現代哲学の最前線 (NHK出版新書 627)

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  • Amazon.co.jp ・本 (286ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784140886274

感想・レビュー・書評

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  • 相変わらず驚異的な編集能力・要約能力を持ち合わせておられる。
    題名の通り、この本で20世紀の哲学の要点は大体掴むことが可能でしょう。
    単なるすぐれた要約にとどまらず、初学者が疑問に思うような点(例えばロールズの正義論の何が画期的だったか?というように)に視点を向けようと努力している点も素晴らしく、その意味で痒いところに手が届く感触があります。
    また個人的には思弁的実在論については無知だったのでとても勉強になりました。
    しかし、ある程度の前提知識を要求するような面があると思われ、全くの初心者がこの本を読んで理解できるかどうかは分かりません。
    著書もこの点に関しては本書の中で釘を指しています。
    いずれにしても、20世紀の哲学・思想を大雑把に把握する上で抜きん出た書物であることは変わりありません。  

  • E Oウィルソンの『知の挑戦』が解説される哲学関係の書籍というのはただそれだけで満足を得られたりする。


    期待して読んだのは第4章「心の哲学 「心」はどこまで説明可能か?」

    自分としては(大雑把にいって)自由意志と行動主義が同時に存在する感覚を、今ここで感じられること(事)が「こころ」と呼ばれるものだと思ってるのだけど、どっちかでないとダメみたいなところで議論しているみたいで、なんで両立しないのかが気になった。

    あと、たとえば視神経の2つの異なる系の存在や、そうした神経と脳の関係が生物の進化の過程でどのように獲得されてきたのかというあたりは哲学ではあまり考えていなくて、純粋な思考によって「こころとは何か」「主観を客観で説明できるか」というあたりの話が中心なんだなという感想。

    そのあたり、眼球の構造や視覚の研究をしていた科学者としての「デカルト」から、心の哲学はどんどん離れていくんだなという寂しい印象もある。

    こころというものは現実にはどこにも無いのだけど、こころが自分の中に存在すると感じたり、そした信念を持つことによってその人が救われるのであればそれでよいと思う。こころとは私のことである、でもいいと思う。
    でもなんかそうなると宗教になってしまうような気もするし、道具的な「こころ」ってどうなの?とか。いろいろ考えさせられはするのだけど。

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著者プロフィール

哲学者、金沢大学法学類教授。
1963年、広島県呉市に生まれる。東京大学大学院総合文化研究科地域文化専攻研究博士課程修了(学術博士)。専門は、法哲学、政治思想史、ドイツ文学。難解な哲学害を分かりやすく読み解くことに定評がある。
著書に、『危機の詩学─へルダリン、存在と言語』(作品社)、『歴史と正義』(御 茶の水書房)、『今こそア ーレントを読み直す』(講談社現代新書)、『集中講義! 日本の現代思想』(N‌H‌K出版)、『ヘーゲルを越えるヘーゲル』(講談社現代新書)など多数。
訳書に、ハンナ・アーレント『完訳 カント政治哲学講義録』(明月堂書店)など多数。

「2021年 『哲学JAM[白版]』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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