オリバー・ストーンが語る もうひとつのアメリカ史 2: ケネディと世界存亡の危機 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)

  • 早川書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (472ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150504403

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  • まさに犯罪国家、トランプが善人にも見えるが。民主主義がマシ、と言えるのか?そして歴史から学んでいるのか?

  • オリバー・ストーンが語る もうひとつのアメリカ史 2: ケネディと世界存亡の危機 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)

    大まかに言うと、第二次世界大戦の終りから、ベトナム戦争の終りくらいまでについての本。

    「冷戦」と言われる状況が、大まかに言うと、実はアメリカ側の方が圧倒的に物量武器爆弾を持っていて、とても対等では無かった現実。
    だが、アメリカ国内で、「もっとソ連に対抗しなくては。ソ連は強大だ」と言う人々。
    結局、現実をどう見るかは立場次第。危機感をあおる人々は常に、それによって利益を得る人々ですね。

    そして、キューバ危機の色々な裏話。
    ケネディがやろうとしていたこと。決して、ハト派一辺倒の理想主義者でもなかったが、具体的にアメリカ政府軍事筋の提言をいくつも踏みにじっていた...。
    (ただ、「誰がケネディを殺したか?」ということについては、この本は触れません)

    そして、ベトナムの戦争。
    このくだりは、ある意味、日本の軍部政府と十五年戦争(日中戦争~太平洋戦争)と似ています。
    何が似ているかというと、「戦争を始めたい勢力」「戦争を続けたい勢力」が、常に現実の都合の良い部分しか見ない。
    そして、徐々に現実そのものを見なくなっていく。
    そしてやがて、「責任を取りたくないから現実を見据えた発言をしなくなる」。
    その内、周辺の人々すら「もう、戦争を続けるのは無理だ」と言い出すのが嫌で、やりすごす...。

    ですが、この本でいちばん印象に残ったのは、中南米のくだりでした。
    チリを始めとして多くの国で、なんて無茶苦茶なことを、アメリカはしたのでしょうか。
    アメリカ企業の都合の良い政策を取らない、ただそれだけのことで、「危険な社会主義国家である」とする。
    そして、多くの人に支持されている政府に対して、アメリカがスポンサーになって、反政府運動を立ち上げる。
    更にそこに大抵、軍部を買収して取り込む。そして、軍部のクーデターという形で、政権をひっくり返し、アメリカに都合の良い政府にする。
    その政府は大抵、そこの国民にとっては無茶苦茶な政治をすることになる。
    この構造は、もう、酷いものですね。言ってみれば勧善懲悪時代劇の悪役そのものです。
    (同じようなことを、アジアでもさんざんやっているのですが...)
    後々、色々な資料が出てきたところで、こういう本も書かれる訳ですが、ちょっと啞然と慄然としてしまうくらい、怖い行状。
    アメリカという国は、すさまじき国、業の深い政府であることよ、と思いました。

    読みだすとなかなか止まらない力作という味わいで、またいずれ第三巻も読んでみたいと思いました。

  • アメリカの暗部に焦点を絞った歴史第二弾。

    各々の政権に共通するが、ときの外交方針は大統領のパーソナリティーはもちろん、大統領の側近やアドバイザーの思想と意見が大きく反映している。
    にしても、ケネディ含めどの大統領も、なぜこれほど核兵器を使うことに躊躇がないのだろう。戦争が始まると現実的な選択肢として核兵器の使用を真面目に検討していることが怖ろしい。ソ連に対する先制攻撃への誘惑はもちろん、朝鮮戦争然りキューバ危機然り。その単純な世界観はまるでマンガのようだ。

    ベトナムでは敗けたが、アメリカの裏庭・中南米諸国への軍事介入は、米国の覇権主義的外交を象徴的に表している。
    中南米諸国にできた左派政権をCIAが現地のゲリラ反政府組織や軍部を使い、内乱と軍事クーデターで転覆させてしまう。後にできた軍部独裁がどれだけ国民を弾圧、粛清、虐殺する恐怖政治を行っても、彼らが’反共産主義‘で’アメリカ企業の利益と国益‘を保障してくれるなら、それは共産主義の魔の手から国を救ったことになり「自由と民主主義の勝利」と言い換えられる。
    この御都合主義と欺瞞はアメリカ外交のDNAだろうか。
    中南米で米国が蛇蝎のごとく嫌われている理由がよく分かる。

    本書に書かれた史実やアメリカの覇権主義の話はノーム・チョムスキーの著作やマイケル・ムーアの映画で紹介されているので、慣れ親しんだ人にとって新しい発見はない。でも多くのアメリカ人は知らないんでしょうね。(知りたくもないか)

  • 第5章 冷戦 ー 始めたのは誰か?
    第6章 アイゼンハワー ー 高まる軍事的緊張
    第7章 JFK ー 「人類史上、最も危険な瞬間」
    第8章 LBJ ー 道を失った帝国
    第9章 ニクソンとキッシンジャー ー 「狂人」と「サイコパス」

    アメリカという国は…と頭を抱えてしまう。
    ヘンリー・ウォレスが大統領になっていたら、
    JFKが暗殺されずにいたら…等々、
    アメリカという国の不気味さばかりが際立つばかりである。
    勝手なものですね…まったく…

  • 冷戦って何だったんだろう。社会構造が違うからといって争う必要があったのだろうか。
    確かに共産国家は個人の尊厳がなく民主化されているとは言い難いが、だからといってその体制を壊す権利がアメリカにあるとは思えない。
    社会構造、民族、宗教を無視し自国の利益のみを貫き通した結果が戦争の山であり、現在のテロ社会である。戦後アメリカは正義であると教え込まれている日本人は盲目になることなく、世界に目を向けていかなければならない。

  • 読了

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著者プロフィール

1946年生まれ。アメリカの映画監督、脚本化、映画プロデューサー。『プラトーン』、『7月4日に生まれて』でアカデミー賞監督賞を二度受賞。著書『オリバー・ストーンが語るもうひとつのアメリカ史』はベストセラー。

「2020年 『もうひとつの日米戦後史』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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