泥棒は深夜に徘徊する ― 泥棒バーニイ・シリーズ (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)

  • 早川書房
3.41
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本棚登録 : 76
感想 : 15
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  • Amazon.co.jp ・本 (349ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150018023

感想・レビュー・書評

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  • 今年読んだ海外作品の中でこの一冊がベストかもしれない。久しぶりに「海外ミステリ」の素晴らしさを再認識した。人を食ったような、ひょうひょうとしたような、そんないい感じに力の抜けたゆるい世界観にすっかりハマってしまった。ありがちなシチュで始まったストーリーだが、進みだすと先の展開が読めなくなる。センテンスはシンプルで小気味が良く、目立たなく配置されたユーモアに何度も読み返しては、そのたびに爆笑させられた。ひとくせあるキャラクターたちは魅力的で嫌味がない。ストーリーとキャラで読ませるのかと思いきや、しっかりと謎解きも披露してくれる。とってつけたような謎解きシーンだが、真相が判明すれば、その仰々しさにも納得できるというもの。ここからラストまでの間に少し贅肉がついてるような気もするが、大抵の読者にとっては許容範囲だろう。

  • 仕事の決行は週末、今夜は下見だけの予定。なのに、泥棒の職業病か、バーニイはどうしてもその夜のうちに別のひと仕事をしたくなってしまった。そこで偶然目についたアパートへ侵入したのだが、それが仇となろうとは。アパートの住人が突如戻ってきたために、ベッドの下に隠れて、とんでもない事態に直面。なんとか難を逃れたと思いきや、街のその一画で偶然別件の強盗殺人が発生しており、街角の防犯カメラに姿をとらえられていたために、今度は殺人の容疑者に。自ら犯人を捕まえるしかなくなったバーニイ、またしても東奔西走する羽目に!
    原題:The Burglar on the Prowl
    (2004年)
    —- 目次 —-
    泥棒は深夜に徘徊する
    訳者あとがき/田口俊樹

  • 泥棒バーニィの10作目。

    防犯カメラ? 使い捨て携帯?
    そんなものが登場するようになったとは。
    解説によると、1977年に始まったこのシリーズ、
    2004年になっているので当然かもしれないが、
    隔世の感を禁じ得ない。

    事件の方は、盗みの虫が抑えられずバーニィが入った部屋で、
    ドラッグ・レイプが発生するという衝撃的な展開。
    被害者が眠り続ける部屋で、
    荒らされた部屋を片付け、盗んだ宝石を戻すバーニィ。
    でも、なぜか冷蔵庫で見つけた大金は持ち出すところが、
    泥棒だから、ということなのだろうか。

    ミルク・シュートという牛乳の投げ入れ口から侵入しようとして、
    詰まってしまったのには笑えた。
    キャロリンが友達で良かった。

    いつもは保険金がらみで盗みを頼んでくる友人から、
    女がらみで頼まれた盗みが、
    国際的な展開もあって、最後には謎解きの会が行われていた。
    今度のガール・フレンドとは続くと良いのだけれど。

  •  バーニイものもこれが最後。気の利いたタイトルがもう尽きたものかしごく当たり前で意味のないものになっている。中身は相変わらずといえば相変わらずだが今回はちょっと事情が異なる。やや長く退屈な前置きの後で泥棒にはいるのだが、例によってそこに偶然死体が転がっていて巻き込まれるという話ではなく、不可解な出来事はあるもののどちらかといえばバーニイの方から首を突っ込んで調べまわるという趣向になっている。考えてみると自由にどこへでもはいりこめる探偵というのは犯罪捜査で大きな力だ。何も自分の無実を晴らすという動機づけなどなくたって、純粋に泥棒の副業というかそういう探偵譚にしてしまえばいいような気がするな。さてストーリーはバルト三国のひとつラトヴィアとロシアの確執が重要なモチーフとなっている。ん、ここはアメリカだよなスウェーデンじゃないよな。最近立て続けに読んでいる北欧ミステリに似たような話が出てくるので一瞬混乱する。最後は関係者を集めて探偵バーニイの謎解きとなるのだが、本人がすべての謎を解いてないのでそこが今一つだ。

  • 謎解きの部分がややこしかった。このシリーズは初めて。ユーモア感覚がなかなか良い。殺し屋ケラーよりバーニイは自分の仕事に罪悪感を持っているのね。

  • 泥棒バーニイ第十作。
    原題"The Burglar on the Prowl"

