魔法 (ハヤカワ文庫 FT フ 11-2)

  • 早川書房
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本棚登録 : 284
感想 : 43
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  • Amazon.co.jp ・本 (526ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150203788

感想・レビュー・書評

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  • <poka>
    分厚い本ですが一気に読めました。
    読み進むうちに、しだいに状況はわかってくるのですが、最後に迷宮に入り込みます。

    <だいこんまる>
    おもしろそうだけど、厚すぎて読む時間がありませ〜ん。

  • 途中までは楽しく読めたけどラスト数十ページがわからん。
    結局記憶の食い違いは何が理由なのか?間をおいてもう一度ラストだけ読んでみるつもり。

  • クリストファー プリースト「双生児」を読んで、読んでみたくなった。
    魔法=glamour 魅力的というだと姿がみえるとかみえないとか。存在がどうとか。
    [2008/5/28]地元図書館で借りる

  • 語りの魔術師プリーストが仕掛けたメタフィクション的で不思議な円環構造

  • ばれるようなネタがないとはいえ、ネタバレのうちかも。
    読み終えた瞬間は、きょとーん、です。
    何だこれ?どうなってんだ?とハテナだらけでした。

    あとがきに「奇書」とありますが、確かに奇妙な話です。
    プリーストの他の小説もそうであるように、話自体が奇怪というだけではなく、構成が妙なのです。
    神出鬼没の男ナイオールを核に全体を見直してみて、ようやく謎がほどけてきました。


    昔、確かディズニーがアニメで使った手法だったと思いますが、アニメの中に突然「アニメの絵を描いている人の手」が割り込んでくる、そして、画面の中でどんどんそれまでになかったものを描き足していく、するとその描き加えられたものがまた、最初からあったもののようにアニメの話に参加して、ストーリーが進んでいくというのがありました。

    フィクションには、必ず作り手があって、作り手の視線や意志が「存在」しているのに、読み手(または観客)はそれを意識しません。
    作者は物語中では「見えない」もう一人の登場人物であり、また、物語を動かす神のような存在でもあります。
    上記は、その当たり前なのに意識されないことを、直接的に表現したシーンで、初めて観たとき、何か世界が突然くるっと裏返しになったような、ぞくぞくするような新鮮さがあったのを覚えています。

    主人公の恋人スーの過去の男であるナイオールは、フィクションの登場人物の一人でありながら、この「見えない」存在であり、ゆえにすべての場面に通じていることが可能で、なおかつ物語中の誰からも見られずにいるのです。
    同様に、主人公やスーが「見えなくなる」のも、彼らもまた一種の表現者(カメラマンや画家)だからでしょう。

    画面に映し出される映像を観るとき、私たちはふつう、その向こうでカメラを回している人物の存在を意識することはありません。
    少し違いますが、歌舞伎の舞台に登場する黒子なども、表現者の付属物として「見えない」ものの一つですね。

    存在しない存在という立場をいいことに、やりたい放題のナイオールですが、彼の背後にも彼の黒子としてのプリースト氏がいるわけで……さあ、困りました。

    表現作品によって、見るもの読むものを「魅了する」。表現することによって、ある意味自分自身をさらけ出しているのだけれど、しかし、作品のなかに作者自身の姿はない。もしあったとしても(自画像とか私小説とか)、それは表現の一部であって、現実の表現者とイコールではない(スーが言うとおり、ナイオールの写真はナイオールではないのです)。


    「見ている私を見ることはできない」という矛盾を突いたフィクション。
    「ここに君がいたらいいのに」という葉書の文言も意味深です。

  • 同著者の「奇術師」が面白かったので購入。記憶を一部失った男、その失った期間に出会ったと主張する女性、彼女の元恋人との三角関係……。
    その記憶に秘められた真実を巡る話かと思いきや、中盤で大きく方向転換させられ、首を傾げているうちにラスト。
    うーーーーん。これは「奇術師」以上に賛否が分かれそうな話だ。私自身、楽しく読めた一方で、あのラストに多少脱力したことは否めない。
    まあ、ツボにはまると本当に病みつきになる作家だとは思う。「奇術師」もそうだったが、この作品も読み終わった人とこのもやもやを分かち合い、「あれってこれでいいの?」と語りたくなった。

