双生児(上) (ハヤカワ文庫FT)

  • 早川書房
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本棚登録 : 97
感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150205782

作品紹介・あらすじ

第二次世界大戦下、時代に翻弄された二人の男の人生を、虚実入り乱れた語りで描く大作

感想・レビュー・書評

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  • クリストファー•プリーストの長編。
    なんか、普通の話だな、とちょっと退屈しながら読んでいくと。
    最後に爆弾。
    え?え? 話が違うんだけど。
    続き、めっちゃ気になる!

  • 2019/7/18購入

  • 最終的な感想は下巻に。
    (以下上巻しか読んでない状態での感想)同じ環境で育った二人の、第二次世界大戦の正反対生き方の話。イギリスから見たドイツの状況。ベルリンオリンピックで感じた人種差別と戦争へ突き進む空気。互いに空襲をし、軍事拠点から一般の都市を破壊することに思考を止め、撃墜の恐怖と戦う。戦後の記録と、回顧録が交互に出てくる。
    双子であるという設定があまり生きてない気がするけど。かたっぽのJLソウヤーの話だけだし、過去と現在交互に語られるので、全然話の方向性が見えない、どういうジャンルの話なのかつかめない。歴史小説?
    戦時の厳しさとか、家族であっても遠い存在とか、、、?

  • 『隣接界』を中断して、他の作品を先に!

  •  邦題は『双生児』、原題はSeparation『別離』。これだけでもう意味深だ。1人と見せて2人、2人と見せて1人、そんな詐術を仕掛けてきそうだ、プリーストなら。
     もっとも双生児と思わせてソーセージだったなんて仕掛けはない。ソーセージの本場ドイツが主要舞台のひとつではあるが。

     第二次大戦のノンフィクション・ライターであるグラットンは良心的徴兵忌避者にして英空軍爆撃機操縦士であるソウヤー大尉にチャーチルが言及したメモを発見し、この人物を調べようとする。読者としては良心的徴兵忌避者にして英空軍爆撃機操縦士とは双子を混同しているということだろうとすぐにわかるわけだが。
     グラットンは1941年5月10日生まれ。この日は英独戦争の歴史において戦況のかわる転機であった。この日、副総統だったルドルフ・ヘスがイギリスとの単独講和をめざしてイギリスに飛んだ日でもある。
     グラットンはソウヤー氏の手記を手に入れる。

     第2部は「わたし」の手記である。1936年、わたし、ジャック(ジェイコブ)・L・ソウヤーは双子のきょうだいのジョー(ジョーゼフ)・L・ソウヤーと車でベルリンに向かう。2人漕ぎのボート競技でオリンピックに参加するためである。2人ともJ・L・ソウヤーであり、わたしはJLと呼ばれ、きょうだいはジョーと呼ばれている。ただ競技に集中したいわたしに対して、思慮深いジョーはナチス・ドイツに向かうことに気乗りしない様子である。双子の母親はドイツ人で彼らはドイツ語も堪能であり、ベルリンで彼らは母の友人宅に逗留する。彼らは銅メダルを取り、副総統ヘスからメダルを授与されたあと、ジョーはそそくさと帰ろうと主張し様子がおかしい。
     そして1941年5月10日、爆撃機の操縦士としてハンブルク空爆に向かったわたしは撃墜され、なんとか海上まで機を飛ばして不時着し、救出されるが怪我を負って療養所にいる。ジョーは前年のロンドン大空襲で命を落としている。
     5年を隔てた話がカットバックの手法で平行して進む。
     愛のテーマはプリーストにとってとても重要だ、1936年、逗留先の母の友人宅には美しい娘ビルギットがいる。ジョーはユダヤ人である彼女をこっそりと国外に逃がす密命を帯びていたのだ。わたしはビルギットに惹かれるが、イギリスに脱出したあと、ビルギットはジョーと結婚。わたしは飛行機操縦に傾斜して空軍にはいり、ジョーは良心的徴兵忌避者として赤十字で働く。2人は仲違いして別離する。
     1941年、杖をつかずになんとか歩けるようになったわたしに、政府の接触がある。ロンドン各地で民衆を鼓舞するチャーチルの演説に付き添う副官の仕事をしつつ、重要な任務を任される。飛行機で不時着しいまや捕虜となっているヘスの調査である。

     5年を隔てた「わたし」の話がつながる。ふたたび戦線に戻ったわたしはまたもや撃墜されてドイツの捕虜収容所で終戦を迎える。そして手記は一気にJLの晩年にまで進んでしまう。
     いったいここにプリーストはどんな罠を仕掛けたのか。第3部は1999年のグラットンに戻る。グラットンはソウヤーの戦友だったと思われるサミュエル・D・レヴィ退役大佐に照会の手紙を出していたが、別の取材から帰宅してみると、レヴィ大佐からの返事が届いていた。第4部はレヴィの手記である。
     第2部のJLの手記には特に謎はないようにみえる。これは第二次大戦に否応なく翻弄された人の手記であり、それはそれで面白い。ところがである。レヴィ大佐が「JLの戦時中の奇妙なふるまい」という謎を提示するのだ。そして予想通り、JLの手記とレヴィの述懐は食い違っているわけだ、それも微妙に。そうやってプリーストはわれわれを翻弄し、下巻に謎を託す。

  • SFだと思って読み始めたら、あんまりSF要素なかった。
    でも読みやすいのでぐんぐん先へすすむ。

    WW2詳しくないし、ロンドン空襲のことなどほとんど知らなかったので新しい視点を得た感じ。
    と同時に本編と関係ないんですが、東京大空襲はこのロンドンの空襲と比べるととんでもない規模だっただんだなあと苦しくなった。


    ところで出だしの暇なサイン会の切なさといったらもぅ……

  • 第1部で語られる歴史が明らかに我々の時代と異なり、
    「ブラックアウト」「オールクリアー」を
    読んだあとなので第2部の情報はすんなり受け入れ、
    短い第3部では何やら不思議な世界の一端、
    第4部は第2部との明らかな違いが見えて。
    これだけでは単に歴史改変、並行世界のSF
    としか思えないので、帯にある
    「ジャンルの枠を超えた」がいかなるものか
    期待しながら下巻を読むのだが、邦題『双生児』
    に対して原題 The Separation。どちらが
    物語にふさわしいと感じるかも興味のひとつ。

  • 単行本を持っているので再読。といっても細かいところはすっかり忘れていたが……。
    最初に読んだ時も感じたが、じわじわと虚実が混じり合っているところがいい。所謂『SF』とは一線を画しており、作品の雰囲気自体は一般文芸に近かった。

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