FBI心理分析官―異常殺人者たちの素顔に迫る衝撃の手記 (ハヤカワ文庫 NF 244)

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  • Amazon.co.jp ・本 (333ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150502447

作品紹介・あらすじ

被害者の血を飲む殺人鬼、バラバラにした死体で性行為にふける倒錯者、30人以上を殺害したシリアル・キラー…異常殺人者たちを凄惨な犯罪に駆り立てたものはなにか?FBI行動科学課の特別捜査官として数々の奇怪な事件を解決に導き、「プロファイリング」という捜査技術を世界中に知らしめて『羊たちの沈黙』や「X‐ファイル」のモデルにもなった著者が、凶悪犯たちの驚くべき心理に迫る戦慄のノンフィクション。

感想・レビュー・書評

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  • 異常殺人者たちの犯罪の事件を織り交ぜてプロファイリングについて書かれていた。途中で専門的な難しい内容もあったので、簡単ではなかったけど、プロファイリングなどは知らない世界だったので読んで良かったと思う。
    怖かったのは、男の子のほぼ八歳〜十二歳までの父親不在の子供が孤独を感じた場合、成長段階で社会病質者になる恐れがあるというもの。そのくらいの時期の子供の生い立ちが、いかに重要か…と理解できて、非常に恐ろしかった。この本には写真も一部掲載されている。

  • 決して期待を裏切らないハヤカワNF。
    この本は極めて興味深い。連続殺人犯の生態研究を長らく続けてきた著者による精神分析、自伝的著作。
    『面接した殺人犯の半数は家庭に精神病患者がおり、別の半数は両親に犯罪歴があった。七十パーセント近くの家族にはアルコール、あるいは麻薬の常用者がいた。そして全員---一人残らず---子供のときにはなはだしい精神的ぎゃくたいを受けていた。彼らは成長すると、精神科医のいう「性機能障害者」になった。つまり、他人と合意にもとづく成熟した関係を持つことができないのだ。』p104
    『人と好ましい関係を築き、それを維持し発展させる能力は子供のときに芽生え、十歳から十二歳の間に強化される。この能力が身につかないまま思春期を迎えてしまうと、もはや手遅れだ。』p117
    このような文献を読むことで、厳罰化が凶悪犯罪の抑制にどれほど効果が有るのか甚だ疑問である。
    〈2〉も早々に読んでみたい。

  • 勧められて読んだけど今イチ。

  • 30年近く前の本。だけどエピソードは生生しく鮮烈。殺人鬼にこれほど多くインタビューした人間って他にいるだろうか。それも、ジェフリー・ダーマー、テッド・バンディ、ジョン・ゲイシーと、背筋も凍る怪物ばかり。完全なアウトサイダーとの対話の記録として貴重だし、本編の主題である殺人犯の傾向、秩序型と無秩序型の違い等、レスラー捜査官の経験則を覗き見るようで面白い。そして、この本が書かれた当時から、今のプロファイリング技術はどれほど進化したのか気になった。進化するほどのサンプルがない方が平和なのだろうけど…。そして現代の傾向からすると、殺人鬼的な素養のある歪んだ子供たちは、シリアルキラーではなくテロリストになったりしてるのかなあ。

  • プロファイリングの第一人者とされるロバート・K・レスラーの代表作として知られる本書。前半はプロファイリングを用いて犯人を追いつめていく事件小説的内容、後半はプロファイリングの在り方やシリアルキラーの心理を考察した学術的内容となっています。
    作者自身、プロファイリングは必ずしも犯人逮捕へと導く万能物ではなく、犯人逮捕に繋がる道具であるという考えを示しつつも、プロファイリングの第一人者とされる経歴からか若干プロファイリング万歳な内容になっているような気がしました。
    本の内容はそれなりに楽しめたが出来過ぎ感も否めず、「本当にその通りだったの?」って感じの記述が多かったように思えます。
    プロファイリングを用いた犯人逮捕劇を学ぶっていう点では良作だったんじゃないかと、ただ内容はそこまで面白くなく、もう少し捻りがあっても良かったかなとも…。

