一瞬の敵 (ハヤカワ・ミステリ文庫 8-13)

  • 早川書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150705138

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  • <私立探偵リュウ・アーチャー>シリーズ十五作目の長編。家出少女の連れ戻しはこれで果たして何度目かという出だしだが、比較的単調な捜索劇が徐々に緊迫感溢れる追跡劇へと変貌する様子は実にスリリング。今作は家系図が異様な程に入り組んでいるので、流石にメモを取らざるを得なかった。終盤は錯綜した間関係が一気に収束する見事な手さばきを見せるが、やり過ぎ感は少々否めず。また、成り代わりという点においては「さむけ」の二番煎じという印象も拭い切れなかった。然しながら、キースを説き伏せるアーチャーの熱意は心揺さぶるものがある。

  • 家庭内の悲劇を描く作者の本作も、最後は後味の悪い、重く苦しい結末を迎えた。よく「エディプス・コンプレックス」を作者の作品のテーマに挙げられることが多いが、今回も弟殺し、妻殺しが最後に明らかになる。

    物語は複雑だ。
    登場人物の成り代わり、偽名行為の連続で、登場人物の色合いががらりと変わっていき、その二転三転する流れに頭が追いつかず、考え込むことしばしばだった。
    物語の核となるデイヴィは実は単なるデコイに過ぎなく、終盤320ページ辺りで迎える彼の幕引きは驚くほど呆気ない。寧ろ本当の悪は被害者だったという裏返しは買える。
    しかし、登場人物が多過ぎ、悪趣味なまでにプロットをこねくり回しているのも確かである。
    ともあれ、不可解だった逃走者の行動が、最後論理的に明かされる手並みは見事の一言。

  • 2017/01/24読了

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