    今度は写真を巡ってひと騒動。
    バーニィが盗みに入る所に事件あり。
    盗みに対してここまで病的になる彼は初めて見る。

    種明かしはいつもより少し分かりにくかった。
    珍しくキャロリンもバーニィも相手を見つけて満足する終わり方。
    特にバーニィはここ数作女運に恵まれてなかったので良かった。

  • 最早バーニィが不幸の芽を蒔いてるとしか思えないくらいに、彼の行く先々で事件がまあ起こる起こる(笑)。
    あと、何がすごいって、一見関連性が見出せない個々の事件や人々を、閃きでリンクさせちゃう彼の第六感ですよ(笑)。
    自分の周辺でこうも立て続けに色々あったら、関連付けて考えたくもなるかもしれませんが、それを言っちゃあ推理小説はお終いよ〜( ^ω^ )←

    そんなわけで、ベット下に隠れる羽目になったり、強盗殺人の容疑者になったり、狙撃されたり、泥棒に入られたり(笑)、と中々忙しいバーニィが楽しめる今作。

    私にとってはシリーズ2作目ですが、既読作品以上にキャラ達のやり取りが楽しめました。
    こんなに砕けた会話してたっけー?とレビューを見返したら、そこは変わってないっぽいですね。前作は雪の山荘もので、レギュラーキャラが少なかったせいかしら?
    で、今作で出てきたレギュラー陣の刑事さんや弁護士さんとの絡みがいちいち揚げ足取ったりで可笑しかった(笑)。

    ただ、バーニィの閃きが推理を支えているだけあって、読者がフーダニットを楽しむ作品ではありません。だって、犯人、まさかの終盤でようやく出てきますからね…(°_°)



    その夜は、次回のターゲットの家を下見するだけーーの、筈だった。不意に目についた建物に侵入したのが運の尽き。物色中に部屋の住人が帰ってきて、辛くもベット下に隠れたバーニィは、とんでもない事態に直面する!
    その上、何とかその場から逃れた彼を翌朝待っていたのは、強盗殺人の容疑だった?!

  • 前半は淡々としている。主人公泥棒のバーニー・ロ-デンバーの単調な日々の心理描写と友人キャロラインとのシモネタ会話が面白いが、話の盛り上がりに欠ける。でも後半、謎がこんがらがってから面白くなる。最後まで読んでのお楽しみ。

  •  バーニイシリーズを読むのは久しぶり。もうこんなに出てるんだね。初期の何作かを読んだだけなのでびっくりである。

     たとえばルパン3世と違うのは、彼が根本的に「こそ泥」であり、自分のやっていることを全くカッコいいと思っていないことだ。端から見ていても全然カッコよくない。それどころか、彼が自分の良心に言い聞かせる言い訳にいちいちうなずきながら、「ったく!」と言いたくなる。ま、それがとっても親近感のわくところなのだけど。僕は(比喩的な意味をのぞけば)泥棒じゃないつもりだけど。

     ミステリとしてはちょっとできすぎ。偶然と必然のアクロバットという感じだ。「一体これ、どうなってくのよ」とバーニイの動きにつきあっているうちに、「実はこういうことだったんです」とびっくりするような全体像を見せられる感じ。無理あるんじゃない、って思うんだけど、特技を生かしたバーニイの活躍は気持ちがいい。

     しかしまあ、バーニイっていい奴だとは思うけど…みんな泥棒に寛大なのね。全然義賊でもなんでもないのにね。いい奴だって思っちゃうあたりで、作者にやられてるのかしらん。何とも不思議なヒーローである。
    2007/8/29

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著者プロフィール

ローレンス・ブロック Lawrence Block
1938年、ニューヨーク州生まれ。20代初めの頃から小説を発表し、100冊を超える書籍を出版している。
『過去からの弔鐘』より始まったマット・スカダー・シリーズでは、第9作『倒錯の舞踏』がMWA(アメリカ探偵作家クラブ)最優秀長篇賞、
第11作『死者との誓い』がPWA(アメリカ私立探偵作家クラブ)最優秀長篇賞を受賞した(邦訳はいずれも二見文庫)。
1994年には、MWAグランド・マスター賞を授与され、名実ともにミステリ界の巨匠としていまも精力的に活動している。

「2020年 『石を放つとき』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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