NHK 100分 de 名著 渋沢栄一『論語と算盤』 2021年4月 (NHK100分de名著)
- NHK出版 (2021年3月25日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (135ページ)
- / ISBN・EAN: 9784142231249
作品紹介・あらすじ
モラルとビジネスの両立とは。いま世界が注目する「日本近代の立役者」の思想を読む。
2021年のNHK大河ドラマ「青天を衝け」の主人公で、新一万円札の顔にもなる渋沢栄一の代表作『論語と算盤』。約500の会社の設立に関わるだけでなく、約600もの社会福祉事業にも精力を注いだ。行き過ぎた資本主義の弊害が問題視されるなか、『論語』の教えを重視し、倫理的で社会全体を富ませる経済のあり方を追求した渋沢の思想と人生を、中国古典の専門家である守屋淳氏が解説する。
感想・レビュー・書評
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「渋沢栄一『論語と算盤』」守屋淳著、NHK出版、2021.04.01
135p ¥600 C9430 (2021.05.19読了)(2021.03.27購入)
【目次】
【はじめに】近代日本の「原点」に学ぶ
第1回 高い志が行動原理を培う
第2回 「信用」で経済を回せ
第3回 「合本主義」というヴィジョン
第4回 対極にあるものを両立させる
☆関連図書(既読)
「青天を衝け(一)」大森美香作・豊田美加著、NHK出版、2021.01.30
「雄気堂々(上)」城山三郎著、新潮文庫、1976.05.30
「雄気堂々(下)」城山三郎著、新潮文庫、1976.05.30
「論語とソロバン」童門冬二著、祥伝社、2000.02.20
「孔子『論語』」佐久協著、NHK出版、2011.05.01
「論語」貝塚茂樹著、講談社現代新書、1964.08.16
「論語の読み方」山本七平著、祥伝社、1981.11.30
「孔子」和辻哲郎著、岩波文庫、1988.12.16
「孔子」井上靖著、新潮文庫、1995.12.01
(アマゾンより)
モラルとビジネスの両立とは。いま世界が注目する「日本近代の立役者」の思想を読む。
2021年のNHK大河ドラマ「青天を衝け」の主人公で、新一万円札の顔にもなる渋沢栄一の代表作『論語と算盤』。約500の会社の設立に関わるだけでなく、約600もの社会福祉事業にも精力を注いだ。行き過ぎた資本主義の弊害が問題視されるなか、『論語』の教えを重視し、倫理的で社会全体を富ませる経済のあり方を追求した渋沢の思想と人生を、中国古典の専門家である守屋淳氏が解説する。 -
そもそも『論語』も『算盤』も渋沢の志を成就させるものだった。エピソードとして興味深いのは、あの岩崎弥太郎が共同事業を持ちかけた時、"志"と違うから、蹴った。人によっては"岩崎のような大物に失礼をすれば、あとあとマズイ"と考えるだろうが(実際、その後ふたりは仲違いしたまま終わる)、渋沢は志を貫く。孔子も晩年、中央政界を追われるが(中国の思想家はこういう人が多い気がする)、『論語』から行動様式を学んだのだろう。
しかし、場合によっては、志を"曲げる"ことも辞さない。思考のバランス感覚が柔軟で、そこも教えが生かされている。
面白いのは、論語と算盤の"イノベーションを思い付いたのが、渋沢じゃなかったということ。この人の生涯をみると、さまざまな人に助けられていることが分かる。行動の人だけど、助けと運(導き、というか)も感じられる。
守谷さんは『論語』と『算盤』の共通点は、"信用"という。自分は"誠"もあると思うが、これこそ、孔子の思想の根幹と思う。
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なぜか内容が薄く感じた。
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”渋沢栄一は、「論語」と「算盤」の均衡を図りながら、社会と向き合っています。””状況に応じて、割合(「論語」と「算盤」の)を調整しながら、社会を良くしていこうとしました。(P132)
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自分の子供の頃には小学校で道徳の時間があったことを思い出した。
日本の復活には日本人の復活が必要。
そのためには全ての基礎となる幼少期からの道徳教育から考え直さないといけない。
分をわきまえる、、自分の役割を認識して自分の能力でいかに世の中の役に立てるかを考えること。 -
p.2021/4/7
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20220227
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合本主義、士魂商才、知情意、二項対立思想からの脱却が渋沢の思想。SDGSやクラウドファンディング、格差社会など、現代の経済の公益重視の思想は渋沢の思想と一致する。論語と算盤という対立する概念をうまく中道的にまとめて解釈している点がすばらしい
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これは完全に個人の感覚だと思うが、内容や語り口が生理的に苦手だなぁと思うものが多くてうまく受け付けられなかった。渋沢自身の考え方や振る舞いが嫌なのか、それともそれを基に解釈される著者の言葉が嫌なのかわからないが、どうにも歪に感じてしまう。一つだけ良いと思ったのは、対極的な価値観をどちらも認める不純さが様々なものを包み込めることになるというところだった。これは良い、これは悪いとぱきぱき分けるのではなく、敢えてグレーにすることで多くの人を評価できるようになるというのは大切な考え方だと思う。