  • 再読。
    プロファイル技術の確立者であり「羊たちの沈黙」クロフォード捜査官のモデルと言われるR.レスラーの著書で、信じ難いほど凄惨な有名殺人犯たちの記録。写真あり。

    当然鬼畜の所業の数々が紹介されるが、いたずらに下卑た興味を煽るような書き方はしておらず、あくまで捜査官目線で良い。

    R.チェイスの事件をはじめ、プロファイリング技術の活用話は面白い。
    しかし一方で、国民に米国ほどの多様性がないうえ、証拠裁判主義を採る日本には馴染まない技術であることも分かる。著者も繰り返し主張している通り、プロファイリングは魔法ではないし、科学とも言い難い。日々地道な活動で犯罪者を捕まえているのは、あくまで名もない警察官である。

  • 幼少期のある瞬間の事をめちゃくちゃ覚えてたりするけど、そういう感覚の一種なのかなと理解した。
    子どもの育て方がすごく重要だということもわかった。

  • 今読んでいる最中ですので、また改めて感想を書きますが、少し翻訳が気になるのですよね……
    翻訳の方はべつに心理学に精通した方でもないようですので、そのせいかもしれませんし、あるいは単に犯罪者の経歴や犯行などから心理面を予測することが(自分とあまりにも隔たっていて)できなかったのかもしれませんが、犯罪者の台詞が基本的に、凶悪なギャングのような口調で翻訳されているのが、どうもしっくりこない。
    おそらくこの手の猟奇的な性犯罪を犯すタイプは、ギャングのように荒っぽくしゃべるのではなく、一見、朴訥で場合によっては礼儀正しくさえあり、おとなしく、気弱そうでさえある、というのが表面的にみられる特徴だろうな、と本文からは推察されます。でもたぶん翻訳の方のイメージとしては、俺様はイカれた性犯罪者だぜヒャッハー! 的な人物に見えているんじゃなかろうか……と思うのですよね……

    もちろんそのタイプの犯罪者もいるでしょう、本文の分類で行くなら秩序型にはそういうタイプもいそうですね。でも無秩序型はおそらくそんなかんじじゃない。でも無秩序型にさえなんだかそんな印象を持っているかのような感じがする。もちろん原文を読んでみないと正確なディティールはわからないわけですが、ちょっと翻訳の方、明るくエネルギッシュな方なのでしょうね、陰性の人間に対する人間観察の機会をことごとく逸して生きてこられたのでは、という印象がします。

    また本文を読み終えたら追記します。

  • 実に興味深かった。凶悪な連続殺人犯の殆どが機能不全家庭に育っている事が印象的だった。自分も似たような境遇だったので、男性に生まれなくて本当に良かったと心から思った。親の責任は重い。しかし、暴力と性的衝動が妄想に結びつき妄想が繰り返されて何らかのストレスというきっかけを得ると凶行へ走り出す訳だが、似たような不遇な少年みんながそうなるわけではない…どうして残虐な行為で性的衝動が生まれるようになるのか?それは生命が何処から来たのかという事と同じ位謎だと思う。そして死なないと永遠に治る事はない。
    凶悪な連続殺人は全て性と密接に繋がっている。
    そして例えば自転車で通りがかりの女性に切りつけるなどの事件も、巨大な妄想の氷山の一角であり、数年後には殺人へ繋がるので見逃してはならない。
    本書で一番痛感したのは、親の責任がいかに重いかという事だった。全ての人の親に本書を読んでもらいたい位だ。人間を育てるという事がいかに責任重大で、最高に重要な事か、今一度改めて考えて欲しいと思う。

  • ネトフリドラマのMind Hunterの元ともなった作品。世紀の怪物と言われる殺人鬼もこの本を読むと同じ人間なんだと思わされる。彼らが特別なわけじゃなくて育った環境が特別だったのかもしれない。誰しも生まれながらに怪物になりうる可能性を持っているのかもしれない。

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