さよならアリアドネ (ハヤカワ文庫JA)

著者 :
  • 早川書房
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本棚登録 : 137
感想 : 11
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  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150312084

作品紹介・あらすじ

「十五年後にあなたは破滅します」政志の前に現れたアリアドネ邦子は、突然そう告げた。絶望的未来を回避するための方法とは――?

感想・レビュー・書評

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  • おばさんが最高に気持ち悪い。

  • 不幸の未来を回避するため15年後のある日を72回繰り返し、特別なその日の予行演習をしておくこと。読み始めると繰り返しが結構早いのに気付きます。まだ半分も読んでないのにもう71日めに突入。やっぱり72日めはいろいろあるんだろうなぁと思っていると予想外の展開。

  • アニメ監督の著作という触れ込みで興味を持ったのだが……
    無理だ。御都合主義すぎて胸糞。それでも、376頁中、頑張って314頁まで読んだ。
    終始おっさんのワガママ行動を見せられるわ、おばさんは優柔不断でイライラするわ、これをラブコメと表現するにはコメディー要素が足りなさすぎない?
    表紙の可愛い少女と猫はどこだよ。


    アニメーターで愛妻家の主人公が、離婚され廃人となった老後の自分から、過去をやり直すために邦子というタイムトラベル案内人(?)を派遣してきた。
    未来の彼は不倫で夫婦関係が綻んだそうで、破局のきっかけになったある夏の1日を"72回"やり直して成功体験を体に染み込ませ、来たる未来、パラレルワールドごと幸せにさせるというものらしい。

    主人公は色々と試行錯誤するが、最終回に全て上手くいくというお約束な展開。
    タイムトラベルがやっと終わったと思ったら、結果報告に帰った邦子が未来の主人公と同衾してしまったと抜かす。己が貞操を守るため、未来を修正すべく邦子編突入。
    彼女に親身になれるほど愛着を持てなかった一読者としては冗長としか感じなかった。
    主人公にすら好意を持てていないのに。


    主人公は新人と、邦子は上司と。それぞれが不倫していた事実は変わらないからモヤモヤした。
    自分が元凶のくせに、タイムトラベル中に何度も自暴自棄になる主人公にイライラした。
    タイムトラベルで良い感じに修正できても結局不倫してしまうなら、偉そうなこと言っても全く説得力ないし…ひたすら妻が不憫に感じて、主人公への不快感が強まっていった。
    未来トラベルで、いくら注意されても近しい人間に干渉しまくるし、バタフライエフェクトなんて糞食らえの御都合主義だ。

    邦子はといえば、主人公のタイムトラベル中、勝手に妻の服を着たり、トイレに漫画持ち込んだり、他人の家でやりたい放題。
    意思も股も緩くだらしない彼女だから、未亡人的な設定があっても全然同情できなかった。
    その最愛の男も、子を持つ親として努力の方向を間違えている典型的な仕事バカで同情ができない。
    元妻や実の娘に塩対応で、プロポーズした新しい女には甘いってクズでは。
    著者は子供をアクセサリーか何かだと思っているのだろうか。
    最後まで読んでいないので、邦子の腹の子が本当かどうか知らないが、もし本当だったら子供が可哀想だ。
    不倫の子なんて全方位ハッピーになるはずがなかろうに。


    不倫や浮気は最低だと思うから、物語の素材としても嫌いだ。
    でも、なかには『きみに読む物語』のようにピュアで熱いものもある。
    しかしこの作品には、そんな負の感情を吹き飛ばす深い愛や、驚くような展開があるわけでもない。
    「他愛」を学ぶねらい(そしておそらく本作のテーマ)のタイムトラベルだったのに、「自愛」に終始している。
    発展性がなく、どこまでも閉鎖的だ。
    主人公の変化を邦子編で描こうとしたのだろうが、未来人への干渉は、後先考えず勢いで行動しているだけに受け取れるし、更に言えばヤケクソ感が強かった。
    ひたすら中年の男女がジタバタともがき、自分を慰めているようにしか見えないのが本作の欠点だと思う。


    作中に、「その間、○秒。アニメでいえば、○コマ。」だとかアニメ用語が時々出てくるけど、物語にはほとんど関わりないからうざったいと思った。
    職業病という表現なのか?これ書いた俺アニメ関係者だぜドヤァくらいにしか思えない唐突さ。
    作中で描くエロアニメの話をもっとクローズアップするくらいじゃないと、この表現が活きないと思うんだけど。
    また、二十四時間表記のくせに「午後二十一時〜」という頭の悪い書き方をしており、校閲仕事してくれと思った。

  • アニメーターの方が書いた小説だが、これをそのままアニメ化するとすごく地味になりそう。

  • 軽いタッチのタイムトラベル人情物語。小気味のよいアニメ映画になりそうな感じ。(2016年2月15日読了)

  • 未来を変えるために、更に先の未来を変える?ため、更に更に未来の自分から依頼を受けたというアリアドネ邦子の導きで未来へタイムトラベル。というのが前半だが、ある意味その部分は前座。本編は後半の邦子編。前半だけでも(ありがちではあるが)面白かったが、後半はもっと面白かった。邦子が魅力的すぎて。
    改変がどうとか、辻褄がどうとかいう話ではないので軽く読める。最後も綺麗にまとまっているが、ちょっとした毒もあって面白い。アニメ監督だけあって、カエルの雨やら、未来の埋め立て地、埋め立て地での言葉の奔流、コミカルで少し切ないダンスなど、想像するだけでいい気分になる場面も多かった。

  • タイムトラベル、タイムリープもの。アニメーターの中年男が主人公。未来からやってきたアリアドネ邦子から将来奥さんと離婚して寂しい余生を送りますと告げられた主人公が契機となる日を繰り返して納得となる1日を過ごすためのパートが前半。後半は未来から来たアリアドネ邦子さんの過去の後悔を改善する動きで主人公が奔走する話。タイムトラベルとして科学的考証が甘いし、ストーリーもしっちゃかめっちゃかだけどなんだかほっこりする。ヒロイン?のアリアドネ邦子が中年の太めのおばちゃんというところが、あまり感情移入できないところが惜しい。

  • よくあるタイムリープものなんだけど
    途中である仕掛けにちょっとだけ
    ざわついて、心が揺さぶられる。

    時をかけろ 中年

  • ぶんこでいずで紹介されていた一冊。とても面白い作品でした。些細なことだけどタイトルと表紙絵が内容と似つかわしくないように思えてしまった。
    あらすじ(背表紙より)
    「15年後、あなたは奥様や友人に見捨てられ不幸のどん底にいます」平凡だが幸せな毎日を過ごすアニメーター・服部政志に、未来からきた中年女性“アリアドネ邦子”は、恐るべき破局の訪れを告げる。「15年後の8月23日を72回繰り返してください」―そうすれば、最悪の将来から逃れる方法が見つかるという。ヒントは飼い猫のコテツ!?夏の終わりの吉祥寺を翔けるタイムトラベル・ラブコメ!気鋭のアニメ監督初の書き下ろし。

  • よくあると言ってしまえばよくあるタイムスリップもの。とある1日を繰り返すことになりますが、過去を変えるのではなく、よりよい未来を選択するための、言ってしまえばリハーサルをする話なのが特徴的。
    ただ、それだけでは終わらず、こじらせた恋愛が絡む妙に生々しい話に発展します。ヒロインはこじらせ中年女だし、これといったアクションもない。それでもぐいぐいと引き込まれて終盤は一気読みでした。不思議にSF感のないSFですが、描かれるそれぞれの時代の差異の表現とか、そうとは感じさせずに設定は意外にしっかりしています。

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