神の方程式: 「万物の理論」を求めて

  • NHK出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784140818992

作品紹介・あらすじ

私たちは宇宙の謎の核心にここまで近づいている!

ビッグバン、素粒子のふるまい、ブラックホール、ダークマター……。アインシュタイン以来、宇宙のあらゆる事象を記述する究極理論、たったひとつの数式を、科学者たちは探求しつづけてきた。そして現在、多くの一流物理学者が、その答えに近づいていると考えている。『サイエンス・インポッシブル』『人類、宇宙に住む』等の著作で科学啓蒙に携わってきた著者が、本書では自らの専門分野にたちかえり、究極理論の「筆頭候補」であるひも理論研究の第一人者として、科学者たちの真理をめぐる論争と情熱、そしてその最前線を明快に語る。魅力的な科学者たちの挑戦の物語を読みながら、現代物理学のキーワードを一望できる一冊。

感想・レビュー・書評

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  • 完全文系ですが、三体で出てきたひも理論、10次元(11次元)などの表現が、実際の理論に基づいているとのことで興味を持ち、この本を手に取りました。

    読み終わった感想としては、言ってることの半分も理解できなかったですが、それでも数式を使わずなるべく平坦な言葉で説明してくれるので、なんとなくの概要は掴めたような気がしています。それもこれも、作者の解説が異常に上手いからですね。

    いきなり本題に入るのではなく、アインシュタインをはじめとする数多の物理学者がどういった挑戦を経て理論を構築したか。また、それによって生み出されたブレイクスルーや課題を一つひとつ丁寧に説明してくれたので、最後までワクワクしながら楽しんで読むことができました。特に、対称性という概念がただ美しいというだけでなく、実は中心的な要素であるという気づきに至るまでの流れはちょっと鳥肌がたちました。

    いつか万物の理論が見つかった時、世界はどうなるのか。作者が述べた通り、それは相当未来のことでしょうし、特段私たちの生活への影響はないのでしょうが、それでも未来に思いを馳せずにはいられません。

  • 重力と量子論を統合した万物の理論を探して、科学者が取り組んできた歴史から解説している。両者を統合できるのはヒモ理論しかなく、10次元,もしくは11次元がこの世界の姿かもしれないと言う事になるようだ。
    ただ、まだこの理論は完全には理解されていないと言うことなので、ある意味その事には驚きを覚える。
    万物の理論があるのか、それは何故存在するのかと言った哲学的な領域まで本では話が及ぶ。
    興味は尽きない。

  • 一つ一つの理論は理解が追い付かないし、目に見えない話だけに実感も乏しいが、理屈は平易な言葉に置き換えられ、筋が通っている事も伝わるだけに、科学本というよりは空想小説を読んでいる感さえあった。近代から今日までの科学史とその発展、それぞれの発見がもたらした意味など、読み物的面白さはあり、素人でも読み通せるのは著者の筆力。20世紀初めの時点で、科学は行き着くところまで辿り着いたと認識されていた話や、例えばブラックホールの存在は予言されていたが、最近その撮影によって証明されるまで100年以上かかった事例など、科学的知見の進化はとどまる事が無いし、即ち絶対に時間を要する事でもある、という点、無限の可能性と、今を生きる”我々”の限界を知らされもした。

  • 初心者にもわかりやすく書かれているとは言いながらも内容はやはり難しく、大きな物理学の流れをなんとなく分かったような気にしてくれただけだった。
    ひも理論の10次元11次元はまるでSF映画を見ているようで映画としては面白いが、しっくり理解するには程遠かった。
    物理学の世界はどこまでいくのだろう。宇宙の起源は見つかるのだろうか?

