「ジャパン」はなぜ負けるのか─経済学が解明するサッカーの不条理

  • NHK出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784140814178

作品紹介・あらすじ

常識を疑え。移籍市場を勝ち抜く12のポイント。

感想・レビュー・書評

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  • If British's exits from the EU, England will never win at the World Cups.

  • 視点を変えるのは良いが、定説と逆の結論を得るために統計をもてあそんでいるように思える部分もある。例えば、イングランド代表の弱さを説明するために代表戦績の統計を使ってもあまり意味は無いだろう。代表選手の年俸あたりから攻めたほうが良かったのでは。
    2010南ア大会前の本なので日本の悲観論とか、スペインの評価の低さはご愛嬌か。

  • サッカーには、素晴らしいビジネスと優れた人々が支配をしていると、盲目的に信じさせる華やかで過激な世界が広がっている。
    そう信じるという考え方は、主観的に感情的に捉える場合は、おそらく誰でも陥ると思われる。

    しかし、経済学、統計学の側面から紐解いていくと、あらゆる部分で主観で感じたこと、感情任せに信じている事が覆される。
    いまだにサッカーの世界は、サッカーが上手かった人達と極一部のお金持ちに牛耳られている、非常に古い形態を保っている。
    このままだと、近年中にバブルがはじけ、極一部のお金持ちは去っていくのではないだろうか。

    それでも本質的な魅力は変わらないし、チーム運営ではビジネスとして成り立たないとしても、周辺ビジネスに与える影響は計り知れない。
    なによりも夢のあるスポーツであることは間違いないと思う。
    人生80年であるのなら、長い歴史の中で極一部しか味わえないのだから、好きになったその主観的感情に従うのも悪くないかなという結論に至った。
    それと、日本が2050年までにワールドカップで優勝する可能性が極めて高いということが分かったので、是非実現してほしい。

  •  著者の一人であるサイモン・クーパーは、国際的なサッカージャーナリストだ。彼の書く文章は軽妙洒脱で豊穣、読み手に常にフレッシュなテーマを提起し、<知ること>の楽しさを教えてくれる。彼のような質感のある文章を書けるサッカージャーナリストは、(たぶん)ほかにいない。サッカー好きなら、いやそうでなくても、彼の名を覚えておいて損はない。
     彼は本書で、日本は西ヨーロッパから監督を招聘すべきだと提言している。日本サッカー協会は、これを読んだに違いない。

  • ちょっと前にはやった「ヤバイ経済学」にちょっと似ていた。サッカーを経済学からのアプローチで。リーグの順位にはチームの年棒総額が一番相関関係が強い、というまあそうだよな、というデータが。

  • サッカーは産業革命からうまれた?

