- Amazon.co.jp ・本 (361ページ)
- / ISBN・EAN: 9784150739614
作品紹介・あらすじ
雪に閉ざされたニューヨーク州スパータの町は、殺人鬼HOGの凶行に震え上がった。彼は被害者を選ばない。手口も選ばない。不可能としか思えない状況でも、確実に獲物をとらえる。そして巧妙に事故や自殺に見せかけたうえで、声明文を送りつけるのだ。署名はHOG-このおそるべき連続殺人事件解決のため、天才犯罪研究家ニッコロウ・ベネデッティ教授が乗り出した!アメリカ探偵作家クラブ賞に輝く本格推理の傑作。
感想・レビュー・書評
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おもしろかった!
事件の解決自体もさることながら、HOGの意味がわかる最後の一行に衝撃。しばらく忘れられなさそう。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
分かってみればどうということもないのに、それに思い至らないのが悔しい。荒唐無稽な不可能殺人に見えて、ちゃんと伏線も散りばめられている。
HOGの真相も見事。事件そのものより、名前の理由の方がガツンときた。 -
地方都市で起きる連続殺人。町中の人間を殺すと挑戦状まで送りつけてくる犯人の名前はHOG。警察は世界一の頭脳、ベイネディッティ教授に調査を依頼する。1979年の作品で、警察に挑戦状を送ってくる挑発的なテロ野郎!の先駆けであり、ラストまで手に汗握ったすえに、どんでん返しの意外な犯人という本格ミステリ、サスペンスの金字塔。この本は本当に凄い。
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どう考えても事故死あるいは自殺にしか見えない巧妙に仕組まれた連続殺人事件。被害者同士のつながりはまったくなく、共通する関係者もいない。捜査陣をあざ笑うかのようにHOGと名乗る犯人から毎回送られてくる犯行声明。というような不可解状況をどう解決するかということなのだが、こういう無関係な連続殺人は有名な前例があるので、あああれかと想像がつく。しかしそれにしても個々の事件には謎が多すぎて合理的な解決は難しそうだ。はたして人智の及ぶところなのだろうか...。そこに解答があった。なるほど、こういうのは確かに新機軸かもしれない。わかってみれば、これだけのバリエーションがそう都合よくいくかいなというものだが、最初の標識切断個所の謎なんかうまくはまってると思う。難点は探偵役のベネデいやベイネデイッティ教授があまり魅力的でないこととほとんど活躍していないところか。
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雪に閉ざされたニューヨーク州スパータの街は、
殺人鬼HOGの恐怖におののいていた。
手段を選ばず、被害者も老若男女問わない。
事故や自殺にしか見えないような状況に見せかけ、
手がかりを一切残さず凶行を重ねるHOG。
警察も手をこまねくこの連続殺人事件を解決するため、
天才犯罪研究家ニッコロウ・ベネデッティ教授が
スパータの街に呼び寄せられ、
彼の弟子であるジェントリイらと共に捜査に乗り出す。
アメリカ探偵作家クラブ賞に輝く、本格推理の傑作。
原題「The HOG Murders」。
かなり有名な作品だと思う。
名前だけは知っていたが未読だったものを、
たまたま店頭で見かけて購入した一冊である。
「事故死や自殺に見えるような状況を巧みに作り上げ、
手がかりを残さず犯行を繰り返していく殺人犯」
という非常にユニークなアイディアが核となっている。
読み始めてすぐ、この設定を知ったときは
具体例を挙げるなら殊能将之の「黒い仏」のような
とんでもない作品かと勘繰ってしまったのだが、
この作品のオチはそういった方向性ではない。
だが、この設定で合理的な解決をつけようとしたら
これしか方法がない、というようなオチなので、
たいていの人はかなり序盤のほうで真相に気づくだろう。
真相が容易に読めるかどうかは
ミステリの面白さには無関係だと思っているので
この作品がつまらないと言いたいわけではない。
むしろ僕はとても面白く読めた。
まず、「アクロイド殺し」がそうであるように
こういったタイプの作品を考えついたというだけで
歴史的に非常に意味がある作品だと思う。
近年のミステリに似たような作品があるが、
おそらくこの作品の影響を少なからず受けているだろう。
また、キャラクターが皆個性的なのも良かった。
「キャラが立っていた」ということであり、
キャラが立っている作品というのは、
登場人物たちの会話を読んでいるだけでも面白いものだからだ。
また、ラストの一文(HOGという名前に関するオチ)も
「なるほど」と思わず納得させられるうまいオチだった。
ミステリマニアにとっては必読の書だろう。
それ以外の人が読んでも楽しめるとは思う。
書店でふと見かけたら、手にとってみてもいいかもしれない。 -
謎の殺人者HOG、味のある名探偵ベネデッティ。驚きの真相。本格ミステリ好きにはたまらない一冊。