- Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
- / ISBN・EAN: 9784150121211
作品紹介・あらすじ
第一短篇集である単行本『紙の動物園』から、母と息子の絆を描いて史上初のSF賞3冠に輝いた表題作など、7篇を収録した短篇集
感想・レビュー・書評
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中国で生まれ少年期にアメリカに移住し育った著者。その生い立ちと経験が深く濃く反映されている気がした。それぞれの短篇、設定は面白かったが、なぜかいま一歩作品の世界に入り込めず…。
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表題作の印象的なタイトルから気になっていた作品だったが、期待以上だった。とても短いページ数の作品ばかりなのに、長編小説を読んだような心持ちになり、素晴らしい短編小説というのはこういうものなのだと再確認することができた。
「紙の動物園」では、切ない読後感とともに、紙でできた動物たちを通した親の子供への限りない愛情を感じた。取り返しがつかなくなってから後悔しても時間は戻らないのだから、今のうちに親孝行したいと強く思わされた。
SFとして読んだときにいちばんいいと思ったのが「結縄」で、タイトルに関わるSF的なネタにとどまることなくもう一ひねり加えてあって、物語にさらに深みを持たせているところに作者の高い技量を見て取ることができた。
いずれも短編傑作集の名前に恥じない素晴らしい作品群だったと思う。作者の他の作品や中国SFと言われたとき名前を聞かないことのない「三体」にも手を出したくなった。 -
折り紙の動物に魂を込めた母親の気持ちに気づいた息子を描く表題作ほか。
ここ10年で注目されるSFの旗手、ケン・リュウによる短編集です。話題となっていた「紙の動物園」は気になっていたけど読むのは初めて。うっかり読んであっさり泣かされてしまいました。SFというよりもとても抒情的な作品で、心の柔らかいところをぎゅっとされるようなお話でした。
ほかにも移民問題を題材にした「月へ」や、かつてのアカ狩りを描いた「文字占い師」などは社会(アメリカ)の闇にも光を当てる、アジア人ルーツならではかもしれない見方で社会を描いたりと、野心的な作品も多く、また、AIやプログラミングの視点から人格や思考を読み解いたりと、SFらしいSFでも楽しませてくれました。
全体的にはとても心に訴えかける作品が多く、短編集ながら印象強い一冊になっていました。これは名作だ。
短編集シリーズとして「もののあはれ」もセットで出ているのでこちらも読まねばなりませんね。 -
SFかと思い購入したが中国の歴史と結びつく辛い話が多くて読み進めるのが大変だった。『文字占い師』は悲しく虚しい結末に一番心を揺さぶられた。
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実によくできている作品ばかりなのに、飽きちゃうのはなぜなんでしょうね。マア、ぼくだけなのかもしれませんが、どうも、そのあたりがこの作家の「秘密」かもしれませんね(笑)。
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紙の動物園が1番わかりやすいが、その他の短編も悪くない。けどそれ私は中国風味をやや苦手としており、今後の付き合い方は考えたい。
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理系理系していてるネタ料理SFで、こういうの読みたいよねうんうん、と好感。ニューディール政策でアメリカ国内を振興するのではなく、太平洋トンネルを建設していたらという話が、まるっきりフィクションなのにおもしろかった。
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『髪の動物園』と『もののあはれ』を一気に読んだ。久しぶりに本を読んで泣いた。どちらもいくつかの言語を行き来する物語。よく出来ている、上手い!