  •  ものすごく面白かった。とびきり極上のエンターテインメント作品。堪能できて幸せ。 最後の最後で企てが明かされ、その事実に驚愕しつつも、また最初から読み返したくなること必至。そういう意味で、魔法(というか魔力)に満ち満ちた作品です。 読み終えてあらためて表紙を見ると、意味深ですごくいい表紙イラストですねえ。うんうん。こういう感じ。

  • 報道カメラマンのリチャード・グレイは爆破テロに遭遇して大怪我をし、過去数ヶ月の記憶を失います。
    保養所に訪ねてきた女性スーザンは恋人だったというのですが、少しずつ取り戻した記憶はスーザンの話と大きく矛盾し…

    出だしは記憶喪失ネタのミステリのよう。
    中盤は大人の恋愛心理物としても読める内容です。
    しかし、…ええ?…へええ…まさか…うわ?わわ!
    と予想外に話は転がっていきます。

    「魔法」というタイトルでファンタジーかと思いましたが、幻想文学という意味でのファンタジーですね。
    世界をひっくり返すような奇想の作品という点ではSFに近い感触。
    原題は「THE GLAMOUR」で「魅力」と訳しても良いんですが、この言葉、昔は恋人を他の人間に見えなくする魔法をかけて貰う、という意味でも使われていたそうなんです。
    プリーストは43年イギリス生まれ、66年デビュー、95年「奇術師」で世界幻想文学大賞を受賞しているそうです。

  • ちょっと待って!その先は言わないで。<br>
    <br>
    異能戦士かよ。<br>
    しかも「そこにただおる」(漢字忘れた)じゃねえか。<br>
    相変わらず訳の分からないオチ。奇術師の時は、”はっきりと説明されていないけど、こうかも知れない”、という解釈ができたけど、これは全然わからない。まるでジャンプの打ち切りみたいだ。誰か、頭の悪い俺に教えてくれよ。プリーズ。<br>
    再読させる気になる一冊。(ただし、最後の3章のみ)<br>
    <br>
    で、頭を冷やして再読した結果、これは[ユービック]なのだと結論。<br>
    あー、すっきりした。<br>

    ブンガクだろうと読み捨てのスペースオペラだろうと、指定通りの商品棚に並んでいないと、俺のような馬鹿は誤読してしまうのであった。反省。<br>
    でカテゴリはSFへ修正。<br>

  • 著名なカメラマン、グレイは爆弾テロに巻き込まれ、重傷を負う。
    それによって、爆弾前数ヶ月の記憶が全くなくなってしまう。
    ある日、病院にスーと名乗る女性が訪れる。
    彼女は彼の恋人で、その数ヶ月の間に出会い、別れたという。
    スーを見ても全く思い出せないグレイだが、徐々に記憶を取り戻す。
    スーにはナイオールという昔の恋人がいて、ずっと彼女につきまとっていた。
    それが元でグレイとスーは別れたのだ。
    しかし、グレイが思い出した記憶は……
    最初は普通に、グレイとスーの旅行のことがずっと描かれていて、
    かったるいなぁ、と思っていたら、
    スーの回想が始まった途端、「あれ!?」て感じ。
    何を書いても面白さが減じちゃうから、レビューしにくい。
    都合のいいように上書きされた記憶なのか、
    それとも、ウソなのか?
    はたまた、作品全てが、作中に出てくる、
    「見えないから気づかないこと」と「本当にいないこと」は主観的には同義、ということなのだろうか?
    プリーストの作品て、ページが進めば進むほど、不安になるんだよねぇ。
    ホントに、残りのページで種明かしできるの? という不安。
    まぁ、ちゃんと終わるんだけど、
    不満ではなくて、オチの意味が消化できないんだよなぁ。
    『奇術師』はいまだに分からないんだけど、
    『魔法』もやはり分からない。
    最後どういうこと? 本当に雲にまかれて、道筋を見失った読了感。
    どこから作り物?
    『奇術師』ともども、ネタバレで誰か解説して! マジで。
    でも、オススメ。

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