虫食む人々の暮らし (NHKブックス)

著者 :
  • NHK出版
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感想 : 19
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  • Amazon.co.jp ・本 (219ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784140910917

作品紹介・あらすじ

東南アジアの田んぼで、アフリカのブッシュで、岐阜の森で、世界中の人たちが、顔をほころばせて昆虫を味わっている。虫を採り、食すことで、生命と環境に五感で触れているのだ。バッタを狙い、カメムシを買い求め、ヘボを愛する中で、カラハリ砂漠の子どもは狩猟民として生きていく術を学び、ラオスの人は都市化で消えゆく「野生」を取り戻す。つまり昆虫食とは、自然と対話して恵みを得る智恵なのだ。日本中、世界中の昆虫食を追って旅してきた著者が描く、昆虫と人間が相互に深く交わる、豊かで美味しい営みの姿。

感想・レビュー・書評

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  • 2021年4月期展示本です。
    最新の所在はOPACを確認してください。

    TEA-OPACへのリンクはこちら↓
    https://opac.tenri-u.ac.jp/opac/opac_details/?bibid=BB00238719

  • 食料が乏しい地域の貴重な蛋白源・・・というのが昆虫食のイメージ。だがこの本には食べたいから食べる“嗜好品”としての世界各地の昆虫食が述べられている。ハチのほかカメムシにイモムシ、タガメにアリ。昆虫食の見方がかわるかも。

  • 怖いもの見たさで手にしたら、…あれ?ちょっと食べてみたいかもという自分が。(カメムシやイモムシはハードル高いけど、ハチノコなら…)。貧しくてこれしか食べるものがないから食べる訳でなく、楽しみ、嗜好品として口にし、自然を享受している事実。それが自然のサイクルとマッチして、環境にも一番いいと思…えるのですが、実際この生活は、無理だなぁ。ただスズメバチはミツバチの敵として、ジビエ感覚で食べてみたいかも。

  • 正直のところ、タイトルだけを見た印象で「あんな虫や、こんな虫、奇想天外な虫を食べる文化圏が有る」ようなグロ的な期待感を持っていたのだが、良い意味で全く違った。
    「食物の選択肢に乏しいから」、「味に対するこだわりが少ないから」、「それ以外は、ただのもの好き」とか、勝手なイメージを持っていたが、逆だった。
    我ながら、根拠の無い見下しイメージで自分を縛っていたことに反省。
    「嗜好品」であったり「ソウルフード」であったり、「狩りを行う動物としての本能」のようなものや原風景であったり。
    認識を改めさせられました。

  • 昆虫食を通して、世界の多様な食文化が垣間見られる本です。
    著者の探究心と、自然と共に生きる多文化への敬意が伝わってきます。
    説明も写真入りで丁寧で読みやすいです。

  • 祖母が時々バッタを捕まえて佃煮にして食べていたという話を聞いていから昆虫を食べる人達が多くいることは知っていた。
    でもここまで沢山の種類が食べられていたことは初めて知ったよ・・
    カメムシって食べられたんだね・・・。

    食べられることは知っていてもやっぱりいざ目にしてしまうと
    食べたことがない人は「うっ・・」となってしまうと思う。

    虫は貴重なタンパク源と言われるけれどそれを食べる人たちにとってはそれだけじゃなくて、
    季節の楽しみを感じるものでもあるということ・・・
    昆虫食って奥が深い。

  • 貸し出し状況等、詳細情報の確認は下記URLへ
    http://libsrv02.iamas.ac.jp/jhkweb_JPN/service/open_search_ex.asp?ISBN=9784140910917

  • 虫を食べる話を、ゲテモノ食いとか、文化論とかではなく、フィールドワークに基づいた生体論として説く。
    ラオスと南アフリカの事例が多く取り上げられており、そこは人間と自然がちょうどまじりあう「野良」として定義されている。
    虫を食べるのは、貧しいからでも、貴重なカロリー摂取源だからでもなく、おいしいからである。
    しかもこの「おいしい」というのは、文化的な価値も含んだ複雑なものである。

    これは当たり前の話だ。日本人が魚を好きなのを、「宗教上の禁忌から肉が食べられないので魚を食べている」「肉の食べられない日本人にとって魚は貴重なカロリー源である」とか言う西欧人がいたら、「何言ってんだこの外人、アホか」と思うであろう。

    文化相対主義的立場に立ったうえで、観察に基づく生態学的な解釈をするあたりは、非常に好ましい。「一面の黄金色」ではないラオスの農村とか、南アフリカのモパニムシの流通とか、目からうろこという感じである。

    また、カメムシの匂いに関する、日本・南アフリカ、ラオスの比較は、素晴らしいと思う。
    今までカメムシ=臭いとしか思っていなかったし、また奇食談の類では、「臭い」という感覚の主観的なゆらぎが追及できなかった。

    しかし、この作者の虫食愛は、なんともほほえましい。
    自分の好きなことを、一生懸命研究しているという感じがする。
    こういうの、いいなあ、と思う。

  • カメムシを食べる民族の話が楽しい。

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著者プロフィール

1964年愛知県生まれ。名古屋大学大学院文学研究科史学地理学専攻中退。理学博士。現在、立教大学文学部教授。地理学、生態人類学、民族生物学を専攻。人間と身近な自然をテーマに世界各地を回り、昆虫食文化について研究を進める。著書に『民族昆虫学』(東京大学出版会)、『虫食む人々の暮らし』(日本放送出版協会)、編著に『野生のナヴィゲーション』(古今書院)、『ヴィエンチャン平野の暮らし』(めこん)、共著に『環境地理学の視座』(昭和堂)がある。2008年、人文地理学会賞受賞。

「2008年 『昆虫食先進国ニッポン』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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