第四の扉―ツイスト博士シリーズ (ハヤカワ・ポケット・ミステリ) (ハヤカワ・ミステリ 1716 ツイスト博士シリーズ)

  • 早川書房
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感想 : 26
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  • Amazon.co.jp ・本 (212ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150017163

感想・レビュー・書評

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  • タイトル絡みの密室の謎については、令和の今となっては目新しさを感じなかったが、それ以外の、全てが一つにまとまっていく論理的な展開には、思わず声を上げそうになるくらいの、素晴らしさ。

    しかもそれだけではなかった。その後に待っていた展開には思わず、狂気の沙汰かと叫ばずにいられないだろう。すごいこと考えるな。人の心を苦しめる作家なのか? このフランス人の本格推理作家、「ポール・アルテ」という人は。推理だけでなく、物語も素晴らしいなんて。そして、やるせない。何か言ってあげたいのに、彼には、かけるべき言葉も見つからない。

    いやいや、まだ終わらなかった!!
    この上、更に驚天動地な展開を見せるというのか。まさか、よくある幕間すら油断することができないなんて・・作品が1987年発表というのは全く関係ない。確かなことはポール・アルテが、ただ者では無いということ。個人的にはオーバーだが、スタンディングオベーションしたい気分。これだけ推理小説で、ゾクゾクするような嬉しい敗北を味わったのは、初めてかもしれない。

    推理小説好きな方は、読まないと後悔しますよ。

  • 霊媒師とマジシャン
    「人の不幸」を裏手に霊能力者として金持ちの主に取り憑く。主の息子(マジっシャンに憧れた)にバレたことで殺害に発展するが、トリックを逆用して遂に殺害されてしまう。結末は意外な展開となる。「人の弱み・不幸」に絡んだ悪毒商法は多く、一度絡まれると「神頼み」のように全霊的に、深く取り憑かれていくのが恐ろしい。

  • 作者はカーの作品のフェル博士やH・M卿の調査を続けさせたかったが為に作品を書き始めたと言う程のカーファンです。
    本書はその為、カーの雰囲気満載です。
    ダーンリー家の屋敷には数年前に密室状態の屋根裏部屋で全身を切り刻まれて死んだダーンリー夫人の幽霊が出るという噂があり、その屋敷に霊能力を持つと称するラティマー夫妻が越してくると不思議な事件が続発します。
    隣人の作家アーサーが襲われると同時にその息子ヘンリーが失踪します。
    そして、呪われた屋根裏部屋での交霊実験の最中、密室殺人が起こります。
    犯罪学者アラン・ツイスト博士が奇怪な事件の真相を暴きます。
    最後の最後に驚きの真相がさらに1つあります。

  • 第三部で、え?となって、第五部で、ひええ!ってなりました。面白かった! ポール・アルテははじめて読みましたけど、この後のシリーズも読みたい。
    どんでん返しからの、さらなる一捻り。

  • 多分、何十年ぶりかに、翻訳の本格ミステリー小説を読みました。少ないにもかかわらず、登場人物名がなかなか覚えられずにいましたが、面白く読み終えました。

  • フランスのカーと言われるだけあり、密室殺人に交霊会と雰囲気満点。ただ本家と比べてしまうと、大人しいのが正直なところ。まとまりがいいのは確か。だがドタバタを求めてしまった。
    トリックよりプロットに目がいく作家ではないか。構造の妙であったり、最後の一撃だったり、計算されたラストまでの流れ。紛れもなく本格の血が流れる作者の新作が読めることに感謝と期待を。

  •  最後まで読んで、おもしろい! て思ったけど、序盤……というか、結構終盤になるまで、何だか書き方がまどろっこしくて、読むのが面倒くさかった。
     キャラの感じがちょっと「??」て感じだった。
     あと、最初、いつの時代の話? てなった。

     タイトルの『第四の扉』……何かもっと他にうまいタイトルありそうな気もするけど。

  • かつて密室殺人があった部屋があり、幽霊屋敷と噂される屋敷に新たな住人が越して来た。直後、隣人が交通事故で死亡。その主人が襲われ、息子は失踪と事件が続く。新たな住人は霊能力があり、幽霊屋敷で交霊会が行われるが、またもや密室殺人が…。犯人と思われた人物が殺されたかと思えば、生きて現れたり、同じ人物が同時刻に別の場所で目撃されたり、混乱させられる事柄が続出する。「あ、こういう仕掛けあるよねー」と思えば、最後にはドンドンドンデン返しが。フランス人作家によるイギリスが舞台のミステリー。ディクスン・カーやアガサ・クリスティを彷彿とさせる少し懐かしさを感じさせるミステリーだった。

  • 最初は昔の怪奇的要素を含んだミステリーかと思ったが、第三部でひっくり返されて、最後にもう一回ひっくり返されて。ミステリーとしては今一つだけれどちょっと趣向が変わっていた。

  • 初版2002年に読んで再読、なのに内容をすっかり忘れていた。ミステリは、詳しく感想を言おうとするとどうしてもネタバレになってしまう。『カササギ殺人事件』同様こちらも言わば入れ子構造になっているのだが、その劇中作?に登場する人々の動きがどうにもぎくしゃくして不自然だったり、一方で影が薄かったりしたのは、「小説」だったからなのね、と第三章で気づく。
    立役者のツイスト博士も大した見せ場もなく、実は自殺、実は事故、実は替え玉そっくりさんとか、バカミス一歩手前と思わせるのも「カーの再来」面目躍如かな。
    肝心の「第四の扉」のトリックは辛うじて「あり」だとは思う。同じようなトリック、確か歌野晶午の作品にもあったような気が。
    ツイスト博士シリーズはこの後の『死が招く』から『虎の首』まで一通り読んだが、私は『狂人の部屋』が一番面白かった。

        

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著者プロフィール

ポール・アルテ:
フランスの推理作家。ジョン・ディクスン・カーに傾倒し、密室殺人などの不可能犯罪をテーマに、名探偵が活躍するクラシカルな本格ミステリを精力的に発表している。日本でも、2002年に邦訳された『第四の扉』以来、作品が3作連続で「本格ミステリ・ベスト10」の1位を獲得するなど高い評価を得る。

「2023年 『吸血鬼の仮面』 で使われていた紹介文から引用しています。」

ポール・アルテの作品

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