- Amazon.co.jp ・本 (393ページ)
- / ISBN・EAN: 9784150712617
作品紹介・あらすじ
目の前の世界をがらりと変えてしまう、不思議で魅惑的なお話を読みませんか?「死の淵にある男が知人の医師に勧められた驚愕の最後」「従順な妻が横暴な夫から受けた仕打ちの行方」「詐欺牧師による狡猾な手段とその結末」「不倫妻が夫を騙す意外な方法」「養蜂家がとった恐るべき行動」-淑女の口づけとみせかけて悪魔の噛みつきのように刺激的。読書の愉悦にどっぷり浸らせてくれる短篇11篇をご賞味あれ。新訳決定版。
感想・レビュー・書評
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#キス・キス #ロアルド・ダール #読了
読書記録
「チャーリーとチョコレート工場」などの児童文学で知られるロアルドダールの大人の為の短編集。ロアルドダールが書く登場人物たちのもつ不可思議な魅力、半世紀前の作品でもひねりあるプロットと上質なブラックジョークに思わず《にやり》口角があがってしまう。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
小学生の時によく読んでいたロアルド・ダール。児童書以外にも書いているのを知らなくて、久しぶりに読んだけど面白かった。ぞくぞくする、人間の闇の部分が全ての話で見られた。児童文学でもグロテスクな表現が多かったけれど、それよりもミステリアスで独特な世界観があるなぁと思った。
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異色作家短編集の文庫。ロアルド・ダールの本は、他に「あなたに似た人」など読んだが、「南から来た人」が特に印象に残っている。
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ロアルドダール3冊目の短編集だが「あなたに似た人」よりも完成度が高いと思っている。「女主人」「牧師のたのしみ」「ジョージイポーギイ」「ほしぶどう作戦」「誕生と破局」など皮肉で残酷で見事な結末のドンデン返し。最後の最後ですべてがひっくり返って景色がガラリと変わる。予期せぬ出来事を存分に愉しませてくれる全11編。
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ロアルド・ダールのブラックでゾクゾクするような色のあるお話が好き。
それは決して綺麗ではない。踏み付けられ、濁り染まった雪の様に。でも思い出してみて、それは元は白い結晶で美しく煌めき放っていたことを。いつだって汚すのは人間なのです。
ジョークを語るのに愛は必要ありません。貴方が私にスペシャルなカクテルを用意して下されば、それで結構。今宵は珍しく時間がたっぷりあるの。乾杯♡グラスの縁にキス・キス♡聞きましょう、貴方のブラックジョークを、この夜が冷めるまで。
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時計の針を止めて頂戴。
私は時を無駄にするのが堪らなく嫌いよ。いつだって私は正確で迅速でいたいの。
貴方の考えていることがよくわかるわ。
だから閉じ込めたの。時間の渦の迷宮へ。
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今夜のお客様は特別なお人。否、猫ともいうわね。
貴方の為だけの演奏会。今宵は何がお好みかしら?ヴィバルディ、シューマン、リスト...リスト?
輪廻転生を信じているかって?私は誰の生まれ変わりかしら。今日は特別な貴方にショパンで乾杯。
暖炉の火がやけに赤黒い。パチパチと。美しきグレー、貴方の腕には1本の赤。
ねぇ貴方達...スフレが焼き上がりましたの。 -
『狂信的な養蜂家、浮気を隠蔽する妻、骨董品をだまし取ろうとする偽神父などなど、一癖ある登場人物に訪れる皮肉で残酷な結末! ブラックユーモアたっぷりで贈る、傑作短編集』
ロアルド・ダールと言えば代表作の「チョコレート工場の秘密」の他、「マチルダは小さな大天才」や「おばけ桃の冒険」など、映画の原作にもなった名作を多数生み出した、いわば児童文学の巨匠とも言える存在です。彼の描く作品は、勇気と知恵を持った子供たちが生き生きと描かれており、頭の固い大人たちへの痛烈な皮肉が魅力でした。
本書はその皮肉を全面に出した、"黒"ダールを存分に味わえる作品集です。ゾッとする悲劇や、ニヤニヤ笑える喜劇など、児童文学では味わえなかったブラックな笑いがてんこ盛りです。 -
新訳版が出たというので、ずいぶん久しぶりにダールを。やはり不思議な品がある。バッドエンドのものが多いのに、どういうわけかいやーな気持ちにならない。とくにこれがいい!というのではなくて、全編に漂う雰囲気を楽しみました。
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その後の展開を想像して「笑う」「痛快さに痺れる」「後味の悪さに震える」といった短編が収められている。「天国への道」と「牧師の愉しみ」が個人的には好み。
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どの話もまったく先が読めない。奇妙な味としかいいようのない、嫌な読後感もあればちょっとしたユーモアにクスっとなることもあり、お得感のある短編集。
私は後味悪い話のほうが好きです。