楽園とは探偵の不在なり (ハヤカワ文庫JA)

著者 :
  • 早川書房
3.67
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本棚登録 : 1079
感想 : 63
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  • Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150315382

作品紹介・あらすじ

二人以上殺した者は文字どおり地獄に堕とされる世界。探偵の青島を常世島で待っていたのは、起きるはずのない連続殺人事件だった

感想・レビュー・書評

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  • 積読してたのをfukayanegiさんの『星詠師の記憶』レビューから触発され読む。初めは天使のイメージが掴めず入り込めなかったが、蝙蝠+ワオキツネザル×メタルで脳内映像化したらぐんぐん読めた。少し甘酸っぱい探偵物語なかなか良い。

    • fukayanegiさん
      111108さん、おはようございます。

      読み切ったのですね!
      天使の姿形とその生態、世界観を受け入れるのに想像力を要する作品ですよね。
      で...
      111108さん、おはようございます。

      読み切ったのですね!
      天使の姿形とその生態、世界観を受け入れるのに想像力を要する作品ですよね。
      でも、受け入れてしまえば特殊設定ゆえの謎が結構面白かった印象です。
      阿津川さんの方も頑張ってくださーい。
      2024/01/21
    • 111108さん
      fukayanegiさん、勝手にお名前あげてすみませんでした!
      でも読んでみようから読了まで一気にできてよかったです。特殊設定がトリックとも...
      fukayanegiさん、勝手にお名前あげてすみませんでした!
      でも読んでみようから読了まで一気にできてよかったです。特殊設定がトリックとも絡んでてなるほど〜と思いました。阿津川さんのも頑張ってみます♪
      2024/01/21
  • 天使が存在する世界で起きる孤島の連続殺人を描いたミステリー。
    天使というファンタジーさ前回のストーリーなのでにもかかわらず、キチンとロジックがしっかりしていてとても面白かった。
    二人殺せば即地獄行きというルールが連続殺人の謎を解く上でのスパイスになっているのがとても面白かったです。天使という存在を利用し闇で私腹を肥やし続けなおかつ裁かれない事へのやるせなさ、愛するものを失った悲しさがひしひしと伝わってきてとても面白かったです。そこからの探偵・青島がめげずに再び立ち上がっていくところや最後の島を離れる場面での2体の天使の描写が切なく、でも光が差し込んだようなラストがとても大好きです。

    この作品をアニメ化した際の声優陣を自分なりのキャスティングしてみたので読む際に参考にしてください(敬称略)。
    青島焦:宮野真守
    常木王凱:中田譲治
    政崎來久:子安武人
    天澤斉:置鮎龍太郎
    報島司:梶裕貴
    争場雪杉:安元洋貴
    宇和島彼方:神谷浩史
    伏見弐子:日笠陽子
    倉早千寿紗:雨宮天
    大槻徹:小林千晃
    小間井稔:山路和弘

  • 2人以上殺した者は天使によって地獄へ連れていかれる。

    それを目の前で経験した探偵の青岸は、天国とは何かということを考え続けている。

    そんな時に天使マニアの常木に彼の所有する島へと招待された青岸。そこには天国研究家の天澤など天国にはほど多い人物が集められていた。

    そこで始まる連続殺人。2人殺したら天使に地獄へ落とされるはずなのに、どうして連続殺人が起っているのか?

    青岸は調査をすることになる。

    まず、天使がとっても不気味ですね。そして、理不尽。

    あまり、その辺のことを語ると問題があるので、一旦、横へ置かせていただきます。

    個人的に今年はミステリが豊作だったので、うれしいです。こちらの作品も楽しませていただきました。

    どんな状況でもミステリはありうるんだなぁ、この設定で作りあげた世界感は感動でした。

  • 2人以上を殺したものは、”天使”によって即座に地獄に引きずり込まれるようになった世界での話。
    過去の出来事によって失意に沈む探偵の青岸は、「天国が存在するか知りたくはないか」という大富豪の誘いにより、天使が集まる常世島を訪れる。
    そこで青岸が遭遇したのは、起こるはずのない連続殺人事件だった。

    人知を超えた存在によって不条理な世界へと作り替えられてしまった世界で起こる、起こるはずのない連続殺人事件を描いた特殊設定ミステリ。
    天使という異形の存在が、青岸のバックボーンや「連続殺人事件は起きないはず」という舞台設定だけの為ではないのが嬉しい。

    2人以上を殺したものは即座に地獄へ落ちる。という事は、逆説的に一人を殺す行為は神に許されているという事になるのか。地獄が存在するという事は、天国は存在するのか。天国が存在するとするならば、誰も殺さなかった人間は、あるいは一人を殺した人間は天国へ行けるのか。悪を裁く神は、天使は、善人を救ってはくれないのか。
    ミステリ的な結末だけではなく、哲学的・宗教的な考えに浸れるところも魅力です。

    過去の悲惨な出来事から絶望し、我知らず救いを求め続ける青岸も人間的で良かったです。途中に挟まれる青岸の過去の話が、曇った空の下異形の天使が集まる常世島にいる現在と対照的にキラキラ輝いて希望に満ちていて、それが悲しくも美しい。

    惨劇は、どのような善人にも平等に訪れる。現実でも、作中でも。けれど、その善性に救われた人はいて、正義を、善をまた後世に繋いでくれるかもしれない。ささやかだけど、不条理な世界を少しずつ変えていく方法と言えるかもしれません。

  • 「特殊設定」ミステリは個人的に好きなタイプなのだなと思います。
    一人ではなく二人殺すとというのが、この世界における神の残酷な面だと感じました。

    「境界線が出来たことで、互いにそれを守るようになり、争いが減った。その代わり、境界線を踏み越えた人間はどんな目に遭わせてもいいという、消極的で暴力的なルールも出来上がった。」

  • 2人以上殺した者は天使によって即座に地獄に引き摺り込まれるという世界で発生する連続殺人事件の謎という特殊設定ミステリ。
    特殊設定ミステリは、その世界観に慣れるまでは大変だが、一旦慣れてしまえば一気に引き込まれる。なんせ、自分たちの持つ常識が通じないことが多い。
    本作も例外ではなく、天使の存在や、それに伴う社会情勢の変化まで考慮しないと読み進めるのは辛いが、そこに慣れた時、主人公である探偵の魅力が一気に増す。
    狂った世界で貫く正義。
    本格ミステリとしての面白さはもちろん、世界に抗おうとする主人公たちの存在も魅力的だった。

  • 斜線堂有紀さんらしい特殊な世界観。
    見た目悪魔の天使が現れたことにより、2人殺せば地獄に堕ちるという連続殺人が出来なくなった環境で
    殺人が無くなったかと思えばそうではなく。
    むしろ1人なら殺してもいいとか、一度に大勢殺してやろうと考える人が出てきた。
    大量殺人が可能な道具も生まれて。

    ミステリーとしてというよりも世界観に引き込まれました。

  • 202303

  • 面白い世界感であっという間に読んでしまった。
    あんな天使ならいない方がいいな。

  • 天使が存在し、2人以上の殺人が認められないという特殊設定ミステリー。
    その中で起こる連続殺人。
    満足して読むことが出来た。

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著者プロフィール

2016年、『キネマ探偵カレイドミステリー』で第23回電撃小説大賞メディアワークス文庫賞を受賞してデビュー。楽園とは探偵の不在なり』『恋に至る病』『コールミー・バイ・ノーネーム』ほか著書多数。

「2023年 『百合小説コレクション wiz』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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