広告会社の取締役ミッチェル・コーティネーは金星移住広告の担当となった。しかし、ライバル会社から命を狙われ、さらに、資源保存協会(コンシイ)の妨害にも注意を払わなければならなかった。そんな時、部下に裏切られコスタリカの食料製造工場に奴隷並みの待遇で放り込まれた。そこで暗躍するコンシイの組織に潜り込みなんとかニューヨークまで戻ることができたが、そこにもライバル会社の殺し屋が現れる。何とか逃げ延び、自社の社長がいる月に逃れ無事元の地位に戻るが、すぐに社長がライバル会社により殺されてしまう。コーティネーは次の社長となったが、コンシイの一員だった妻のキャシイに別れを告げたのを後悔し、彼女を探し求める。そしてコーティネーとキャシイは金星をコンシイの手に委ねるよう手配した。
仕事のためには手段を選ばないコーティネーは、搾取する側から搾取される側に追い落とされても、その信念に変わりはないように見えた。それが社長になってからあと、どのような理由かまったくわからずコンシイの方針に傾く。このあたりが唐突過ぎる感がある。
巨大広告会社により他の企業が支配され、政治家さえも歯向かうことができないような未来は、人口の1/16の支配者層でさえ自由に水も使えず、食べ物も人工物ばかりという有り様。コンシイはコーティネーから見るとテロリストのように見えるが、金星を少数の支配者層のみで食い物にしようとするのを妨げ、地球での過ちを繰り返すことなく持続的な発展をさせようと考える人たちのように感じる。