- Amazon.co.jp ・本 (687ページ)
- / ISBN・EAN: 9784150315009
作品紹介・あらすじ
先鋭的なアイデアを架空論文の形で提示して話題を呼び、増刷なったSFマガジンの特集を書籍化。新たに十数篇の書き下ろしを追加
感想・レビュー・書評
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わけわからんものと面白いのが交互に出てくる感じ。掃除、SF作家、樋口一葉、四海文書、とかが良かったが最後のレナディアン語がすごく良い
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面白い。とても。
星新一賞で初代グランプリの方の作品も論文形式を取っていた。他にも以前京都で開催された異世界生物学?みたいなものも異世界の事象(例えばドラゴンの吐く炎)を研究して考察するみたいなお遊び半分真面目半分のものでとても楽しかった。
論文やレポートという形は現実と虚構の認識が重なって、空想の世界が現実のものとして感じられる。
論文形式をとることでさらにSFの世界というか可能世界を体験することができる。
『異常論文』は小説でありながらもしもボックスでありタイムマシンでありSFそのものだ。 -
残念ながらあわなかった
気合いを入れて読まないと落ちこぼれるし、入れすぎると脱力する。読むのが難しいなぁ。 -
新しいジャンルを起爆する本。特に多元宇宙的絶滅主義の短編が素晴らしかった。
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2022-01-23
異常論文という先鋭的な宣言に呼応しただけあって、ドレもなかなか尖っている。が、玉石混交の印象は否めない。論文形式の(意外と)普通のSF、ほぼアイデアのままの素描、言語実験をリアルタイムに推し進めるもの、などなど。
こういう運動は絶えず起こって欲しいものです。 -
なかなか読むのにエネルギーを費やした本だった。そもそも論文を読みなれていないので、正常な論文と異常な論文との区別がつかない私である。どう読み、どう感じればいいのか戸惑う作品だった。異常論文とは事実を追求すると見せかけた虚構と思えばいいのだろうか。難しい作品ばかりだが、最初の「決定論的自由意志改変攻撃について」(円城塔)は未来を予測できないことを尤もらしい数式で読者を煙に巻くようで面白かった。最後の「解説--最後のレナディアン語通訳」(伴名練)は最も小説らしい作品で素直に楽しめた。
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学術論文の体を取った虚構作品を”異常論文”という定義し、23本の作品を収めたSFアンソロジー。23本もあれば多様性も極めて高くなっており、質のバラつきはあるものの、数作品に関してはちょっと驚愕してしまうようなクオリティであり、アンソロジーとしてのレベルは非常に高い。
最も驚愕したのは、鈴木一平+山本浩貴による「無断と土」という作品。これは架空のVRホラーゲームの謎を解説した人文学の論文テイストの虚構であるが、その作品で引用される菅原文草なる20世紀前半の詩人にフォーカスする。実際のテクストなどの分析を元にしながら、このVRホラーゲームでなぜ彼の作品が引用されたのかを明らかにしていく体を取っているのだが、しっかり脚注での解説や参考文献なども用意されていることから、全てが史実のように見える完成度を誇りつつ、微妙に虚構が入り混じっており、何が真実かなのかがわからなくなってくるうちに、どっぷりとその世界にはまってしまう仕掛け。
”異常論文”という概念によってバラバラだった作品間に1つの関連性を見出しつつ、新たな虚構世界を作り出すためのテクニックとしても十分に可能性を秘めているということがこの豊饒な作品を読むと深く理解できる。幾人かの作家についてはこれを機に単著を読みたいとも思ったし、日本の若手SF作家を知るためのアンソロジーとしても有益。