  • レポート2。めちゃおもしろい。イングランドリーグでの選手年俸と成績の比例とか移籍金払いすぎなクラブは損とか。でもアーセナル最近ねぇ。

  • サイモン・クーパーはスポーツジャーナリストで、サッカー業界では有名な人。著作が何冊か翻訳されている。僕は大体読んでいると思うが、そのどれもが素晴らしく面白い。
    共著者のもう1人は知らない人。ステファン・シマンスキーという経済学者だ。主として統計的な手法を使って、ある意味、業界で常識になっているようなことを、覆していく。
    サッカーはビッグビジネスであるというのが業界の常識であるが、それは間違い。ワールドカップやオリンピックを招致することに各都市が熱心なのは、それが経済効果を生むからと言われているが、実際に開催国に経済効果はほとんどない、ただし、国民の幸福度は、こういった大会を開催することにより、上がることとなる。ワールドカップ期間中は、自国が負けて自殺する人が出たりするが、実際にワールドカップを開催した国の開催した年の自殺率は、平年を下回る。そういったようなことだ。
    イングランドで最初に出版された時の本の題名は、「イングランド」はなぜ負けるのか、というものだったらしく、同じく統計的な手法でそれを分析している。結果は、イングランドは実力通りの戦いを色々な戦いでやっており、結果は実力を反映したもの、ということであった。それを、日本での出版にあたって、同じ手法で日本代表を分析した章を加え、それを本の題名として出版したということのようである。
    著者2人は、まず、世界中の国のサッカーの実力に大きな影響を与える要素として、?人口?国民所得?経験(国際試合の数)をあげ、おおよそそれが統計学的に正しい仮説であることを説明する。その上、日本代表のサッカーチームが、その人口・国民所得・経験に見合った成績を国際試合でおさめているのかどうかを確認する。結果は、「期待はずれ」のものであるという分析。これら、その国のサッカーの実力に大きな影響を及ぼす要素から考えて、日本代表はもっと強くてしかるべき、ということだ。「期待はずれ」である理由として、著者2人は、サッカーネットワークからの遠さをあげている。世界のサッカーの中心は西ヨーロッパである。イングランドやスペインやイタリアといった非常に実力の高いチームが集まったリーグが、世界のサッカーをリードしており、そこに、勝つためのノウハウ(戦術やトレーニング方法など)が集積されているのだが、日本は意識的にか無意識にか、そのノウハウを取り入れることを怠っている、という理屈だ。少し古い話になるが、2002年のW杯、2006年のW杯で、韓国とオーストラリアが大会で活躍したのは、世界のサッカーの中心である西ヨーロッパからヒディングという監督を招き、ノウハウを移殖したから、という説明だ。なるほど、と思う。Jリーグが出来るあたりからの歴代の日本代表の監督は、オフト・ファルカン・加茂・岡田・トルシエ・ジーコ・オシム・岡田・ザッケローニと来ている。オフト・トルシエ・オシム・ザッケローニはヨーロッパのサッカーを知っている人たちだ。オシムは残念ながら病に倒れたが、オフトはあと一歩でW杯初出場まで日本代表を導き、トルシエはW杯でベスト16という成績を残し、ザッケローニの代表もアジア杯で優勝するなど、良いスタートをきっているように思える。それに比べると、他の監督は、岡田監督の2回目が、去年のW杯でベスト16に進出した以外は、ほとんどふるわない。
    これはしかし考えてみると当たり前のことを言っているに過ぎない。サッカーに限らず、何であるにせよ、国際的な競争でトップクラスを狙おうとするのであれば、世界の最先端の知識とノウハウを知っておく必要があるということだ。あらゆるスポーツがそうであろうし、学問の世界、音楽などの世界、ビジネスの世界にもあてはまることだと思う。
    とまぁ、サッカーの話になると、つい長々とつまらないことを書いてしまうが、そういう面から考えると、ザッケローニを選択した今回の日本サッカー協会の決断は良い方向だったと思うし、多くの日本人選手がヨーロッパのリーグに出かけていき、日々、世界の先端のサッカーに触れていることは、日本のサッカーのためには良い方向のことであることは間違いないと思う。2050年までにW杯で優勝、というのが日本サッカー協会の目標であるらしい。2050年となると自分は生きている確率は低いが、どうかその前に、日本サッカーが国際大会で驚くような成績をあげる日が来れば良いな、と思っている。

  • 1章 統計をサッカーに持ち込んでいる先駆者 アーセン・ベンゲル(経済学を勉強) ミランラボ(ACミランのメディカル部門.選手の負傷確率を予測)
    プロゾーンと呼ばれるソフトによる試合や選手の分析
    ミラン以外のクラブの選手は30代前半くらいまでしかプレイできない
    車にダッシュボードがなくても何とか運転はできる.ダッシュボードさえ付ければもう少し簡単になる.
    2章 国際試合は国の人口,国民所得,国際試合の経験が結果を左右

  • サイモン・クーパーとステファン・シマンスキーの共著。

    南アフリカW杯の前に出版されたものだ。

    サイモン・クーパーというと、ジャーナリスト精神の塊のような書のイメージだが、本書は違う。
    統計的な分析も多い、とても興味深い書である。

    ただし、多くの人にとっては退屈な話かもしれない。

    国のGDPや人口などとの重回帰分析や観客数の解析などの話がずらり。これにぴんと来る人は読むべきだ。

    日本がサッカー後進国である理由は文化であるとの帰結は間違いと真っ向から否定。
    全ては統計にあり。

    監督の輸入の効用にも触れている。

    とても興味深い一冊。

    以下メモ

    移籍市場を勝ち抜く12のポイント

    1、新監督は移籍に無駄に金を使う
    2、「群衆の英知」を生かせ
    3、W杯や欧州選手権で活躍した選手は過大評価されている。無視せよ
    4、一部の国籍は過大評価される
    5、ベテラン選手は過大評価される
    6、CFは買うな
    7、紳士はブロンドがお好き。「見た目による先入観」を捨てよ
    8、20代初めが選手の買い時
    9、選手の市場価値より高いオファーが来たら、迷わず売れ
    10、中心選手を放出する前に代わりを用意せよ
    11、私生活に悩みを抱える選手を安く買い、問題解決に向けて支えよ
    12、選手のリロケーションを手助けせよ

    統計が全てではないが、大いに示唆する内容であると思う。

    とても面白かった。
    おススメ

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著者プロフィール

ベストセラー『Soccernomics』の共著者。ウィリアム・ヒル主催の年間スポーツ本大賞を受賞した処女作『サッカーの敵』(白水社)は、サッカー関連書籍の名著として広く知られる。かつては英国の『タイムズ』紙と『オブザーバー』紙でフットボールコラムを担当し、現在は英紙『フィナンシャル・タイムズ』のコラムニスト。

「2022年 『バルサ・コンプレックス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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