  • いわゆるマルチバースについてのポピュラー・サイエンス本の「パラレル・ワールド」がとても面白くて、大ファンになったミチオ・カクの新作。

    「パラレルワールド」後の本は、科学技術関係とか、超ひも理論という自分の専門領域以外についての啓発的な科学ライターみたいな本が多かった気がするけど、これはまた専門領域のど真ん中にもどっての入門書ですね。

    「超ひも理論」の最近の議論もざっくりと整理してあって便利ですが、この本のメインは、「統一理論」の歴史。ニュートン〜マックスウェル〜アインシュタイン〜量子力学〜ヒモ理論という一つの理論ですべてを記述しようという試みの歴史。

    なんで、いろいろな現象を説明する複数の方程式を一つの方程式で全部を表現したいのか、そこには、統合することで見えないことが見えてくるということがあるということ。

    そして、あらたな統合は、新たな科学技術を生み出していく力になったということ。

    そして、統合のポイントは、対称性、ということなのだが。。。。

    ここまでくると、この話しは、宇宙の始まりや終わり、そして神の存在、宇宙、そして自分の存在する意味ということに必然的につながっていく。

    で、最終章は、そんな話。ものすごく新しい話しはないのだが、あらためてこれだけのことをまとめてくれて、ありがたいな〜という感じ。

    面白かったのは、これまでの統一理論の成立は人間の生活に直接影響をあたえる技術を生み出してきたが、おそらくひも理論の統合は、なにもわたしたちの実生活には影響を与えないであろうという話し。

    おおおお、そこまで言い切るか!

    つまり、今、理論物理学は、ある意味、人間がこれまで宗教や思想を通して探索してきた宇宙や人生の意味を科学的な方法で探求しているということなんだね。

    そして、その答えがでたとしても、わたしたちの人生の意味がわかるというものでもなくて、結局、それはわたしたち、一人一人が自分で苦労して見つけ出すものなのだ。

    なるほど。答えは実は既にあるのだ。

  • ミチオ・カク(加來道雄/1947年~)は、カリフォルニア州生まれの日系3世の理論物理学者。ハーバード大学卒、カリフォルニア大学バークレー校で博士号取得。ニューヨーク市立大学シティカレッジ物理学部教授。専門は素粒子論、特に超弦理論で、弦の場の理論の創始者のひとり。数々のTV科学番組に出演するほか、一般向けの科学書を多数執筆しており、『パラレルワールド』はサミュエル・ジョンソン賞候補、『フューチャー・オブ・マインド』はニューヨーク・タイムズ紙ベストセラー1位に輝くなど、ベストセラーも多い。
    本書は、2021年出版の『THE GOD EQUATION:THE QUEST FOR A THEORY OF EVERYTHING』の全訳。
    内容は、アインシュタインが統一場理論と呼び、「神の心を読む」ことができると言った「万物の理論」を求めて、人類が2000年に亘って続けてきた研究の歴史を振り返り、更に、今日、著者を含む多くの物理学者がその究極の理論と考えている「ひも理論」について、批判的な意見も含めて説明したものである。
    尚、章立ては以下である。
    第1章:統一~いにしえからの夢 第2章:アインシュタインによる統一の追求 第3章:量子論の登場 第4章:ほとんど万物の理論 第5章:ダークな宇宙 第6章:ひも理論の誕生~期待と問題 第7章:宇宙の意味を探す
    著者は、この究極の理論が確立すれば、ビッグバンから始まり宇宙の終わりに至るまで、あらゆる事象が説明できるとし、科学の中でもとりわけ深遠な、以下のような疑問にも答えられる(可能性がある)といい、本書の中でもこれらに触れている。
    ◆ビッグバンの前に何が起きていたのか? そもそもなぜビッグバンが起きたのか?
    ◆ブラックホールを抜けた向こう側には何があるのか?
    ◆タイムトラベルは可能なのか?
    ◆ほかの宇宙へつながるワームホールは存在するのか?
    ◆高次元は存在するのか?
    ◆いくつもの並行宇宙からなるマルチバース(多宇宙)は存在するのか?
    宇宙には始まりがあったことは、今やほぼ確かなことである。そして、(或る)宇宙には終わりがあるらしいことも分かりつつある。即ち、我々人類の住む宇宙は有限らしいのだ。しかし、或る宇宙から新しい宇宙が生まれるのであれば、宇宙は永遠に続くともいえるのかも知れない。よって、宇宙を説明することを可能にする「万物の理論」は、究極的には、宗教・神の問題、更に、我々の存在する意味を考え直すことにもつながるのである。
    これ以上なく壮大で、かつ、世界中の物理学者が取り組んでいる最先端のテーマを、僅か200ページ余りで説明しており、専門知識のない私には、後半に行くほど本質的には理解できないことが増えていったが、サイエンス・ノンフィクション物として読むには十分に面白いものであった。
    (2022年4月了)

