水の都の王女 上 (ハヤカワ文庫 FT キ 1-1)

  • 早川書房
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感想 : 11
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  • Amazon.co.jp ・本 (331ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150202378

感想・レビュー・書評

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  •  一神教と多神教を信奉する社会が同時に存在している世界観。しかし、上巻ではまだ二つの世界は邂逅していないため楽しみは下巻に持ち越しである。

     ダブル主人公なので視点は程よい感じに移り変わるのだが、今のところその二人にまるっきり接点がないのでこれが本当に繋がった物語なのか、正直戸惑ってしまうほど。王女、青年ともに微妙なところで幕を引いてしまったのであらゆる意味で下巻を待つしかない。世界観は好感をもてるのだがなぁ……

  • このお話の世界はまるで土着の神話みたい。山や川や小さな石ひとつひとつに神が宿り、それらの神々は畏れ多いとともに生き生きしている。ただ静かに奉られているだけではなく姿を現して答えを返してくれる。人の姿になって少年と寝る女神とか、領域を荒らされて怒り狂う森林の神とか、懇願を聞き入れて土地を分けてくれる山の神とか。

    そんなアミニズムな世界の中にあるただひとつの一神教国家、強大な力を持つ「大河の神」を奉る国の王女ヘジ。
    お姫様だけれどあまり社交会ではなく、いつも護衛の青年ツェム(巨人と人間のハーフ)とふたりきり。10歳のときに親しかった幼馴染が神殿の奥深くへ連れ去られ、そのことをきっかけに大河の神と自分の一族について調べ始める。王宮図書館で気難しい司書ガーンの仕事を手伝わされながら古文書の読み方を学び、その昔大きな力を持ち神殿を破壊しかけた幼い王がいたという隠されたエピソードにたどり着く。
    そしてその頃、ヘジに試練のときがやってくる。幼馴染同様に神殿の奥へと消え去るか、正式に王族のひとりとなるか…。

    もうひとりの主人公は辺境の部族の少年ペルカル。成人した夜に小川の女神の恋人になり、その愛の虜となって、女神を苦しめる大河の神を討つことをひそかに決心する。ある日、部族長に誘われて森の神の元へ向かうのだが、畏まって土地を分けてもらおうとしている族長とは裏腹に、ペルカルの目的は森の神の元から、大河の神を討つための強力な武器を手に入れることだった。

    最初のほうはいまいち盛り上がらない。
    ヘジはお姫様らしく我がまま無鉄砲な探索ばかりしていてツェムを困らせているだけだし、ペルカルは女神にのぼせきって現実の責任を放棄したまま無謀な夢に酔っているし。そのうえ彼はかなり狭量で激昂しやすい。だいじょうぶか主人公?
    主人公たちが幼いせいか文庫本という形態のせいなのか、しっかりした世界観のわりには重厚さがなくて、なんだか物足りないなーとも思っていました。でも主人公たちの紹介が終わり、悪霊や荒ぶる神々が姿を現し始めるとどんどんテンポがあがってくる。この世界が見えてくる。神々が世界の隅々まで満ちているのが。

    下巻に入ると、思い上がったつまらない人間だったペルカルがぐっと成長してやや陰のある頼れる青年になるのだけど、その変化も見事。向こう見ずな怒りっぽさは薄まり、自分の運命を呪いながら戦う姿は格好いい。何故か突然彼についての描写まで洗練されたものになって白い肌に明るい巻き毛、灰色の目っていうのがすばらしく素敵に思えてくるから不思議。

    下巻ではお話が完結せず、さらに「神住む森の勇者」という続編があります。

  • ダブル主人公の片割れヘジが、10歳から始まったため、なかなか気持ちが入らず。ツェムですら17歳。子供過ぎて感情移入しにくぅーい。

    一方のペルカルは15歳から。まあこっちは順当に愚かでイキオイだけの若者感で楽にスタート。

    アフリカや南アメリカの神話を彷彿とさせるなー。

  • 玄関
    ほんだらけ袋

  • 古いハヤカワ文庫のファンタジーです。
    大河の神の分身といわれる王家の姫ヘジと、遠く離れた地方の少年ペルカルが主人公。
    それぞれのパートで苦難にあい、やがてペルカルがヘジのいる国へと導かれていきます。
    様々な種族、様々な神、原始的な生活と都市、いろいろな事が対比しあい絡まりあう、なかなか面白い話でした。
    図書室の主ガーンとヘジの会話も好印象。
    続編も読もうと思います。

    カバー・本文イラスト / 加藤洋之&後藤啓介
    カバーデザイン / ハヤカワ・エージェンシーデザイン室
    原題 / "THE WATERBORN"(1996)

  • もしかしたら、すさまじい名作かもしれない海外ファンタジー。
    挿絵が良い。

  • ファンタジーものにハマった頃、表紙イラスト買い(笑)
    でも話も面白かった。続編のシリーズも出ていて、今でもかなりお気に入りのお話だv

  • 私がファンタジーを書くとき、この本の影響を受けていないものはありません。アニミズムの世界観と、ヘジの心の成長、ペルカルの苦悩にいつの間にか傾倒していきます。

  • 主役のペルカルが、情けない!ぜんぜんカッコよくない!それが旅を続けるうちに、それなりの男に成長してゆきます。この世界の神は、身勝手な大自然そのものです。ペルカルはそういった神の思惑に躍らされて、旅を続けるのです。望まない英雄と呼ばれながら。久々に、ファンタジーを読んだ!という気になれます。また王女ヘジが頑張ってます。自分の運命に懸命に抗おうとする彼女は好感がもてます。よく女の子のほうが早く大人になるといわれますが、まったくその通りだとおもいました。ペルカルよりヘジのほうが成長率が高い(笑)それでも二人で手を携えていくところが微笑ましいです。

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