- Amazon.co.jp ・本 (318ページ)
- / ISBN・EAN: 9784150707071
感想・レビュー・書評
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かなりファンの間では評価は高いのだけど、個人的にはもうひとつ気に入らなかった作品である。
強い自殺願望(鬱?)を持つ秘密調査員が、上司の個人的な依頼を受けて、休暇を使って名馬盗難事件を捜査する話である。もちろん、事件は解決するし、その過程で主人公は生きる意欲を取り戻す。暗い話だなあという印象を受けるかもしれないが、確かに暗い感じがする。でも、最後はハッピーエンドなんだなと安心されると、安心するなよ、と言いたい。
わりあいいろんな意味でセレブを主人公にすることが多い作者の作品の中で、この「自殺願望」は異色である。自身も成功者である作者がどういう気分でこういう設定をし、書き進んだのかはよくわからないけど、(こういう言い方はどうかとも思うが)実に迫力があり説得力がある感じがする。
そういうドーンと暗い状態に主人公を置くからこそ、そこから(ある意味)はい上がることがドラマになるのだし、実際、さりげないラスト1センテンスに込められたものが大きくて、僕はこっそり涙ぐんだりしたのである。
ミステリとしては、意外なぐらいすっきりとしたハードボイルド風。ストーリーのすっきりさはむしろマーロウに近いかもしれない。登場人物に味わいがあって、つい読まされてしまう感じも近い。
評価が高い理由が素直に飲み込めた再読であった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
前回借りた本が気に入って、職場の方にもう一冊借りてしまいました。
イギリスの小説は自分にとって相性がいいのだと思います。
競馬界が注目する有名な種馬が行方不明になった。
諜報機関員として活動し、心の闇に苛まれる主人公は、上司の命令で行方不明の種馬の捜索に取り組むことになる。
調べて行くうち、行方不明の名馬は、人物に盗まれてしまったのではないかとの疑惑が生じ始めた。
果たして無事に馬を取り返すことができるのか。
前回よりも若干重めの話。
主人公ががっつり鬱の設定はなかなかにおもしろく感じました。
決してハッピーエンドではないけれど、静かにこころに響くラストの余韻が素晴らしい。 -
主人公のキャラクターがいいですね。
彼を過激にすると、マーティン・リッグスかな。 -
ミステリーは、これがあるからやめられない!
「あの人何が気に入らないの」後ろ姿を見送りながらリニイが言った。
「忙しい一日をすませて、女房が待っている家へ帰るんだよ」
笑いかけて、ちらっと私を見上げた。
「あなたは、自分が口にする言葉の意味がわかっているんでしょうね?」
「たいがいの場合はね」
ディック・フランシス「血統」より
上質のミステリーの条件はいくつあるか、数えたことはないが
思わずにやっとしてしまうしゃれた会話がちりばめられていることは、
絶対に必要条件です。
こんなシーンに出逢うと一気にウイスキーのグラスが空になります。 -
うつ状態の主人公が次第に立ち直っていく。
渋い話なので、普通の時に読むと、え~っと思う。
落ち込んでいるときに読むと、一緒にだんだん引っ張り上げて貰えます。
可愛い女の子との出会いもあります。 -
6−7
今いち…
自殺願望のある主人公。
フランシスにしては珍しい人物造形