140057292
作品紹介・あらすじ
このエッセイもまた、公開の日記帳だ。前向きで後ろ向きで、頑張り屋で怠け者で、かしこく浅はか、強くてもろい、独特な人物の日々の記録だ(前書きより)――はじめての育児に奮闘し、新しい食べ物に出会い、友人を招いたり、出かけたり――。そんな日々はコロナによって一転、自粛生活に。閉じこもる中で徐々に気が付く、世の中の理不尽や分断。それぞれの立場でNOを言っていくことの大切さ、声を上げることで確実に変わっていく、世の中の空気。食と料理を通して、2018年から2022年の4年間を記録した、人気作家・柚木麻子の初のエッセイ集。各章終わりには書下ろしエッセイも収載。
目次
1.うちにおいでよ 2018年1月~12月
アメリカンダイナー/ご法度/インスタ叩き叩き/母の名言/母にだけ見えている/スーパーマーケット/レギュラー・オープンハウス・システム(前後編)/大人のおやつ/大阪旅行/完全食/地下街/もみの木/モテスクラップ/2018年の後日談(書下ろし)
2.うちの味、外の味 2019年1月~12月
クラシカルレシピ/誕生日プレゼント(前後編)/アートワーク/公園/ファッションフード/カップ焼きそば/味噌汁/それ(前後編)/メキシコ料理/アイデア/2019年の後日談(書下ろし)
3.そしてコロナがやってきた 2020年1月~12月
家出(前後編)/おうち居酒屋/非常時/紙芝居/ママに武器なんていらない/ハンドミキサー/自粛明け/アフタヌーンティー/今日もなにもできなかった/誕生日/アップルパイ/記憶に残る店/クリスマス/ライフハック/2020年の後日談(書下ろし)
4.もう、黙らない 2021年4月~2022年3月
一番の好きな料理はなんですか?/「新しい」こいのぼり/ただいま、勉強中/楽しむ姿を見せることステイホームの工夫疲れ/顔ハメ写真/幸せそうで、何が悪い/徹夜明け/ホッとできない私へ/大人のいい女(前後編)/クリスマスの試食販売/集中できる場所/手巻き寿司/子連れで、恐怖しない世の中を
感想・レビュー・書評
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朝井リョウさんのエッセイが好きで
ちょくちょく柚木さんの名前が出てくるので
気になって手に取りました
柚木さんの出産後育児と仕事に追われ
コロナがやってきた中
ちょっとでも生活を良くしようと戦ったり
ちょっと諦めたり、
たまに開き直ったりする姿が
とても面白く、読んでいて元気が出ました
エッセイひとつひとつに
後日談が一言添えられていて
それがまた俊逸でした笑
自分も出産したばかりの身なので
子連れが感じる肩身の狭さなど
共感できる話がたくさんありました
でも読み終わってみて
今の自分を認めて、
胸を張って生活していこうという
気持ちが湧いてきました(^^)詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
2018年1月から2022年3月までの著者の生活が綴られたエッセイ。新型コロナが蔓延する前は外出などが普通にできていたのに、コロナ禍が始まると自粛しなければならない生活環境の変化が、とてもよくわかる。そんな中、出産・子育てをしている著者、自身も肺の持病があってより一層新型コロナに対する怖さが読み取れた。現在(2023年2月)、感染者が減っているとはいえ、基本的な対策はキチンとしなければ、と思った。
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コロナ禍は家に篭りっぱなしで、出かける気力もないがさほど寂しさも感じなかった私からすると、行動力が高いなと感じた。
あまり用意せず友達に色々持ち寄ってもらって好きな時に来て好きな時に帰るシステムは楽しそうだし、
手巻き寿司、久しぶりにしたくなった。
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人気作家柚木麻子さんのエッセイ
コロナとワンオペ育児でよろよろになっている柚木さんがいる。
本でしか知らなかった人が少しだけ身近に感じられる。
世の中のお母さんて本当に本当に大変な思いをしてきていて、同性の自分が今までどんなに無頓着だったか。
声をあげる人が増えてきたこと、そして子供連れが多く来る職場に勤めて、初めてその事に気がついた。
少しづつ良くなっているのかと思いきや、体験者の声を聞くと、まだまだなんだなぁと思う。
自分に出来ることなど、ほんとうに僅かなことだろうけれど、それでも少しでも優しい世の中になればいいと思う。
それはそれとして、あとがきにあった、「世間で酷評され、柚木さんがどうしても寝てしまう邦画」とはいったいなんなのか、とても気になった(笑 -
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【NHKカルチャー】人気作家・柚木麻子さんの日記エッセイ集『とりあえずお湯わかせ』の刊行を記念した1日講座です。サイン会もあります!|株式会...【NHKカルチャー】人気作家・柚木麻子さんの日記エッセイ集『とりあえずお湯わかせ』の刊行を記念した1日講座です。サイン会もあります!|株式会社エヌエイチケイ文化センターのプレスリリース
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000321.000071793.html2023/02/20 -