  • 万物の理論=神の方程式は「ひも理論」であることを提示する。
    ニュートンが運動と重力の法則を打ち立てた結果、産業革命の礎が築かれた。ファラデーとマクスウェルが電気と磁気の力は一つのものだと明らかにすると、電気の革命が幕を開けた。アインシュタインや量子物理学者たちが、現実の本質は確率論的で相対的であることを示すと、今日のハイテク革命の火蓋が切られた。
    そして近い将来、四つの基本的な力(重力、電磁気力、強い力、弱い力)の全てを統一する万物の理論=神の方程式への収斂がなされるかもしれない。それが「ひも理論」だ。
    実に興味深いのは、万物の理論が打ち立てられたらさぞ科学や文明の発展に寄与するものだろうと思うところ、著者は私たちの日常生活には何ほどの影響もないだろうとしていることだ。ニュートンやアインシュタインもたらした科学的成果の人間者社会への影響とは極めて対照的な見方だ。
    そしてこの理論が影響するところは「宇宙はどこから出てきたか」といった哲学的な問題だとしている。生命の創始者としての神はともかく、秩序ある宇宙の創始者を否定することはできない、としている。
    秩序ある万物の理論は、どこからきたのか・・?確かに、科学は「万物の理論そのもの」を解明するかもしれないが、「万物の理論が存在する理由そのもの」は、科学的な実証の範囲の外にある気がする・・。
    本書は物理学の歴史を振り返りつつ「ひも理論」の概要を一般読者にも分かりやすく解説されつつ、科学の「その先」へも触れた非常に興味深い著作。充実した読後感。

  • 数式を全く使わずに説明している。サイエンスライターかと思っていたが、そうではなく研究者である。理科の学生ではなくどの学生でも簡単に読めるし、中学生、高校生でもよめるであろうから、13歳のための宇宙論というタイトルで岩波ジュニア新書にすれば売れるであろう。朝日新聞の書評で紹介されていた本だと思う。

  • 面白かった。
    ニュートン力学、電磁気学、相対論、量子論
    を統一していき、今最も有力視されている、すべてを統一する理論が
    ひも理論(or M理論)。

    今物理学を勉強したいとなんとなく思っていたけど、
    火が付いた。
    まずは解析力学や場の古典論からかな。

  • 名前だけふんわりとしか知らなかったひも理論という物がどんなものなのか少しだけ解像度が上がった
    まぁそれでもまだ全然難しいんですけれども

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著者プロフィール

ニューヨーク市立大学理論物理学教授。ハーヴァード大学卒業後、カリフォルニア大学バークリー校で博士号取得。「ひもの場の理論」の創始者の一人。『アインシュタインを超える』(講談社)、『パラレルワールド』『サイエンス・インポッシブル』『2100 年の科学ライフ』『フューチャー・オブ・マインド』『人類、宇宙に住む』(以上、NHK 出版)などの著書がベストセラーとなり、『パラレルワールド(Parallel Worlds)』はサミュエル・ジョンソン賞候補作。『フューチャー・オブ・マインド(The Future of the Mind)』 は『ニューヨーク・タイムズ』ベストセラー1 位に輝く。BBC やディスカバリー・チャンネルなど数々のテレビ科学番組に出演するほか、全米ラジオ科学番組の司会者も務める。最新の科学を一般読者や視聴者にわかりやすく情熱的に伝える著者の力量は高く評価されている。

「2022年 『神の方程式 「万物の理論」を求めて』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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