ウルトラマンF (ハヤカワ文庫JA)

著者 :
  • 早川書房
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本棚登録 : 96
感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (334ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150313463

作品紹介・あらすじ

実験事故により"再び"巨大化した富士明子隊員。地球に侵襲する脅威と戦う彼女の体が謎の光に包まれた時、そこに現れたのは……

感想・レビュー・書評

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  • 初代ウルトラマンが去った後の話。
    スケールが大きいわりに登場人物が少ないとか、
    謎の双子、偽博士とかのオチが強引とか、
    色々と気になるところがあるが楽しく読めた!

  • 小林泰三作品では「アルファ・オメガ」でハードSFなウルトラマンが描かれましたが、こちらはウルトラシリーズで映像化してもいい感じです。

  • 以前、この小説のいち場面を描いたファンアートイラストを観て気になり、昨日書店で購入させて頂いた。
    この小説は初代『ウルトラマン』後の世界を描いたものだ。舞台は、話中にも登場する棲星怪獣ジャミラの生没年から推測された20世紀後半。ウルトラマンが去った後、怪獣を相手に戦ったその実力を見た世界各国は、怪獣災害対策と銘打って軍拡競争を始めていた。その渦中にムラマツキャップ(この小説では漢字表記の「村松」と呼ばれている)をリーダーとする科学特捜隊のメンバー達が巻き込まれていく。
    いちばん思い悩むことになったのは井手隊員だろう。彼は『ウルトラマン』のジャミラ登場時にも、人類の科学のありかた、科学者、人間の心のありかたについて考えさせられている。井手隊員は、この小説では主人公として世界各国の軍拡競争の有り様を目撃し、また参加する立場となり、『ウルトラマン』で観せたムードメーカー的な面はほぼ無くなっていると言って良いだろう。しかし科学を愛し、人間と文明の関係について真剣に考える姿勢を持つ井手隊員は、今回の主人公として適役だったと言える。
    勿論、『ウルトラマン』にて主役を張った早田隊員もまた、思い悩む者のひとりだ。長らく変身者という役割でウルトラマンと命を共にして来たが、ウルトラマンが地球を去って以降は活動時の記憶を失くしており、曖昧な自分の立ち位置に決着を就けることを強く望んでいた。
    そんな中、富士隊員が『ウルトラマン』話中でメフィラス星人によって巨大化されられた後遺症により、巨人兵士として怪獣との戦いに身を投じていく。
    この富士隊員の活躍はこの小説に光を与えてくれている。彼女の存在は話中で繰り広げられている軍拡競争に投げ込まれた波を立てる小石であり、闇の中で輝く光であり、爽快感を与える道標となっていると思う。富士隊員というイレギュラー要素が、怪獣との戦いで活路を開く鍵となり、軍拡競争を終わらせていくのだ。
    また、富士隊員を始め科学特捜隊の敵となって登場するのは、『ウルトラマン』の怪獣や異星人だけではない。四次元怪獣ブルトンが悪用されたことにより、他のウルトラシリーズに登場する怪獣達も続々登場する。
    中でも登場が嬉しかったのは、映画『ULTRAMAN』からビースト・ザ・ワン、『ウルトラマンネクサス』からダークザギ、ダークファウスト、ダークメフィスト達だ。ビースト・ザ・ワンが登場するとは夢にも思わなかったし、登場怪獣の一番手を飾るのも嬉しい。また、『ウルトラマンネクサス』劇中では同時に登場することが無かった闇の巨人達が一緒に登場し、共同戦線を組むのが読めて楽しかった。それに、本編中では互いに利用し利用されるのが当然だった闇の巨人達が一緒に戦うのは新鮮でもあった。
    正直言って、話の進み方が急ではないかと思われる点も無かった訳ではない。登場人物達の悩みに対する答えの提示のされ方は、若干無理矢理感は否めない。けれども著者自身も話数の制限がある中で、構成に苦労されたそうだし、何よりこれはウルトラマンの物語だ。不可能を可能に変えていくのがウルトラマンなので、これはこれでアリなのかも知れない。
    読んでいてとても楽しかった。息を着かせないワクワクドキドキの展開にページを捲る手が止まらず、1日も経たないうちに読み切ってしまった。大変面白かった。

  •  『玩具修理者』を読む限り、クートゥルー神話がお好きなようだ。ティガのガタノゾーアは嬉しかったに違いない。
     序盤にメテオールが出てくるから「おっ」と思う。ウルトラQから爆誕した第一世代にはウルトラ原理主義者が多く「セブンまではよい」「帰りマンまではよい」「エースまではよい」等々、蝸牛角上の争いが絶えない。
     小林さん、平成ウルトラマンも欠かさず視ていたようで、ネクサス、マックス、メビウスから拾ったネタがウルトラ満載。
     ただ、科特隊メンバーの名が漢字表記されていないことに違和感を覚えた。嵐と書かれてもアラシの感じが出ない。
     ところどころ、「この状況でのフジ隊員は全裸?」と思われる箇所があるのだが、間接的描写にとどめている。演じた桜井浩子さんや円谷プロへの遠慮があったのだろうか。

    追記:亡くなられたことを知り、先ごろ好評裡に終ったウルトラマンZを視て頂きたかったなぁ、と心から惜しむ。

  • 『殺人鬼にまつわる〜』に続き、ヤスミン作品六作目。ウルトラマンの後日談的作品。怪獣を知らないからか、あまりピンと来なかった…。文章で見る必殺技のダサさが半端なかった——仕方のないことだけど。これを読んだらウルトラマンが観たくなった^^ 残念だけど、やはり実写には勝てない。まあ、著者自身が楽しく描けた様でその点だけは良かったなぁ、と。星三つ。

  • ウルトラマンマニアでないと、ニヤリとできないところがいっぱい。小ネタは詰まっていて、それなりに面白いのだが、小ネタ止まりでした。もっと書き込んでもらいたかった。
    私自身は巨大フジ隊員には、私は思い入れはありません。

  • オモロイ。
    以下続

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著者プロフィール

1962年京都府生まれ。大阪大学大学院修了。95年「玩具修理者」で第2回日本ホラー小説大賞短編賞を受賞し、デビュー。98年「海を見る人」で第10回SFマガジン読者賞国内部門、2014年『アリス殺し』で啓文堂文芸書大賞受賞。その他、『大きな森の小さな密室』『密室・殺人』『肉食屋敷』『ウルトラマンF』『失われた過去と未来の犯罪』『人外サーカス』など著書多数。

「2023年 『人獣細工』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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