メグレとマジェスティック・ホテルの地階〔新訳版〕 (ハヤカワ・ミステリ文庫 HM 16-5)

  • 早川書房
4.08
  • (2)
  • (10)
  • (1)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 75
感想 : 4
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150709556

作品紹介・あらすじ

ホテルの地階で殺された女。判事は第一発見者の男を勾留する。だが、メグレは彼の人生を追う中で、真犯人が別にいると確信する。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • ▼1940年代の、「中期メグレ」。このあたりの時代別考察は、不勉強なんですが(今後の楽しみ)。

    ▼マジェスティックホテル、というのがパリの高級ホテル。そこの従業員バックヤードな部屋で、女性の絞殺死体が。女性は宿泊客。アメリカ大富豪の奥さんだった。
    何人かの容疑者。カフェの裏で働く訳アリの男。その奇妙な同居人の女性。被害者の過去(歓楽街で働いていたいた過去)。華麗な一流ホテルで働く人々の悲哀…。

    ▼現場を知らないお偉いさんの暴走に振り回されながら、いつもどおりぶつぶつとつぶやきながらうろうろしていくうちに、事件の「人生の破局点」のツボを押さえていく…。

    ▼個人的にはメグレ物のなかで「超A級」とは言わないけれど、「A級」のオモシロサでした。早川書房さん、新訳刊行ありがとうございます。是非、続刊を。

  • パリの高級ホテルの地階でアメリカの実業家の妻が死体で発見された。
    発見者の男と話したメグレは、彼と被害者が昔知り合いだったことに気づき……。→

    ハヤカワ文庫さんが今年に刊行してくださっている新訳版メグレ警視シリーズの3作目。
    今作は舞台が高級ホテルだからか華やかな雰囲気あり、ユーモアもあって楽しく読める。
    でも、メグレ警視の市井の人々への優しさは健在。しみじみと読める。暖かくて栄養があってポトフみたいなお話。→

    当時のパリの高級ホテルの裏側が垣間見れるのも楽しい。お供部屋とかあるんだ、なるほどな。
    地階の描写がめちゃくちゃ丁寧で、ピーク時の慌ただしさが目に浮かぶようだったのも良。

    解説でシムノン小説を「これからも〈中略〉たくさん紹介していきたい」とあるんですが、信じますよハヤカワさん!笑

  •  パリの高級ホテル、マジェスティック・ホテルのカフェトリ主任jドンジュは、早朝自宅から職場まで自転車で向かうが、タイヤがパンクしてしまった。着いたのは、いつもより10分遅れの6時10分。普段通りに仕事をし、9時ころ更衣室に行く。そしてそこのロッカーに女性の死体があるのを発見する。
     死んだ女性はフランス人でアメリカの実業家夫人となっていたが、彼女は昔ドンジュと関係があった女性だった。二人の関係を捜査するためメグレはリヨンに向かうが、その間にいくつかの証拠から予審判事はドンジュを逮捕してしまう。釈然としないメグレ。導入はこんな感じ。
     
     「第11章 大団円」で、メグレは関係者一同を集めて犯人を指摘する。真犯人に迫っていくところは謎解きものとしてもとても面白い。そして何気なく書かれていたパンクしたための10分の遅れ、偶然のことだったとは言え、その意味に粛然とさせられた。
     そして本作では何といっても、直接表には出さないものの弱い者に対するメグレの温かな態度が身に沁みる。

     新訳版のメグレもの3作を読んで、すっかりメグレファンになってしまった。解説に、「これからも<メグレ警視>シリーズを含めたシムノンの小説をたくさん紹介していきたい」との編集部の文章が掲載されている。なかなか読めなくなってしまったメグレもの。是非続けての刊行を期待したい。

  • 新訳3作目。
    前2作は暗さが印象的だったが、今作は活気のある職場での殺人という場面もあってか、どこかコミカルに場面が展開する。

    メグレは警視というある程度地位もある立場だけれど、庶民の味方であるという矜持を端々に感じる。事情がある人、人生に苦難がある人への目線が優しい。

    最後の編集部の説明から、メグレシリーズの新訳は30年程出ておらず、本屋に並んでいなかったことを知った。
    今続けて新訳を読める幸運を改めて感じた。
    次作以降の新訳シリーズも応援したい。

全4件中 1 - 4件を表示

著者プロフィール

1903年、ベルギー、リエージュ生まれ。中学中退後、転職を繰り返し、『リエージュ新聞』の記者となる。1921年に処女作“Au Pont des Arches” を発表。パリへ移住後、幾つものペンネームを使い分けながら数多くの小説を執筆。メグレ警視シリーズは絶大な人気を
誇り、長編だけでも70作以上書かれている。66年、アメリカ探偵作家クラブ巨匠賞を受賞。1989年死去。

「2024年 『ロニョン刑事とネズミ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

ジョルジュ・シムノンの作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
クリス ウィタカ...
ミシェル・ビュッ...
米澤 穂信
夕木 春央
アンソニー・ホロ...
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×