怪盗ニックを盗め (ハヤカワ・ミステリ文庫 ホ 10-4)

  • 早川書房
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感想 : 12
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  • Amazon.co.jp ・本 (399ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150735043

感想・レビュー・書評

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  • 価値の無いものを盗む。どの様に盗むか、何故盗むかのパターンの短編集その2。

  • 3+

  • 短編集第二弾。3姉妹が持っているかがり玉のどれに当たりが入っているのかをニックがロジックで推理する「木のたまご」が面白かった。
    価値の無いものを盗み続けるところは1作目から変わらずですが、今回は舞台がイタリアに行ったりスイスに行ったりと、ちょっと国際色豊かになった…かな。

  • 『プールの水を盗め』
    叔父であるサミュエル・フィッツ・パトリックの屋敷からプールの水をすべて盗むように依頼されたニック。全部盗む意味は?依頼人リディアの伯母の行方不明事件との関係。

    『聖なる音楽』
    大聖堂のオルガンを盗む仕事。電話での依頼キャロル・アランダーと名乗る依頼人。大聖堂の街に住むオランダー夫人とは別人。オルガンを弾き予定のエルキン医師。医療ミスで訴えられるエルキン医師。原告はオランダー夫人。

    『クリスタルの宝冠』
    ギリシアに近い国ニュー・イオニアの王位継承の証クリスタルの王冠。コリンの案内で下見をするニック。協力者ヴォンダーバーグの正体と罠にかかったニック。

    『怪盗ニックを盗め』
    マックス・ソーラーという依頼人から呼び出されたニック。突然の拉致。船からの積荷目録を盗む要求。殺害された本物のマックス・ソーラー。銃器密売との関係は?

    『ワシの像の謎』
    判事ノーバート・ブレイクが街に寄贈したワシの像。依頼人ハミッシュ・ブレイクとシルク・ブレイク。ヘリコプターでの盗難。ヘリコプターのパイロット・ジミー・クローズの秘密。鷲の影が導く真実。

    『謎のバミューダ・ペニー』
    価値のないバミューダ・ペニー。タクシーから消える乗客の怪談。賭博人アルフレッド・カザーが持つペニー。記者として彼の車に乗り込んだニック。途中消えてしまったカザー。

    『ヴェニスの窓』
    パラレル・ワールドの研究家マイロ・メイスン。パラレル・ワールドへつながる鏡を盗む仕事。所有者はジョルジュ・ランヴァッツィ。タペストリーに隠された秘密。ニックが訪問した直後に殺害されたランヴァッツィ。ヴェニスでニックに近づくサリー・ギルバードとヴィンセント・クロス。

    『海軍提督の雪』
    ラッグ提督の所有地から雪を盗むように依頼されたニック。提督の屋敷にある大砲。雪の下から発見された首の謎。

    『木のたまご』
    遺産を受け継ぐはずの3人の姉妹。それぞれの持つ木のたまごの秘密。依頼人クレアの協力でインドラのたまごを盗むニック。荒された部屋。旅の途中知り合ったロイカーネーム。グロリアとの旅行をしながらの仕事。

    『シャーロック・ホームズのスリッパ』
    スイス・ライヘンバッハの滝付近の宿にあるシャーロック・ホームズが使ったというスリッパを盗むニック。現場の下見後に盗みに入ると消えたスリッパ。殺害された依頼人ジョン・ボノート。

    『何も盗むな』
    毎週木曜日に何も盗むなという依頼。木曜日に開催されるスクラッチの当選発表。依頼人・トーマス・トロッターの正体。どうしても木曜日に盗みを働いてもらいたいローナ・フェリックス。抽選会に使用される箱の中に隠された秘密。

    『児童画の謎』
    学校に展示されている児童絵画を盗むニック。仕事に協力を申し出た。盗み出した絵画と誘拐されたグロリア。ブッカー石油化学と事件との関係は?

