- Amazon.co.jp ・本 (375ページ)
- / ISBN・EAN: 9784150701147
感想・レビュー・書評
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エラリークイーン作品。エラリーシリーズの最後の一冊。
【あらすじ】
ある新年の冬、富豪の夫婦が雪道で交通事故を起こし、妊娠中の妻は双生児を残して他界した。夫は、妻の死ぬきっかけになった二人目の赤子を許せず、看取った医者夫婦に引き渡す。その夫も事故の後遺症で数日後に亡くなった。
それから25年後のクリスマスの夜、エラリーは富豪の遺児から招待を受け、12日間続くパーティーに参加することになった。しかし、1日毎に届く奇妙な贈り物にパーティーの参加者は暗い影を落とす。そして、見知らぬ老人が死体となって発見された。
【感想】
まず、本文中に何度も提示される贈り物のキーワードに悩まされる。その手の研究家じゃないとこの意図が見破れないと思うので、推理よりも贈り物に一喜一憂する登場人物のやり取りを楽しんだ方が良いと思う。
贈り物を除外して考えると、意外と犯人がわかるかも?(私は外れましたが・・)
以下はネタバレなので読み終わってからどうぞ。
http://therumpus.net/2012/09/where-letters-come-from/詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
1929年「ローマ帽子の謎」を発表した年のクリスマス・年越しのために、友人であるジョン・セバスチャンの家に正体されたエラリーは、クリスマスから一月五日までの十二日に不思議な事件が起こる。一日一夜ごとに、謎のプレゼントが送られてくるのだ……。そのプレゼントとカードに秘められた意味とは。エラリー・クイーンの長編三十作目。
Wikipediaを見る限り、この作品を最後に、クイーンがエラリーものを書かなくなったようで、またタイトルにもあるとおり、実質的な探偵エラリー・クイーンの最終作と言われているらしい作品。そのような作品で、最後の一撃(Finishing stroke)という終わりを意味するタイトルの作品を、今年最後の本として締めくくることができるのは素晴らしいですね。
作品としても面白かったです。次々と送られてくるカードと贈り物の謎とさまざまな職業の泊客、ジョンの謎の行動とジョン・ラスティの騒動などなど、推理小説の王道を通りつつも、魅力的な謎が提供され、振り返ってみるとこれまでの作品にあったものがひとつに集約しているような印象でした。
ジョンについても、なんだかんだあるんだろう! と高をくくってたら一歩くらいましたし、とても楽しかったですね。
ただ、犯人の登場がどうもイマイチで、その過程もわかればほぼ一発か、と思ってしまうと少々残念な部分もありました。あと、このトリックが二十七年の時を要するかどうかという点でも、議論になりそうですね。個人的には二十七年もいらなかったのでは、と思いますが。
もっとも、国名シリーズのころのエラリーの事件で、解決にはライツヴィルでの事件を乗り越え、この結末にたどり着いたという意味では、ひとつの終着点として歴史を感じる作品なのかもしれません。
とても面白かったです。 -
1958年発表
原題:The Finishing Stroke -
2002年1月16日再読