- Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
- / ISBN・EAN: 9784150315382
作品紹介・あらすじ
二人以上殺した者は文字どおり地獄に堕とされる世界。探偵の青島を常世島で待っていたのは、起きるはずのない連続殺人事件だった
感想・レビュー・書評
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積読してたのをfukayanegiさんの『星詠師の記憶』レビューから触発され読む。初めは天使のイメージが掴めず入り込めなかったが、蝙蝠+ワオキツネザル×メタルで脳内映像化したらぐんぐん読めた。少し甘酸っぱい探偵物語なかなか良い。
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2人以上を殺したものは、”天使”によって即座に地獄に引きずり込まれるようになった世界での話。
過去の出来事によって失意に沈む探偵の青岸は、「天国が存在するか知りたくはないか」という大富豪の誘いにより、天使が集まる常世島を訪れる。
そこで青岸が遭遇したのは、起こるはずのない連続殺人事件だった。
人知を超えた存在によって不条理な世界へと作り替えられてしまった世界で起こる、起こるはずのない連続殺人事件を描いた特殊設定ミステリ。
天使という異形の存在が、青岸のバックボーンや「連続殺人事件は起きないはず」という舞台設定だけの為ではないのが嬉しい。
2人以上を殺したものは即座に地獄へ落ちる。という事は、逆説的に一人を殺す行為は神に許されているという事になるのか。地獄が存在するという事は、天国は存在するのか。天国が存在するとするならば、誰も殺さなかった人間は、あるいは一人を殺した人間は天国へ行けるのか。悪を裁く神は、天使は、善人を救ってはくれないのか。
ミステリ的な結末だけではなく、哲学的・宗教的な考えに浸れるところも魅力です。
過去の悲惨な出来事から絶望し、我知らず救いを求め続ける青岸も人間的で良かったです。途中に挟まれる青岸の過去の話が、曇った空の下異形の天使が集まる常世島にいる現在と対照的にキラキラ輝いて希望に満ちていて、それが悲しくも美しい。
惨劇は、どのような善人にも平等に訪れる。現実でも、作中でも。けれど、その善性に救われた人はいて、正義を、善をまた後世に繋いでくれるかもしれない。ささやかだけど、不条理な世界を少しずつ変えていく方法と言えるかもしれません。 -
「特殊設定」ミステリは個人的に好きなタイプなのだなと思います。
一人ではなく二人殺すとというのが、この世界における神の残酷な面だと感じました。
「境界線が出来たことで、互いにそれを守るようになり、争いが減った。その代わり、境界線を踏み越えた人間はどんな目に遭わせてもいいという、消極的で暴力的なルールも出来上がった。」 -
2人以上殺した者は天使によって即座に地獄に引き摺り込まれるという世界で発生する連続殺人事件の謎という特殊設定ミステリ。
特殊設定ミステリは、その世界観に慣れるまでは大変だが、一旦慣れてしまえば一気に引き込まれる。なんせ、自分たちの持つ常識が通じないことが多い。
本作も例外ではなく、天使の存在や、それに伴う社会情勢の変化まで考慮しないと読み進めるのは辛いが、そこに慣れた時、主人公である探偵の魅力が一気に増す。
狂った世界で貫く正義。
本格ミステリとしての面白さはもちろん、世界に抗おうとする主人公たちの存在も魅力的だった。 -
斜線堂有紀さんらしい特殊な世界観。
見た目悪魔の天使が現れたことにより、2人殺せば地獄に堕ちるという連続殺人が出来なくなった環境で
殺人が無くなったかと思えばそうではなく。
むしろ1人なら殺してもいいとか、一度に大勢殺してやろうと考える人が出てきた。
大量殺人が可能な道具も生まれて。
ミステリーとしてというよりも世界観に引き込まれました。
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202303
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面白い世界感であっという間に読んでしまった。
あんな天使ならいない方がいいな。 -
天使が存在し、2人以上の殺人が認められないという特殊設定ミステリー。
その中で起こる連続殺人。
満足して読むことが出来た。
読み切ったのですね!
天使の姿形とその生態、世界観を受け入れるのに想像力を要する作品ですよね。
で...
読み切ったのですね!
天使の姿形とその生態、世界観を受け入れるのに想像力を要する作品ですよね。
でも、受け入れてしまえば特殊設定ゆえの謎が結構面白かった印象です。
阿津川さんの方も頑張ってくださーい。
でも読んでみようから読了まで一気にできてよかったです。特殊設定がトリックとも...
でも読んでみようから読了まで一気にできてよかったです。特殊設定がトリックとも絡んでてなるほど〜と思いました。阿津川さんのも頑張ってみます♪