- Amazon.co.jp ・本 (592ページ)
- / ISBN・EAN: 9784150308810
作品紹介・あらすじ
荒廃した地球を離れ火星での250年間の凍眠を決断した人類は、地球の復興作業にあたる機械人を監視するため、人造人間アートルーパーを創造した。その一人、訓練部隊の慧慈軍曹は火星行きを拒む残留人一派と遭遇、交戦する。創造主から傷つけられた体験、そして機械人アミシャダイらとの出会いを経て、慧慈は自らの存在意義を問いなおし始めるが…。『あなたの魂に安らぎあれ』『帝王の殻』に続く「火星3部作」完結篇。
感想・レビュー・書評
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年末年始<火星三部作>通し再読1。刊行順と迷ったけど、今回まずは“全ての始まり”であるところの三作目から。一通りストーリーをわかった上で読むと、後に繋がっていくちょっとした言葉や変化で初読時よりもまた一段と泣ける。(おかげで今、目元かさかさである。)これを読むのにかかりっきりでいられるのは贅沢だ!よし、下巻。
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ひとに作られたひとが、世界を造るに至るまでの物語。
『あなたの魂に安らぎあれ』『帝王の殻』に続く3部作のラストにして根源。
……ものすごく繊細で、優しく、すべてを認めようとした人造人間が、残酷なほどの“創造”を行うまで。
「すべてを救う」と彼が言った瞬間に鳥肌がたちました。その技法は、『あなたの魂に安らぎあれ』を読んでわかっているのに。
“人間ではない”からこそ立ち上がった彼が、あまりに切なく美しかった。
こういう物語があるから、SFはいい。 -
処分しようと思ってその前に3部作を最初から読みなおしたけど「あなたの魂」「帝王の殻」は処分しても良いかなと思ったけどこれだけは手元に置いておこうと決めました。3部作最終巻だけどこれだけでも完結してるし時系列的には最初の物語なので未読の人はこれだけでもおすすめです。
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膚(はだえ)の下〈上〉 (ハヤカワ文庫JA)
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実加に字を教える場面、慧慈の脳の中で発火する発見の連続が凄まじい描写だった。釘付けになってなかば焦りながら文を追って読んでしまったのに、そのイメージはスローモーションで再生されているかのように頭の中に膨らんでいって、強烈な印象を叩きつけられた感じ。そのまま慧慈の感覚をなぞる体験をさせられてびっくりした。
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火星三部作の最終作。
人に限りなく近づけて作られたサイボーグ「アートルーパー」を主人公にしたSF小説。
「人間でないもの」の目を通して荒廃する地球に住む人間たちを描くことで、「人とは」「人の創造主とは」「創造とは」を読み手に考えさせる小説だ。
後半の主人公が提唱する地球の保護方法はどこか宗教めいていたり、周りの人間の理解が非常にスムーズだったりと引っかかる点は少しあったが、おおむね楽しく読めた。 -
火星シリーズ3部作の完結編。SFの描く空間としては、地球と火星だけなので、けっして広大なものではないし、また時間軸も250年のスパンしか持っていない。にもかかわらず、神林の描く作品世界は実に壮大だ。アンドロイドと機械人アミシャダイの設定を通して、この作品で繰り返し問い続けられるのは、アンドロイドは(ひいては人間は)何のために存在するのか、生きていることの意味とは何か、である。主人公慧慈(アンドロイド)の成長と懐疑を通して我々読者もそれを追体験するのだ。そして、そのキー・コードは「愛」だろう。
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三部作の中でこれがいちばん読み応えがある。長さだけじゃなくてキャラクターが活き活きしてました。犬好きにはたまらない。最後は泣ける。
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読了