メタボリアン改造計画

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  • NHK出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (189ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784140112700

作品紹介・あらすじ

40過ぎても、生活習慣は変えられる。根拠に納得して、はじめて動くオトナのためのカラダとココロの健康実践科学のすすめ。

感想・レビュー・書評

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  •  「メタボリアン」とは、「メタボリック・シンドローム対象者」を指す。本書は、世のメタボリアンたちに向け、生活を改善しメタボから脱却するための方途を示す医学啓蒙書である。
     味も素っ気もない装丁といい、誇張を排した生真面目な内容といい、じつに地味な印象の本だ。しかし、内容はたいへん有益で、目からウロコの知見満載の良書であった。

     私は168㎝/61㎏なので肥満体というほどではないが、腹部にジワジワと脂肪がたまりつつあるなど、メタボ一歩手前状態ではある(男は腹囲85㎝以上がメタボ基準だが、私は現状79㎝)。なので、切実な興味をもって読んだ。

     本書は、「EBH(Evidence Based Healthcare=科学的な証拠に基づくヘルスケア)推進協議会」というNPO法人の創設メンバーである4人の医師・学者の共著になるもの。そのことが示すように、内容に逐一科学的な裏づけがあり、すこぶる論理的に書かれている。
     「はじめに」には、「自分で納得できない限りなかなか動かない中年の男性でも、この内容であればはじめの一歩を踏み出していただけると思います」とあるが、それもうなずける。

     メタボが生活習慣病を引き起こすメカニズム、運動不足が健康を損なう理由、運動習慣がもたらすプラスの力を使いこなすコツなど、メタボ改善のために必要な知識がひととおりつめこまれている。

     何より素晴らしいのは、著者たちが提案するメタボ改善策に、まったく無理がないこと。「これなら私にもできる」と思えることばかりなのだ。
     たとえば、運動については次のように言う。

    《「運動」という言葉をあまり大げさに捉えないようにしましょう。健康のためにカラダを動かすことと、競技で勝つためにカラダを鍛えることとは根本的に違います。トレーニングウェアに着替えて行なうだけが運動ではないのです。》

     そして、“日常の中で「無駄に動く」ことを心がけるだけでも、メタボは十分防げる”と提言する。これは、ハミルトンという米国の糖尿病専門医が2007年に発表した論文に基づくもの。

     ハミルトンは、「運動とまでは言えない日常の活動で消費されるエネルギー」を、「Non-Exercise Activity Thermogenesis(非運動性熱産生)」を略して「ニート」と名づけた。そして、“特別な運動をしなくても、「ニート」を意識して増やすだけで糖尿病やメタボは防げるのではないか”という仮説を立て、それを証明してみせた。

     たとえば、週3回/1日30分のウォーキングを行なっても、消費されるエネルギーは300キロカロリー程度でしかない。しかし、「ニート」は1日16時間ほど起きている間に消費されるエネルギーだから、トータルで600~800キロカロリー/日にのぼる。「チリも積もれば山となる」で、意識して「ニート」を増やせば、毎日の消費エネルギーを大幅に増やすことができるのだ。
     「そのためには、アタマを使って、無駄に動くのです」と、著者は言う。そうすれば、特別な運動をしなくても、メタボにならない程度のエネルギー消費ができる、と……。

     これはなかなか目からウロコ。私は、この一節に出合っただけでも本書を読んだ価値があったと感じる。
     それ以外にも耳寄りなトピック満載。メタボリアンおよびその予備軍にオススメの一冊。

  • メタボリックシンドローム対象者=「メタボリアン」というネーミングは微妙ですね。改造計画も微妙です。もっと実践的な内容の方がよかったのでは?図書館予約数は1(09/06/28現在)です。

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著者プロフィール

一般財団法人医療経済研究・社会保険福祉協会医療経済研究機構所長

「2019年 『医療白書2019年度版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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