ル・ボン『群衆心理』 2021年9月 (NHK100分de名著)

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  • NHK出版
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感想 : 30
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  • Amazon.co.jp ・本 (97ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784142231294

感想・レビュー・書評

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  • 1人より30人のほうが騙しやすい。
    分母が増えると誰が決定したのか、なぜこうなったのかが追いにくくなる


    議論を閉じる方向の「わかりやすさ」
    わかりやすさ、要約は、議論の入口であるべき。


    人々が良い事をしている場合、自身も良き方向に進む 例:いつもトイレを綺麗に使って頂きありがとうございます。

  • ル・ボンを、ここでは単なる素材とした武田砂鉄のラジオでも聞かれる名調子が考え方論調共に炸裂していてとても面白く読めた。
    直後に番組も見たが、いつもとは違い、むしろこのテキストの感想戦といえるものであった。興味深かったのはこの本でも元来の武田砂鉄でも主張されている、攻撃すべきメディア、その代表格としての伊集院光とのギリギリの攻防が見られること。テキストの批判を理解はしているが決して納得しないそれぞれのスタンスのぶつかり合いがとても面白かった。

  • テレビで見てから読む。テレビの方がショッキングな内容の紹介で、本の方がよりメッセージ性が強い。時間を作って抜粋されていない方を読む必要のある本であることは間違いない

  • 「ル・ボン『群衆心理』」武田砂鉄著、NHK出版、2021.09.01
    97p ¥600 C9411 (2021.10.15読了)(2021.08.26購入)
    『群衆心理』は、1999年12月に読んでいますが、理解はできなかったように思います。
    今回のように読み解いてもらうと、そういうことが書いてあったのかとちょっとわかったような気になります。もう一回ル・ボンの本を読むといいのでしょうが、さて、どこへやったかな?

    【目次】
    【はじめに】現代社会を動かす群衆
    第1回 群衆心理のメカニズム
    第2回 「単純化」が社会を覆う
    第3回 操られる群衆心理
    第4回 群衆心理の暴走は止められるか

    ☆関連図書(既読)
    「群衆心理」ギュスターヴ・ル・ボン著・桜井成夫訳、角川文庫、1956.03.05
    「群衆-モンスターの誕生」今村仁司著、ちくま新書、1996.01.20
    「オルテガ『大衆の反逆』」中島岳志著、NHK出版、2019.02.01
    (アマゾンより)
    善良な個人が狂暴化するとき
    人びとが無個性化した「群衆」と化す過程を辿り、その特性や功罪を考察した社会心理学の名著。なぜ群衆は合理性のない極論を受け入れるのか? 指導者やメディアはいかに群衆心理を煽動するのか? 気鋭のライターが政治のあり方からネット炎上までを俎上にあげ、現代にはびこる群衆心理の問題をあぶり出す。

  • とても良かった。武田砂鉄さんの言葉、要所要所で刺さった。原作も読みたい。

  • SNSが拡がる現代において、皆が共有すべき内容だと思います。

  • 「群衆」が社会や世間、個人にもたらす影響を昨今の社外状況やメディアの振る舞いを例に解く。番組内での武田砂鉄と伊集院光のやり取りもわかりやすく興味深く見た。

  • ギュスターヴ・ル・ボンの『群衆心理』を武田砂鉄が解説。ー群衆は意識的ではなく無意識的に群れている
    ー群衆は単純化・わかりやすい言説に惹かれる、あるいはわかりやすい言説が群衆を作る
    ー断言・反復・感染が群衆を作る
    ー自分も群衆に巻き込まれている可能性に自覚的であるために、立ち止まり本当に自分の意見なのかを考える

    近代化以降、群衆という無意識的存在が誕生し、多くの歴史的事件を引き起こしてきた。近代とは群衆・大衆の時代といってもよく、オルテガの大衆の叛逆、バークの著作などはその辺りの問題意識に基づいたものだろうし、フロイトの一連の著作も大衆論と関連づけて読むこともできるだろう。そして、コミュニティが存在しない都市であるが故の殺人事件を解決する探偵小説が誕生した。そして、マルチチュードもそのような群衆を良い方向で使おうとする試みだと思う。SNSの発達によって、地域的に限定的だった群衆の動きが地域を超えて広がるようになったのが現代であり、日本は幸い日本語圏に閉じた話題になっているが、アメリカなどは世界的なムーブメントになってしまうところがまた難しさを孕んでいる。
    ところで、単純化・わかりやすさを求める傾向は人間が生きていく上では必要なスキルの一つでもあるので、これを止めることはできないのも事実。問題は単純化に抗うのではなく、著者も述べているように、漏れているものはないかと振り返ることだろう。要は一つの意見に根拠なく凝り固まるのが問題であり、その点を克服するための視点をいかに確保するのかという点が問われているのだと思う。

  • 第3回65ページ「いつの時代も、仕事帰りの酒場には、酔った勢いの断言が溢れ、同じ話を反復する酔客の姿があります。私もかつて、会社員として働いていた頃は、そういう場に参加していたのでよくわかるのですが、様々な意見が好き勝手に放り込まれているようでいて、結局、職場の権力構造に沿った展開に行き着きます。「今日は無礼講で」なんていいながら、しっかりと空気を読み合う場になっているのです。」これ名言だと思った!「断言・反復・感染」によって群衆は操作される!

  • 本屋で一目見て買おうと思った本。
    日本社会といえば同調圧力、全体主義。
    この本はフランスの社会心理学者が130年前に書いたものだが、驚くほど現在に通じるものがある。
    群衆は衝動的な自動人形、単純さを好み、本能的に隷属する。
    群衆だけでなく一般大衆は正しく推理する力を持たず、心象で物事を把握する。陰謀論やキャッチコピーなど、わかりやすいものが大好き。
    群衆を動かすには、信仰を用意すること。断言と反復と感染。論証のない言葉も、100回断言すれば真実になる。単純な幻想と支配に群衆は吸い寄せられていく。

    この書はヒトラーも活用し、「広報の父」エドワード・バーネイズという人も学んだ、裏ハウツー本。
    私たち大衆はこれを読み、大衆をバカな群衆に仕立てる権力者(政府とマスコミですよね)の手口を学び、回避したい。そして、問題意識をきちんと持った「連帯」を広げること。これは政府ではなく大衆からしか起こらない。

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著者プロフィール

1982年、東京都生まれ。出版社勤務を経て、2014年よりライターに。近年ではラジオパーソナリティーも務める。
『紋切型社会――言葉で固まる現代社会を解きほぐす』(朝日出版社)で第25回Bunkamuraドゥマゴ文学賞などを受賞。他の著書に『日本の気配』(晶文社、のちにちくま文庫)、『マチズモを削り取れ』(集英社)などがある。

「2022年 『べつに怒ってない』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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