スプーンと元素周期表 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)

  • 早川書房
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本棚登録 : 283
感想 : 11
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  • Amazon.co.jp ・本 (496ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150504472

作品紹介・あらすじ

紅茶に溶ける金属製スプーンがあるって本当?空調ダクトを清潔に保つ素材は?ネオン管が光るのはなぜ?戦闘機に最適な金属は?そもそも周期表の順番はなにで決まる?万物を構成するたった100種類余りの元素がもたらす不思議な自然現象。その謎解きに奔走する古今東西の科学者たちや諸刃の剣となりうる科学技術の光と影など、元素周期表に凝縮された歴史を繙く比類なきポピュラー・サイエンス。

感想・レビュー・書評

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  • 理系を自認しているが、どうも化学が苦手で特に炭素がでてくると思考がストップしてしまうくらいなのだが、親しみやすそうな本書のタイトルに惹かれて読み始めてしまった。

    やはり自分にはちんぷんかんぷんでした。
    タイトルの「スプーン」って、ガリウムでつくったスプーンのことらしい。これで紅茶に砂糖をいれてかき混ぜると溶けてしまうそうな。

  • 元素周期表とそこに記載された元素をめぐる多彩なエピソードを紹介するカジュアルなサイエンス本、とはいっても門外漢にはちょっと重たい内容。元素だけでここまで話を広げられるのか、という今さながらの驚きとトリビアルな逸話は大いに楽しめる。

  • 結構な分量のある本だけど、読む手が止まらず、気付いたら読み終わっていました。
    単純な元素の性質についての話だけではなく、その元素発見の背景にあった人間ドラマ(苦労や名声をかけた争い)やその元素を巡るいざこざ、失敗譚など、あらゆる角度から元素という物を眺めるような構成になっており、非常に楽しめました。

    訳者あとがきからの下記引用を見るだけで、ワクワクしてきませんか?
    "どんな話が飛び出すか少しばかり紹介すると、第1部では学校で習わないような周期表の見方、いちばん長い英単語、ケイ素系生物の可能性、ノーベル賞を横取りしようとした物理学者、七つの元素名の由来となった場所・・・、第2部では地球の年齢、恐竜の絶滅、毒ガス戦、コンゴ紛争、原子爆弾・・・、第3部では何度も「新発見」された元素、元KGBエージェントの毒殺、放射性ボーイスカウト、スペースシャトルの空中爆発ではない死亡事故、インドの塩事情・・・、第4部では万年筆のデザイン、トウェインのSF、マッドサイエンティスト、裏切られた女性科学者・・・、第5部ではビールが科学に果たす役割、国際キログラム原器、地球外生命体の存在確率、天然の原子炉・・・。これでもずいぶん端折ったつもりだ。"

    個人的に一番面白いと思ったのは、とあるSF作家が風刺した、グローバル資本主義における通貨の最も優れた材料は何か?という話。
    答えが気になる方は303ページを見てみて下さい。
    なるほど、確かにそうかもしれないw

  • 面白かったー。
    こういう科学エッセイ大好き。
    興味深い話はたくさんあったが、一番驚いたのは天然核分裂反応炉のオクロの話。
    ウランと水と藍藻類だけで稼働していたというのだ。
    びっくり。
    そんなこと初めて聞いた。
    藻類が過剰な酸素を作り、水が強い酸性になり、ウラン235を溶け込ませ、藻類が水をろ過してウランを特定の場所に集中させ、臨界量に達した。
    ただ、それだけではウランが核分裂を起こしても連鎖反応は起こさない。
    水があることで中性子の速度が落ち、連鎖反応が起きたのだ。
    そのため、核分裂が発生すると高熱になり、水が蒸発し核分裂がストップ、冷えて水がたまると再度核分裂が発生、とのサイクルが発生していた。
    (15万年かけて6トンのウランが30分/2時間半のオン、オフのサイクルで消費された)

    この話だけでもこの本を読んだ価値はあったが、ほかにも失われた日本刀の作成技術の話とかフォンノイマンがメーザーに関しては誤った認識を持っていたとか楽しい話がたくさんあった。

  • 元素記号にまつわるエピソード集。新たな元素を巡る科学者たちの争いがやはり印象的で、元素の名付けを巡って混乱があったり、新たな元素の発見が覆されたり。人間臭い内容が実に多い。ちょっとボリューム満点すぎて、文系にはちょっとお腹いっぱいになってしまったが。。

  • 一生懸命覚えた元素周期表。
    そんな周期表と元素にまつわる様々な人や歴史についての本です。とても読みやすいです。

    理図書 431.11||Ke11 11928324

  • 元素周期表と個性豊かな元素たちを、その歴史と多様なエピソードをもって紹介する本。
    やや厚め(500p弱)の文庫本にこれでもかと様々なエピソードが詰め込まれ、飽きることがない。

    高校の化学がつまらなかった人にも楽しく読める一冊。
    世界の理解と興味を促進してくれること請け合い。

    「本書には元素や周期表を切り口に『こんなことまで読み取れるのか』と驚かされる。
     特に、人間臭い話が多い。
     著者も指摘しているとおり、周期表は科学の成果であると同時に人間の営みの結果なのだ。」
    ―――訳者あとがきより

  • 周期表の成り立ちや物語を理解し、さらに原子などに興味を持てた。

  • 局所的に面白い話がいろいろ書いてあるけど、全体は見通しが悪くてちょっと読みにくい。それこそ「化学」というイメージなんだ。

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著者プロフィール

ニューヨークタイムズのベストセラー『The Bastard Brigade』『空気と人類:いかに〈気体〉を発見し、手なずけてきたか(白揚社)』(ガーディアン誌のサイエンスブック・オブ・ザ・イヤー)『The Tale of the Dueling Neurosurgeons』『にわかには信じられない遺伝子の不思議な物語(朝日新聞出版)』『スプーンと元素周期表(早川書房)』の著者。また、PEN / E. O. Wilson Literary Science Writing Awardの最終候補に2度選ばれている。著作はThe Best American Science and Nature Writing、ニューヨーカー、アトランティック、ニューヨーク・タイムズ・マガジンなどに掲載され、NPRのRadiolab、All Things Considered、Fresh Airでも紹介されている。彼のポッドキャスト「The Disappearing Spoon」は、iTunesのサイエンスチャートで1位を獲得した。ワシントンD.C.に在住。

「2023年 『アイスピックを握る外科医』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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