  • 「それがおれの仕事だ」ニックが言った。まさにそのとおりだ。ニック・ヴェルヴェットは、並はずれたもの、変わったもの、価値のないものを盗む。現金や宝石や美術品は盗まない。「何を盗むんだ?」
    (「シャーロック・ホームズのスリッパ」より)


    《ニック・ヴェルヴェット》シリーズ第二短篇集。

     またもや怪盗ニックが挑む十二の依頼。
     今作は、プールの水、教会のオルガン、海軍提督の雪、シャーロック・ホームズのスリッパ、学校に貼ってある児童画……。そして、表題作「怪盗ニックを盗め」や「何も盗むな!」といった少し異色な依頼も収録されています。

     前作でも述べましたが、依頼の報酬が二万ドルです。当時の日本円にしていくらか分かりませんが、金持ち(富豪や裏の人間など)でしか払えない値段設定なのは明白です。段々と読み進めているうちに、ニックの貯金はおいくらなのか気になりました。かなりの高額なのでは。……いや、野暮ですね。
     場合によっては、二万ドル以上のお金を稼ぐこともしばしばあります。
     また、一銭も稼げない依頼もありました。失敗はニックには似合わないですが、あれはどうしようもなかったでしょう。まさしく、ハイリスク・ハイリターンな世界だということが認識できました。ニックだって生身の人間だもの。

     また、全作にも共通しますが、ニックはただ盗むだけではなく、自分自身の危機を回避するために「推理」もします。(運任せやあてずっぽうの時もなかったといえば嘘になると思いますが。)
     その「推理」は、依頼人に出し抜かれないため、出し抜かれたとしても最小限に留めるため、依頼人や危険人物に対しての駆け引きに使うため、と用途は様々です。まさしく、ニックの強力な「武器」でしょう。


     それらを含め、ニックにはさらなる盗みを働いてほしいです。まだまだニックへの奇想天外な依頼に興味を覚えます。今度は何を盗むのでしょうか。気になります。

    (百石)

  • 短編集です。
    高価なもの、価値のあるものは盗まないという泥棒の話。ちなみに報酬は一律2万ドル!かなり高そうですが、なかなか繁盛しているようです。
    さて、この本に収録されているもので、ニックに盗んで欲しいと依頼されたものを列挙してみると・・・“プールの水”・“雪”・“木のたまご”・“シャーロック・ホームズのスリッパ”・“児童画”等々・・・。更には“何も盗むな”という依頼もありました。
    どうやって盗んだらいいねん、とか、なんじゃこりゃ?!という依頼ばっかりですが、それぞれに深い理由や事情があり、背後には大きな事件が隠れていたりして、怪盗ニックは盗むだけじゃなく謎解きもするハメになるのです。意外なストーリー展開で、面白い作品でした。

    ところでこの作者、1000編近い短篇を書いているそうです。スゴイです。尊敬します。普通のショートショートより難しそうなのに・・・!発想力が豊かなんですね。羨ましい~・・・。

  • 金銭的価値のないものしか盗まない怪盗・ニック・ヴェルヴェットを主人公とした連作短編集。
    ニックの盗むものは金銭的価値のないものに限られるので、筋の面白さはニックが依頼品をどうやって盗むのか、また何故依頼人はそれを欲しがるのか、にかかってくる。
    あまり色々考えず気軽に読めた作品だ。個人的に気に入ったのは「プールの水を盗め」と「聖なる音楽」。

  • 短編集ってことでなんとなく買った本。
    2万ドルの報酬でどんなものでも盗んでみせる、ただし無価値なものしか盗まない主人公がいろんなものを盗む話。
    なぜ依頼人は無価値なものを盗んで欲しがるのか、の背景はそれぞれ結構面白かったけどニック、ピンチにならなさすぎです。拳銃つきつけられても冷静そのものなもんだから盛り上がりにかけがち。
    どうなのかなあそれ…。

  • いやあ相変わらず面白い。価値の無いものしか盗まないニックが依頼人の「何でそんなものを」と言いたくなるようなものを鮮やかに盗み出す、だけでなくその依頼人がなぜそれをほしがるのかまで推理するれっきとした短編ミステリ。まあどれもこれもとんでもないもの盗ませてその方法もトリッキーで。とりあえず読んどけば間違いなし。

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