外交と国益 包括的安全保障とは何か (NHKブックス)

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  • Amazon.co.jp ・本 (268ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784140910894

作品紹介・あらすじ

北朝鮮問題、中国脅威論、国連改革…喫緊の課題にどう対処すべきか。多発するテロや地球温暖化、感染症など国境を超える脅威への対策を含め、安全保障を包括的に捉える必要を論じながら、国際社会の複雑な情勢を明快に整理。「人間の安全保障」政策などにかかわった経験を踏まえ、実務者としての当事者意識と判断の視点から、国際貢献の考え方や国益のあるべき姿を説く。

感想・レビュー・書評

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  • 外務省官僚で、東大でも教えている著者が教科書を作るつもりで作った本。

    3部にわかれており、現在の外交(アメリカ、中国、北朝鮮)の状況分析、安全保障とはどのように考えるべきか、日本の行える国際貢献とは何か である

    軍事的と言うよりも外交の側面から見た、どのような主体をもって、外交を行うべきか、そのときに何を国益として考えてそれを守ると共に、諸外国の責任を果たし方まで踏み込んだ書物だった。

    国際関係では、経済、外交、軍事 という側面は外せないが、特に外向的な側面を考えるには良書だと思う。

  • 世界の工場といわれるわりには、中国には国際レベルの自前の技術やブランドはあまりない。加工貿易において中国で付加される、付加勝つのほとんどが労働コストであるというのが実態である。

    安全保障の中核には武力紛争の問題がある。昔から戦争により歴史は形作られてきた。
    冷戦時代には米ソ両国は核ミサイルを敵対させて照準をあわせていたが、核不拡散においては協力していた。
    自国の圧倒的な核の優位を維持することについては利益共同体だった。

    小乗仏教が支配的な影響力を持つ国にあっては子供が障害を持って生まれてくるのは前世の行いが悪かったという考えが浸透しているから、障害時の案件が取り上げられないので、草の根・人間の安全保障無償資金援助が重要になる。

    円借款は1958年にインドを皮切りに開始した。

  • 官僚の視点から外交を読み解く。尖閣諸島が、北方領土や竹島と違う問題点を持つことを指摘する等、批評が鋭く、信頼できる論者だ。

  • [ 内容 ]
    北朝鮮問題、中国脅威論、国連改革…喫緊の課題にどう対処すべきか。
    多発するテロや地球温暖化、感染症など国境を超える脅威への対策を含め、安全保障を包括的に捉える必要を論じながら、国際社会の複雑な情勢を明快に整理。
    「人間の安全保障」政策などにかかわった経験を踏まえ、実務者としての当事者意識と判断の視点から、国際貢献の考え方や国益のあるべき姿を説く。

    [ 目次 ]
    序 外交実務者の視点から
    1 米国・北朝鮮・中国との関係を考える(米国とどう付き合うか 北朝鮮問題の鍵 中国脅威論をどう捉えるか)
    2 包括的安全保障とは何か(武力行使の法的評価-湾岸戦争からイラク・米英戦争まで 大量破壊兵器拡散にどう対抗するか 安保理改革と日本 日米安全保障関係の現状と問題点)
    3 国際社会にどのように貢献するべきか(人間の安全保障と地球規模問題 日本の経済協力と人的貢献)

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    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • ・現在は
     -テロに対する安全保障
     -人間の安全保障
    冷戦時のような単純な構造ではなくなっている

    ・日米安保
     日本だけ損しているという意識が強いが,アメリカの税金で日本に軍を置いてもらっている状態であり(アメリカには別の利益もあるのだろうが),日本が一方的に損な状況ではない.
    むしろ自費で国防をすべてまかなうことに比べれば得をしているのでは?(自衛隊の装備のみでは国防には不完全)
    ただ,現在の在日米軍の規模が安保に必要十分な規模なのかはよくわからない.

  • ワインおたくが書いた外交の教科書【赤松正雄の読書録ブログ】

     今から40年余り前のこと。大学在学中に、外交官を経験され、当時は外交評論家であった加瀬俊一氏から様々な外交現場の話を講義のなかで聴いたことがある。日本の国連加盟後初の特命全権大使として活躍された話の細かい中身は殆ど忘れたが、外交官って凄いと、その職業に憧れたことだけははっきり思い出す。後年私も今の立場になり、多くの外交官の知己を得た。かつて聴いたような気がするこぼれ話を期待するのだが、皆さん真面目というべきか、あまり語ろうとしない。そんな折も折り、大江博『外交と国益』を読んだ。大江さんは、今は防衛省の防衛参事官だが、1979年の外務省入省いらい、様々な外交現場に立ち会うとともに、条約課長、国連政策課長、地球規模課題担当の参事官などを歴任し、外交課題と正面から取り組んできた。と同時に、その合間に東大(05年から二年間)を始め幾つかの大学で教鞭をとってきた。そうした経験のなかで、教科書を作って欲しいとの学生の声に応じて、書かれたものだという。

     「米国・北朝鮮・中国との関係」「包括的安全保障とは何か」「国際社会にどのように貢献するべきか」の三つ角度から9章に分かれた内容は、政府の正統な見解を知る上で、極めて実用的だ。永く外交と安全保障にかかわってきた者にとっても、格好のおさらい書となりうる。とくに、第4章「武力行使の法的評価」は読み応えがあった。反政府的立場に立つ人は異論、反論がいちいちあろうが、それはそれなりに役立とう。

     実はこの人、知る人ぞ知る「ワインおたく」。今から14年前の朝日新聞夕刊によると「コレクションは二千本。年間に四百本を開けるという。横浜の保税倉庫の一角には、輸入業者にまじって『大江コーナー』があるほど」というから並ではない。私も一度ご相伴に預かったことがあるが、そのお店は彼のワインの持込みを許していたから、その関係や推して知るべしだろう。

     残念ながら、この本にはワインのワの字も出てこない。次の機会には是非ともワイングラスの影から見た国際政治の現場を書いて欲しい。

  • 外務省勤務の実務者視点を徹底した外交論。
    理想主義の外交を夢見ていた自分にはいい薬となった1冊。
    国益と外交のバランスについて考えさせられた。
    章だても論理的で、主題もはっきりしている。
    それでも最後の今後の日本外交についての意見はややありきたりな感じを受けるのは自分が理想主義者だから??

  • 6章で、日本の国連入りについてわかりやすく語ってくれているのです^^

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