「女性は謙虚で控えめでちょっぴり不幸そうでいるべき」という圧力に屈しない、パワフルさに鼓舞される!『とりあえずお湯わかせ』(国際女性デー) ...「女性は謙虚で控えめでちょっぴり不幸そうでいるべき」という圧力に屈しない、パワフルさに鼓舞される!『とりあえずお湯わかせ』(国際女性デー) | エンタメ番長 揃い踏み 「それ、気になってた!」 | mi-mollet(ミモレ) | 明日の私へ、小さな一歩!(1/3)
https://mi-mollet.com/articles/-/41208?layout=b2023/03/09
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最初に宣言しておきますが私は柚月麻子さんの小説が大好きです。生活の中のどろどろ感をあれほど、すっきりと爽快に書ける方はいない。文章に品があるなぁーといつも思っていました。
だからなのか、エッセイは後に残らない。読み進むのに一週間以上を要した。
小説の品の良さは、やはり育ちがいいからなんだなと納得しました。当たり前に丁寧にお料理に時間と手をかけておられる。
ココアは牛乳を暖めてココアの粉を入れたら、できあがりではないのか。
育ち方は、人それぞれ。教えられたことはその人に取って当たり前の日常だから人と違うと疑わない。だけどやはり多数とは違うから浮くこともあるだろう。そういうご苦労もあるのかな。多数決でなく多様性を認められる包容力を養いたい。
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「ご飯が炊けてる お湯が沸いているだけで、もう勝ったも同然である」(本書より)
◎◎◎
柚木さんはきっと物凄く真面目な人なんだと思います。物凄く真面目にいろんなことに取り組んだ結果、面白いことが起きる人、なんだと思います。
さすが『BUTTER』の作者だけあって食べ物の描写はどれも美味しそうでした。(半分くらいは食べ物の話題だったかも?!)
男性中心の日本の社会構造に声をあげて、新聞記事になるくらいバズらせたとはすごいです。本書を執筆中に『らんたん』を書いていたそうですから、柚木さんこそらんたんを持って先頭を走っている人、と言えるのではないでしょうか。
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柚木麻子さんの小説は10冊読みましたが
エッセイは初めてです。
これは5年ぐらい前から始まっています。
私は柚木麻子さんを女流作家の中で「お嬢様枠」だと思います。
彼女も認めているでしょう。
でもそれゆえの悲哀もあるし、
それと関係なくてもいろいろ嫌な経験されています。
大学時代に両親が離婚決定その後父が死去。
肺に疾患をもっている等。
そして保育園40個落ちたとか。
スーパーマーケットで見知らぬ男性にベビーカーをけられたとか。
柚木麻子さん、声をあげています。
頑張ってください。
この本はかなりコロナ禍中心です。
仕事と子育て、本当に大変さが伝わりました。
最初は子どもと一緒に「おうち居酒屋」「手作り紙芝居」「お菓子作り」などするのですが、自粛生活三か月目
〈二週間くらい前までは確かにあった、少しでも子どもと有意義に過ごそうという意欲もきれいさっぱり失せた。おもちゃの海の中で、ひっくり返ってスマホをいじる私の上に子どもがまたがっているのがデフォルトの光景になりつつある〉
第8波で、感染者増えていますが、あの頃よりすごくましですよね。
どうか執筆の仕事もがんばってくださいませ。 -
この著者は、だいぶ昔に『ランチのアッコちゃん』を読んでそれっきりだった。
しかしその後も朝井リョウ氏のエッセイに出てきたり、最近NHKの100分de名著に出たのを見たり。
最終的にネットの書評で著作の中にエッセイがあるということを知って俄然読みたいと思って読んでみた。
クリスマスに店頭販売員として冷凍ミカン販売した話は不謹慎ながら笑ってしまった。
お嬢さまなんだろうけど気取ったところは無く、自虐やなまけ心も惜しみなく披露するところが好感度高い。
母のおへそにご飯を詰め込んで笑っている子どもとか。
『三国志』も面白いと言っているし。
家出をしてホテルに泊まろうとしてチェックインしたけど数時間で断念した理由が「乾燥」だったのはちょっと、、、と思ったけど。
この章で、最初はこの状況について夫を責めるが、その後、夫を取り巻く社会に問題があると述べているのは冷静だと思う。
育児に疲れ果ててメンタルが破綻したときに夫が取った行動が子どもを遠ざけることと、著者曰く「なぜか」スマホを取り上げる、の2つだったとの記載は夫さんが真っ当な人であることを印象付けた。
妻よりも妻のことを理解している。
結果回復してるし。
尚、自分は男だけれど著者のようにほとんど初対面の中年以上の人に怒鳴られた経験が複数ある。男性に限らず女性からの場合も。
見た目がいかつい人や、強く言い返して来そうな人に対してはしないのだろう。
機嫌が悪かったり自己顕示のために誰かを見せしめにしたかったり、怒鳴られる側に問題が無いケースで被害を被るのはいつも弱者だ。
徐々にでも世の中に生きにくいと感じる人が減っていくといいなと思う。
ネットで本著について検索したらエッセイ自体はNHK出版のホームページで続いているようだ。
100分de名著に出演した際の話、面白かった。