- Amazon.co.jp ・本 (285ページ)
- / ISBN・EAN: 9784140818718
作品紹介・あらすじ
戦争、奴隷制、禁酒法……背景を理解すれば、作品がもっとよくわかる
「黒猫」のプルートはなぜ黒いのか? 書記バートルビーはなぜ「しない方がいい」と思うのか? 度重なる戦争の歴史、色濃く残る奴隷制の「遺産」等、アメリカという国、そこに暮らす人々の特異な歴史的・文化的・社会的背景を踏まえて短篇小説を読み解く。これまで主にマイノリティや越境者の文学に注目してきた著者が、メルヴィル、フィッツジェラルド、フォークナー、ヘミングウェイ、サリンジャー等、アメリカ文学の「王道」といえる作家に挑む、アメリカ文学入門の新・定番!
感想・レビュー・書評
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勉強と思いながら、ずっと積んでいた本なのだけど、第一講のポー「黒猫」から、もう面白い。
ガシガシ読み進めて、メルヴィルとサリンジャー、カーヴァーについては、カートの中に入れてしまった(笑)
筆者の作品の要約がまず上手いんだと思う。
短編だからかもしれないが、ストーリーが分かりやすく流れていって、原本に当たりたくなるような、いいバランスで語られている。
それだけでなく、作家の経歴と、当時のアメリカの社会的な状況、当時の人々にとって身につけねばならなかった「らしさ」などにも触れている。
アメリカ文学って名前くらいしか知らない、な人が読むと良いのではないかと思う。
エドガー・アラン・ポー「黒猫」
ハーマン・メルヴィル「書記バートルビー」
マーク・トウェイン「失敗に終わった行軍の個人史」
シャーウッド・アンダソン「手」
F・スコット・フィッツジェラルド「バビロン再訪」
ウィリアム・フォークナー「孫むすめ」
アーネスト・ヘミングウェイ「白い象のような山並み」
J.D.サリンジャー「エズメにーー愛と悲惨をこめて」
トルーマン・カポーティー「クリスマスの思い出」
フラナリー・オコナー「善人はなかなかいない」
レイモンド・カーヴァー「足もとに流れる深い川」
ティム・オブライエン「レイニー河で」
イーユン・リー「優しさ」詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
アメリカ文学をアメリカという国の成り立ちをしっかりと踏まえて読み解くとどう読めるのかを紹介している。
ポーの『黒猫』にアメリカの根深い問題である人種(黒人に対する暴力)と飲酒が描かれていることを知り驚いた。戦争と男らしさ、そこから生まれる弱き者(女性、性的マイノリティ等)に対する蔑視等がアメリカ文学の底流にあることを各作品の読み解きから学ぶことができた。こうした機会はあまりないので(「100分de名著」を除けば)有益な読書体験になった。
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思えば文学評論を読むのは学生時代以来かもしれない。しかも私は短編小説はあまり読まないので、本書で取り上げられた作品も、読んでいるのはポーの「黒猫」くらい。
にもかかわらず、たいへん面白く読めた。アメリカ人の精神構造を醸成してきた地理的、歴史的事情が、アメリカ文学にも多大な影響を与えていることが平易な文体でわかりやすく書かれている。
本書で取り上げられた短篇はもちろん、これまでなんとなく読み過ごしてきたヘミングウェイやカポーティの長編も再読したくなった。きっと新たな発見があるだろう。 -
2021.12.30 図書館
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●アメリカ文学だけでなく、アメリカの歴史についての勉強にもなった。
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岐阜聖徳学園大学図書館OPACへ→
http://carin.shotoku.ac.jp/scripts/mgwms32.dll?MGWLPN=CARIN&wlapp=CARIN&WEBOPAC=LINK&ID=BB00624052
「黒猫」のプルートはなぜ黒いのか? 書記バートルビーはなぜ「しない方がいい」と思うのか? 度重なる戦争の歴史、色濃く残る奴隷制の「遺産」等、アメリカという国、そこに暮らす人々の特異な歴史的・文化的・社会的背景を踏まえて短篇小説を読み解く。これまで主にマイノリティや越境者の文学に注目してきた著者が、メルヴィル、フィッツジェラルド、フォークナー、ヘミングウェイ、サリンジャー等、アメリカ文学の「王道」といえる作家に挑む、アメリカ文学入門の新・定番!
(出版社HPより) -
本の読み方が深まると同時に、
アメリカという国への理解が
深まる好著。
この本をガイドにアメリカ文学の
世界に挑戦したい。