生命の未来図 (NHK人間講座)

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  • Amazon.co.jp ・本 (142ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784141890614

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  • (2002.03.16読了)(2002.01.30購入)

  •  柳澤桂子著『生命(いのち)の未来図』。サイエンスライターというジャンルからの発言。

     「ヒト・ゲノム」の解読。正確には「全塩基配列順序の決定」とするらしいが(49p)、やはり難解。「まえがき」に進化の道筋を正確に理解うようだが、システムを理解すること自体が難しい。 

     遺伝子診断。障害をもつ胎児を出産するべきか、あきらめるべきか。間違いのないことは、福祉の充実(64p)とする。

     「私たちはなぜ死ぬのか」。その要因は老化とばかりおもっていたが、それは人間の一面であって、女王バチなどなかなか壮絶。栄養を特別に摂取するのでハタラキバチにくらべ10倍の長生きをする。
     その女王バチは一度だけ結婚飛行に出て、多くの雄バチと交わるも、交尾した雄バチは瞬時に死ぬのだそうで。
     その女王バチも体内にとりこんだ精子を使いはたすと、雄のハタラキバチに殺されてしまうのだ、そうで(101p)。

     衝撃的とも思うのは、著者自身の闘病体験。
     モルヒネも聞かなくなり、あとは薬物で意識の鎮静化をはかるしかないと、医師に宣言される。その後に、夫と息子がそれぞれ友人から「そういうときには抗うつ剤が効く」と、聞いてくる(121p)。
    夫が博士で、科学者一家の掃討にインテリジェンスの高い一家であればこそ、得られた情報。
     庶民ならどうする?。精神科医師の領域に、担当医師にはそうした知識もなかったようで、医療のブラックボックス。強い痛みにともなう苦痛も解消されたという。

     このさき生命科学は、どこまで進化するのか?。著者も問うている。そのうえで、「東洋の思想を世界に知らせる義務がある」と結ぶ。

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著者プロフィール

柳澤 桂子(やなぎさわ けいこ)
1938年、東京都生まれ。お茶の水女子大学卒業。コロンビア大学大学院修了。Ph.D.(遺伝子専攻)。お茶の水大学名誉博士。生命科学者,サイエンス・ライター。著書に『脳が考える脳』『遺伝子医療への警鐘』『生と死が創るもの』『いのちの始まりと終わりに』『患者の孤独 心の通う医師を求めて』『生命の秘密』『われわれはなぜ死ぬのか』など多数。



「2022年 『リズムの生物学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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