- Amazon.co.jp ・本 (318ページ)
- / ISBN・EAN: 9784150735050
作品紹介・あらすじ
二万ドルの報酬で価値のないものだけを盗む怪盗ニックに、フランスで撮影中の映画の小道具に使われている、ゼンマイ仕掛けのネズミを盗んでほしいという手紙が届いた。一個一ドルもしないガラクタに大金を払う人物の真意とは?おもちゃのネズミを盗む好短篇をはじめ、バッキンガム宮殿の七羽の大鴉やマフィアの親分の飼い猫など、謎に満ちた盗みの注文に世界を駆けめぐるニックの冒険の数々。全十篇を収録した第三短篇集。
感想・レビュー・書評
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シリーズ1作目「怪盗ニック登場」、2作目「怪盗ニックを盗め」に続く3作目。
ニックは価値のないものしか盗まない、という泥棒。
報酬は一律2万ドル。
パターンとしては、ある人物が電話や手紙、直接会うなどしてニックにあるものを盗んでほしい、と依頼するところから始まる。
なぜそんなものを?、というものばかりだけど、ニックは理由を聞いたりはしない。
盗むにあたって必要な情報だけを聞く。
で、すぐに仕事にとりかかる。
一見価値がなさそうだけど、依頼者にとっては価値のあるものなわけで、その理由が盗みと並行して見えてくる、というわけです。
ちなみに、今回の「怪盗ニックの事件簿」でニックが依頼されたものを列挙してみると、
映画の小道具のおもちゃのネズミ、終わってしまったミュージカルの切符、クラブのテーブルの上にあるライオンの置物、七羽のからす、マフィアのペットの猫、昔のサーカスのポスター、ある女子大生の家族写真、昨日の新聞、銀行家の灰皿、石鹸――という感じ。
設定と構成にひねりがきいていて、それでいて大げさな感じがなくスマートでとてもいい。
ニックが普通の人っぽいところもいいですね。
それぞれが一話完結の短編になってます。
読みやすくて面白いですよ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
3作目もいつもと同じパターン。もう少し間を空けて読めば良かったかも。女泥棒は出て来なかった。
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3+
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安定して面白いですなぁ。海外のミステリドラマみているように毎話楽しませてくれます。グロリア、ステキですな。
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盗むような価値のないものを、大金で請け負って盗む怪盗ニックの活躍を描く短編集の3冊目。最初の2冊もとっても楽しく読んでいた。だって、250万円払って、「昨日の新聞を盗んでくれ」とか、「映画の小道具のネズミを盗んでくれ」とかいう依頼人がいるとしたら、もうそれだけで謎である。価値がない割に案外盗みにくかったりするターゲットをいかに手にいてるかって言う興味もあるが、なぜそんなものを盗ませたがっているのかっていう謎もあって、それがなかなか面白い。結果的に犯罪の犯人捜しになっていく物語もあって、それもなかなかいい感じである。
もともとこのホックという作家は、実にうまいトリックメイカーであり短編ミステリの名手である。その中でも、このシリーズはわかりやすくて気持ちよく読める作品ばかりだと思う。特にこの短編集は、3冊目ではあるけれど、逆に初期のものを多く選んでいるようで、ますますシンプルで面白い。お勧めである。
2004/9/22 -
怪盗ニックの短編集第3弾。
今回、とうとう同居中の恋人・グロリアに正体がバレてしまいました。・・・しかし13年間もバレなかったことの方が奇跡っぽい気がします。だってニック、本名のまま仕事をしてるし、顔も隠さないし、かなり(裏の業界では)有名人らしいんですもん。
さて、今回は全10篇。
相変わらず、価値のないモノの後ろに思いもかけない事件や企みが隠れていて、面白いです。この作者さん、本当に発想がユニークだなあ。
なんかもう、どの話が一番良かった!と挙げることが出来ません。
代わりに盗むように依頼された品を列挙してみます→ゼンマイ仕掛けのおもちゃのネズミ、すでに講演の終わった劇場切符、バーの置物(ライオン像)、7羽の大鴉、マフィアの飼っているトラ猫、古いサーカスのポスター、ある家族のポートレート、昨日の新聞、銀行家が持っていた取り立てて特徴のないガラスの灰皿、使いかけの石鹸。
・・・ね?
ここからどんな事態が展開するのかなんて、想像もつかないでしょ? -
相変わらず高水準。何を盗むか、なぜ盗むか。それらが最後に綺麗にまとまるあたりやっぱすごいし面白い。手際もよければネタも良い。これだけの量をこの水準で量産できるってのも信じられないなぁ。
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普通の人は欲しがらないものを盗む怪盗ニック・ヴェルヴェットのシリーズ第3作。