- Amazon.co.jp ・本 (480ページ)
- / ISBN・EAN: 9784150314897
作品紹介・あらすじ
昨年話題を呼んだアンソロジーに続き、作家別傑作選を3カ月連続刊行。星雲賞受賞の表題作ほか、書籍初収録作を含む奇想&SF集。
感想・レビュー・書評
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表題作、200年以上途絶えたことのない楽曲を演奏し続けてきた楽団の話。
無駄と思えることの中で前に進む人達の姿に自身の想いを肯定してもらえた。
どの話も面白く、異世界の中での一生(またはそれ以上の時間)と異文化が頭の中で拡がっていく楽しさに震えました。
異世界ではなく現代を舞台にし、ホラーの要素が入ったモノも良かった。
こういう作品が埋もれるのはもったいない。
「日本SFの臨界点」再発見のための企画はとても良い。
解説がボリュームがあって、熱い。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
初作家。伴名練『なめらかな世界〜』からこちらにやってき。中短編あわせて11篇あるが、なんと言っても「暴走バス」がいっちばん好き。いろんな想いを抱くこの結末を胸に——「ひかりより速く〜」は生まれたんだなぁと。この他だと「絶壁」「見果てぬ風」「例の席」など…筒井康隆風味を感じさせる作品も多く、わたし好みの作品集でした。
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面白かった!
ホラーっぽいのからガチのSFまでいっぱい読めて良い。
1作品だけよく分からんのあったけど既存作品の外伝だったから納得した。花の中で〜が印象深かったです。
巻末の解説読んだら他の作品も読みたくなったので、編集部ほんとお願いします…! -
久し振りに、自分にとって特別な作家に出会えたと感じられる素晴らしい短編集を読んでしまった。もともと他ジャンルと相性の良いのがウリのSFだけれど、ホラーや純文学作品として、ここまで昇華させられるセンスがある作家には出会ったことがない。
楽団メンバーが3時間交代となって、200年間一度も演奏が途絶えたことのないオーケストラを紡いでいく「山の上の交響楽」は、設定のスケール感から既にワクワクものなうえ、演奏するということの意味を通じて人生について考えさせられる大名作。
突如謎の男性2人が殴り合いを始める現場につどつど遭遇する「殴り合い」は、そのシュールさが印象に残りやすいが、なぜ殴り合いが始まってしまったのか?? を考えると、読後感がとんでもなく切ない。いま自分が置かれている状況に不満はないし、幸せだと感じていても、時折り妙な寂しさを感じてしまう…という心境を見事に描写した名作。歳を重ねてからまた読み直したい。
個人的に一番素晴らしいと感じたのは「見果てぬ風」で、手塚治虫の『火の鳥』を読んでいるかのような感覚になった。着想や大まかなストーリーは童話的ですらあるのに、哲学や純文学要素をこれでもかと詰め込んだ大名作。こんなに考えられるストーリーを、たった80ページに落とし込んだ手腕も凄い。ひとことで言うと、まさに「人生」のような作品。
タイトルからして高い文学性を感じさせる「花のなかであたしを殺して」も素晴らしい。両極端なはじまりとおわりが一体化してる文明と、異文化民のフィルターを通して描かれる藍の物語が、切なくも考えさせられる。
これらの短編〜中編的な長さの作品の間に、ショートショート感の強いホラー的作品が散りばめられているのも、作者・中井紀夫氏の引き出しの広さを感じさせる。
巻末にある編者の後書きは、なぜここまで才能のある作家の作品を、現代で読むことが難しいのかがしっかり書かれており、歴史書としても価値の高い一冊。 -
初期作品からのセレクトだから当然なのだけれど、昔のSFだなあという気がする。昭和の頃の日本SFって日常描写がとにかくベタなのよ。この感じは懐かしいなあ。SF系では表題作や「山手線のあやとり娘」、ホラーでは「例の席」が好み。
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中井紀夫の著作群は雑に括るなら幻想SFと呼ぶんだろうけど、それにとどまらない想像世界の豊かな広がりがあった...もぐもぐ。
「見果てぬ風」の果てなきフロンティア精神はその視座を象徴するもののように感じた。
個人的にはやはり「死んだ恋人からの手紙」も良い。トンチキや不可思議の中にじんわりと未来を見せてくれるような、そんな短編集だった。 -
やはり表題作が別格。
こういうほのぼののんのかSF、もっと読みたいな~~。 -
2023-03-15
幻想味というかマジックリアリズム調の作品が並ぶ中、チラチラとホラー描写が挟まってくるのが面白い。物語に深く踏み込まず、会えて少し離れた位置から見通しているような感覚。時代に関わらず重層的な読み方も出来そう。 -
短編集なのでSF初心者でも読みやすいと思います。こういう設定どうやって思いつくのか、不思議ですね。
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短編集。日常で体験するような場面に、オカルトが混じったらどうなるだろう?という、作家の遊び心を感じた。