死の味 上 (ハヤカワ・ミステリ文庫 シ 1-8)

  • 早川書房
3.75
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本棚登録 : 60
感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (383ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784150766085

感想・レビュー・書評

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  • 相変わらず、世界観に入り込むまでには時間がかかるが、一度入れれば冗長な展開も全く気にならない稀有なジェイムズ作品。
    レビューは下巻にて。

  • 非常に良かった。

    最初に登場した老婆と子供の遺体発見者たちの
    その後の暮らしが描かえれていたのも良かったし、
    被害者の家族、準男爵家のごたごたもどんでん返しも良かったし、
    刑事たちの私生活や感情が程よい割合でまぶされているのも良かった。

    終わりの方になって新たな事件関係者が投入されると、
    そこまでの展開や捜査との必然性が感じられなかったり、
    重要な証言はするもののただの通りすがり的な人物で
    やっつけ感がぬぐえないが、
    この作品に登場する重要証言者は、
    自然な流れで、人物像にも好感がもてて良かった。

    (下巻へ続く)

  • 本のタイトルは衝撃的だが、なかなかの内容で読み応えがある。ある日、協会である議員とホームレスのおっさんが首をかっ切られて死んでいるのが見つかる。そこから関係者の聞き取り捜査が始まるが、いろいろな人の事情、生活、考え方がどんどん明かされて行く。このような展開はよくある話であるはずなのだが、一味も二味も違う。場所の描写も美的と言えるほど目の前にその状況が広がる。東野圭吾ともまた違う味わいだ。

  • 感想は下巻で。

  • ミステリーの構文を用いた純文学みたいな作品。
    骨肉の愛憎の深淵、生きるということ、親子とは… 複雑に絡み合った人間の心の闇を丹念にえぐり出す名作。

    映画「女優フランシス」なんかもそうだけど、家族関係から来る心の病巣は、人にとって人生の根源に関わる重大なテーマだなと思う。

  • 凡作。

  • 本作から文庫本で上下巻による分冊刊行。ちなみにポケミス版は1冊だが、昨今よくある活字を大きくしたり、1冊の分量しかないのにわざわざ分冊にして浮利を得ようとする水増し分冊ではなく、上下巻に値するボリュームを持った作品である。つまり先にさんざん「疲れた、気が滅入った」を連発していた『黒い塔』よりもさらに分厚い作品なのだが、これは非常に面白く読めた。

    本書の舞台は教会。教会の中で見つかったのは2つの死体。一人は元国務大臣ベロウン卿。もう一人は浮浪者ハリー。この奇妙な組合せの死に隠された謎を追うのがダルグリッシュなのだが、本作ではダルグリッシュだけではなく、彼の部下と共にチームとして捜査に当たる。今までの作品ではほとんどダルグリッシュの単独捜査だったのだが、よくよく考えるとこれは非常におかしく、現実味がない。それを実現させるためにジェイムズはダルグリッシュが休暇中に訪れた場所で事件に出くわすという手法を採っていたわけだが、仕事でも殺人事件に追われ、休暇でも殺人事件に出くわすということにさすがにジェイムズも無理があると思ったのだろう。しかもダルグリッシュは警視なのだ。どちらかと云えば署に居て、部下に指示を出して捜査を進める指揮官的立場なのに、自ら現場に出向いてしかもあわや一命を落とすという危難に逢ったりする、よく働く警視なのだ。
    で、今回はこれが非常に功を奏している。特に部下のうち、女性警部のケイト・ミスキンはどこかコーデリア・グレイを思わせるキャラクターであり、ジェイムズがいかにコーデリアというキャラクターに未練があったのかを匂わせる。この2人が物語に彩りを添え、いつにも増してダルグリッシュのキャラクターに人間くささを感じる。
    (下巻に続く)

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