フランケンシュタイン野望 (ハヤカワ文庫 NV ク 6-12)

  • 早川書房
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感想 : 15
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  • Amazon.co.jp ・本 (494ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150412333

作品紹介・あらすじ

天才科学者フランケンシュタインによって創造された怪物は、現在まで生き延び、デュカリオンと名乗っていた。一方、フランケンシュタインも命を長らえ、ヴィクター・ヘリオスの偽名のもと、人造人間である新人種による世界征服を企み、ニューオリンズで研究を進めていた。だが、そこで凄惨な連続殺人が発生、デュカリオン、ヴィクター、刑事カースンとマイクルの運命が交錯する。巨匠が入魂の筆致で描く新シリーズ、開幕。

感想・レビュー・書評

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  • "古典、名作のフランケンシュタイン(メアリ・シェリー作)を現代によみがえらせた。クーンツさんの作品に間違いないテイストたっぷり。
    三部作の第一作目が「野望」本書。
    続きを読みたくなること間違いなし。"

  •  最初の方、マイケル刑事のアメリカンジョークがスベりにスベりまくり、「こりゃハズレかな?」と思ったけど、話が進むに連れてどんどん面白くなっていった(マイケルのダダスベリは計算の上なのか?)( ´ ▽ ` )ノ
     いちおう「フランケンシュタイン」の続編という体裁だけど、やってることはいつものクーンツ( ´ ▽ ` )ノ
     どっちかというと「フランケン」より「ドクターモロー」ぽいけどね( ´ ▽ ` )ノ
     かつまた、自身の傑作「ウォッチャーズ」の続編ぽくもある( ´ ▽ ` )ノ

     もとがドラマというだけに、1章1章がきわめて短く、「24」とか「バーン・ノーティス」とか、テンポの早い米ドラを見てるような感覚でさくさく読める( ´ ▽ ` )ノ

     が、いくら続刊があるとは言え、まったくの途中で話が終わっちゃったのには不満(>_<)
     次巻をいつ読めるんだか見当もつかず、内容は確実に忘れちゃうな……(´ェ`)ン-…

     解説にもあるように、もともとの「フランケンシュタイン」を読んでないと、ちょっと分かりづらいところもあるだろうな(>_<)
     映画等のイメージが強すぎるからねえ(>_<)
     大半の映像化作品だと「怪物」はろくに喋らない(「フンガー」)けど、シェリーの小説中ではへらへらへらへら、何時間もひとり語りしてたりして( ´ ▽ ` )ノ
     
     解説で、コッポラ版「フランケンシュタイン」(日曜洋画劇場で怪物役デ・ニーロのtintinがモザイク無しで放映されたのには驚いたものだ)はともかく、73年TV版の「フランケンシュタイン」まで紹介されていたことに歓喜( ´ ▽ ` )ノ
     自分が見たときにはたしか「真説・フランケンシュタイン」というタイトルだったけど、それまでの常識とまるきり違うストーリーに愕然としたものだった( ´ ▽ ` )ノ
     なにせ、ラストシーンは南極だもんなあ( ´ ▽ ` )ノ


     まあ、気楽に読める娯楽作( ´ ▽ ` )ノ
     できるだけ早く、続きを読みたい( ´ ▽ ` )ノ

    2017/07/06
     
    (作中でふれられてた「二都物語」、ちょっと気になって映画版の「嵐の三色旗」を見てみたら、たしかにあのラストシーンには泣けた(;д;)グスン
     いずれ原作も読んでみよう( ´ ▽ ` )ノ)

  • オッド・トーマスシリーズをお休みしての、新シリーズ。
    現代にフランケンシュタインとそのモンスターがまだ生きていたら?というIFもの。
    ミステリーであり、SF。サイエンスフィクションであり、少し不思議な話。

    続々と新人種を造り続けるフランケンシュタイン博士改めヘリオス。
    内に怒りを秘めたまま冷静さを失わぬように生きる初代モンスター・デュカリオン。

    互いに互いはすでに死んだものだと思っていたのだが、デュカリオンは博士が生存していることを知り、ニューオリンズへと旅立つ。
    そこでは連続猟奇殺人事件が起こっていた。

    わくわくしっぱなしの展開。刑事のアメリカンジョークがくだらなさすぎてアメリカってカンジがする。

  • 面白いじゃないの!読み易い文章、登場人物毎の短いシーンが映画の様に連続する。題名で損をしてる。もっとましな邦題は無かったのか?

  • とてつもなく面白いストーリーでした。各章が平均3~4ページ程の短い章立からなる構成が、並行して進む物語のスリリングな場面展開を見事に演出しています。
    まるで切れのイイ映画を観ているような、読みやすさという点でも群を抜いている作品ではないでしょうか。

    『フランケンシュタインシリーズ』の第一作目となるこの物語は、天才科学者フランケンシュタインが『ヴィクター』という偽名で実は生きており、彼が作った怪物もまた『デュカリオン』という名前で生き延びていた…という設定。

    私たちが知っている元ネタ『フランケンシュタイン、または現代のプロメテウス』との繋がりも本作の中で明らかにされている為、無謀とも言えるこの設定も真実味を帯びたものとして、違和感なく物語に入り込めました。

