終わりなき道 (ハヤカワ・ミステリ 1910)

  • 早川書房
3.60
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本棚登録 : 120
感想 : 16
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  • Amazon.co.jp ・本 (584ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150019105

作品紹介・あらすじ

誘拐された少女、女性刑事、殺人罪で収監されていた元刑事がそれぞれ隠し続ける衝撃の真実とは? エドガー賞2冠&週刊文春ミステリーベスト10第1位作家の圧倒的筆力! 五年ぶりの最新長篇!

感想・レビュー・書評

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  • 五年ぶりの長編だが、ジョン・ハートの作品だという先入観がなかったら飛ばし読みで終わっていたかも。評価は甘め。

    刑事が絡んでいるふたつの殺人事件という特異な設定でスタートする。この事件を軸に進んでいくのだが、のろのろの蛇行運転で徐々に暗さが増してくる。登場人物に共感できない点と、破綻していくストーリーに閉口したが、それでも読めてしまうのがこの作者のスゴさなのだろう。既読作品でも同じようなことを感じてたので、これはもう相性ですな。

    原題は『贖罪の道』。被害者であり加害者でもある人物たちが背負う罪。そこから逃れられずに、赦しを乞うことも与えることもできずに苦悩する姿が痛々しい。それぞれが隠し続ける真実というスタイルはこの作家ではよくあるが、今回の真実はかなりヘヴィー。そこに思い込みやら独りよがりの心理が絡んでくるから、頑なに口を閉じたまま状況はどんどん悪化する。

    終盤は怒涛の展開。そこからラストまで一気に流れるが、中途半端な感は否めない。一番感じたのは、主役の男女の互いに対する想い。この気持ちに沿って行動しているのに、そこの結びつきがイマイチ理解できないのでストーリーに入り込めなかった。真犯人の動機も無理があるし、この結末もいかがなものか。これだけ厚く詰め込んだ物語のラストとしては違和感ありあり。ホントにこれでいいのか? でも、どんなラストだったらしっくりくるのかと自問したら何も思いつかなかったので、これでいいのでしょう。 今は疲労感が半端ないので、今後のリピートについてはそのうち考えよう。

  • 評判どおりの壮大な物語。エリザベス刑事の魅力がもう一つだったけど、最後の大団円までハラハラさせる筆力はさすがです。
    次作も分厚いですが、挑戦します。3.6

  • 長すぎ

  • 『川は静かに流れ』以来のファンで見つけると読んでいるジョン・ハートの作品。主人公は犯人を射殺し少女チャニングを救出したものの、弾倉の18発をすべて二人の犯人に発砲しており拷問や処刑の疑いを持たれ、犯人が黒人の兄弟だったために連邦警察の捜査対象となって停職中の白人刑事エリザベス。相棒の刑事にも心は許さず、仲間より事件の被害者や遺族に共感し寄り添うタイプ。エリザベスには少女時代の命の恩人で憧れの刑事がいるのですがその刑事エイドリアンは殺人の罪で有罪となり服役中、状況証拠だけでなく物証もあるなかエリザベスだけは無罪を頑なに信じておりそのことでも警察内で孤立しています。読み始めてしばらくぶりだったのもあり、冒頭から複雑な事情を抱えた女性刑事が登場して、もしかしてシリーズものの途中から読んでしまったか?と不安になってしまいました。エイドリアンが殺人犯として収監されていた刑務所から13年ぶりに釈放されたその日に、遺児であるギデオンが母の仇を討とうと父親の拳銃を盗みエイドリアンを襲おうとして逆に大けがを負います。自分の問題だけでも手に負えない問題を抱えながらエリザベスはチャニングとギデオンを守ろうとします。。。と、概要を書こうとしても無理な複雑な設定を、ぐいぐい読ませる筆致の力強さは健在でした。冒頭はいきなりの展開にとまどいながらも中盤までくればいったいどうなるのかと読むのがもどかしい感じに。とはいえ終盤には犯人はこの人かもね、と推測が出来てしまい、推測は出来るものの納得するには至らず、それでも設定や構成はしっかり考えられており流石なのですが、これはもしや海外版の辻村深月さんなのではないか、と思いついてしまって、ちょっと残念な気持ちになりました。もう一作品くらい読んでみて、今後も追いかけたいかどうか決めようと思います。

  • 2021.6 欧米小説って監禁、拷問が好きだなぁ。残酷なシーンも多いし、救いようのない奴らばかりでした。とにかく長くて読み疲れました。

  • エリザベスに始まり、相棒のチャーリー、引退した弁護士など脇役も魅力的。とても面白かったです。

  • 読了後に考えたら原題の「贖罪への道」の方がしっくり来るなぁ。「罪」を「購う」ことについてものすごく考えさせられる小説である。

    主人公は女性警官、10代女性監禁レイプ犯(黒人)に対し18発もの銃弾を放ち殺したことで、報復リンチの可能性があったとして旧職中。彼女はその事件捜査を意図的にうやむやにしている。

    もう一人の主人公は元警官、女性殺人事件の罪により13年の刑に服して出所。殺人を犯したことは冤罪であることが間違いなさそうにもかかわらず、なぜ服役し刑務所内の壮絶なリンチに耐えたのか?出所後も刑務所長一派の監視を受けるのはなぜなのか?

    この二人とレイプされた少女、母親を殺した警官に復習を誓う男の子、4人を中心に複雑な人間模様が織りなされる。出てくる人出てくる人、登場人物すべてに何がしか(それも決定的な)の欠点、弱みがあり、その弱み欠点も輻輳して、複雑に絡んで行く。そのもつれヨレが解きほぐされた時に浮かび上がるエゲつなく哀しい巨悪のすさまじさ。

    犯人探しだけなら物語中盤くらいで「あぁ、こいつ怪しいな」と分かってしまうのではないだろうか?俺はなんとなくわかったし、その結果に対するどんでん返しはなかった。ただ、物語の中に隠された巨悪が肥大していった背景がすさまじい。

    人間ってこんな風になってしまうのか…そして俺も全く例外ではなく、この物語に出てくる「出来ればなりたくないな」と思える登場人物たちの一人に、あっさりなれてしまうだろうことへの恐怖。じゃぁどうしたらいいのかという解決方法が示されない(示せない)ことへの絶望。

    ラストがハッピーエンドなのが救い。とはいえ、彼らにとって完全な平穏などもう戻ってこないだろうなと思う。彼らは一生贖罪の重たい枷を背負って生きていく。

  • いちいち攻撃的な口調の主人公エリザベスを好きになれなかった。しかし物語の面白さと奥深さには脱帽。登場人物の一人ひとりが息づいている。

  • 読み応えは期待以上。
    みな救済されたかな。

  • ジョンハート最新作。相変わらずの面白さで特に中盤は引き込まれたが、最後はちょっとバタバタして終わった印象。

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著者プロフィール

1965年、ノース・カロライナ州生まれ。ミステリ界の「新帝王」と呼ばれる。2006年に北米最高のミステリ賞であるアメリカ探偵作家クラブ(エドガー)賞最優秀新人賞候補作『キングの死』で華々しくデビュー。その後、2007年発表の第二長篇『川は静かに流れ』で、同賞の最優秀長篇賞に輝いた。2009年の第三長篇『ラスト・チャイルド』は、エドガー賞最優秀長篇賞および英国推理作家協会(CWA)賞最優秀スリラー賞をダブル受賞。エドガー賞最優秀長篇賞を二年連続で受賞した唯一の作家となる
『終わりなき道 下 ハヤカワ・ミステリ文庫』より

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