    生きていたヴィクター・フランケンシュタインは、進歩を遂げた科学力を駆使して人造人間である『新人種』による世界征服を企てているのです。

    本作で印象に残るのは…彼の妻であり、彼の作品でもあるエリカ4の苦悩。自分よりも劣るとされる普通の人間(本作では、新人種に対して『旧人種』と呼ばれる)の生み出してきた数々の芸術作品に、彼女は心を惹かれていきます。創造主であるヴィクターに教えられたことと、芸術作品を通して彼女が感じることの間には、大きな隔たりが生まれていくのです。

    そして、彼女が真に求めていたものをようやく見つけたとき。
    彼女が創造主に対して口にした言葉は、抗うことの許されない立場にいる者の悲痛な叫びだったのです。


    しばしばそれ自身が『フランケンシュタイン』として誤解されている、フランケンシュタインの怪物。本作あとがきでもしつこく記述されているので繰り返すと…正確にはフランケンシュタインとは科学者の名前で、彼の生み出した怪物には名前がないのです。

    その名もなき怪物が本作では『デュカリオン』という名を背負って、主人公の刑事コンビに様々な事実を告白します。

    かつての粗暴で凶悪な怪物としてではなく、人間に知恵を授ける存在として、デュカリオンが描かれていることに本シリーズの新たな意義を感じます。

  •  ひさしぶりのクーンツ作品。フランケンシュタイン博士と彼の創造した怪物が、200年後の現代のニューオリンズで敵同士として戦う、モダンホラーシリーズの第一弾。
     人類に復讐するため、自らの体も改造してしまったフランケンシュタイン博士が、本物の人間と入れ替えるため次々と”新人種”を世の中に送り出す、といういかにもアメリカドラマ的な発想で、何も考えずに読める。

     最初は、テレビドラマでも見る軽いノリで飛ばし読みしていたのだが、人工的に作られた”新人種”たちが、人間世界の中にこっそり暮らしていくうちに、生きることや神の存在に悩み始め、密かに暴走していくところから、急に面白くなった。最後は短編『ハードシェル』を彷彿とさせるシーンもあった。
     本国アメリカでも好評のようで、三部作のつもりで始めたのが今では5作目まで出ているらしい。続編は読むつもりはなかったが、読んでみようかなという気になった。

  • 2011-73 前から気になってたが2冊目が出たので買う。面白いが内容はない。出張で一気読み。出張帰りに品川で2巻を買う。

  • メアリー・シェリーによるゴシック小説の名作『フランケンシュタイン、あるいは現代のプロメセウス』のその後ともいえるべき作品。

    SFとホラーとミステリがミックスされた良質なエンターテイメントだと思う。いややっぱ、大御所のエンタメというのはいいですね。読ませる。そしてこれが意外に深いのだ。
    クーンツ自身の宗教観、さらには「哲学的ゾンビ」を連想させる新人種、幸福とは何かについてまで考えさせる。

    この「クーンツのフランケンシュタイン」の面白いところは、シェリーの時に描かれていたヴィクターと怪物(デュカリオン)の悪役が入れ替わっていること。本書ではヴィクターはプロメテウスのように苦しむことのない邪悪な人物として描かれている。
    いや、とんでもないヤツです。ヴィクターは。
    テクノロジーの力により人間の寿命をはるかに超えて生きているヴィクターは、もはや人間とは言えないのかもしれない。

    ところで、冒頭でも触れた「哲学的ゾンビ」
    これは、物理的化学的電気的反応としては、普通の人間と全く同じであるが、意識(クオリア)を全く持っていない人間のことだ。
    ヴィクターが創りだした新人種も外見は人間(以下、旧人種)とまるっきり同じ。(心臓が二つあったり、頭蓋骨がやたらと強化されていたり、傷が瞬時に治癒したりするけれど)
    しかし、彼ら新人種は、創造主たるヴィクターによってその生の目的さえも決められているゆえに、旧人種がなぜ幸福感を感じるのかがわからない。
    この人間の幸福とは何かということは全作を通じてのテーマなのだろう。
    クーンツの宗教観なども随所に垣間みられて、非常に面白い。

    ちなみにこのクーンツのフランケンシュタインシリーズは全5作で、本書はその第一巻。
    ということで、ハヤカワさん、早く翻訳してください。

    もう個人的に大絶賛な本書なのだけど、欠点をあげるとすれば、もうずばりこのダサい邦題では?
    原題は「Prodigal Son」 ルカ伝の悔い改めた放蕩息子のこと。

    この放蕩息子の話のは、人間が神の庇護を離れ自分中心な生き方をすることの惨めさむなしさと、それでも赦す神の愛を説いているといわれるが、いささかの皮肉と逆説を込め、このクーンツのフランケンシュタインは原題のほうが断然ふさわしい。

  • 久しぶりにクーンツらしいのが本作。何といっても絶対悪が登場するのが、筆者らしくてよい。主人公は、通常であれば善良な単なる市民であることが多いが、本作では敵が多いことから、主人公に特殊な能力を持たせているが、第1作では、その能力を本格的に発揮するには至っていない。サイコな連続人体パーツ殺人犯が、単なるカモフラージュとして、あっけなく殺されてしまうというのも新鮮で、ある意味、期待を裏切る展開で良い。ただし、何故、200年もの間に継続的に行われていたであろう創造主の悪事に気がつかずにいた被創造者が、あえて今、創造主に立ち向かうことになるのかということについては、少々、唐突感が残るが、まあ、そんな瑣末なことは置いておいて、久しぶりのクーンツの大作シリーズの次回作を楽しみに待ちたい。

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