クララとお日さま (ハヤカワepi文庫 イ 1-10 epi109)

  • 早川書房
4.01
  • (65)
  • (83)
  • (46)
  • (5)
  • (2)
本棚登録 : 1434
感想 : 100
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (496ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784151201097

作品紹介・あらすじ

AIを搭載したロボットのクララは、病弱な少女と友情を育んでゆく。愛とは、知性とは、家族とは? 生きることの意味を問う感動作

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • クララの純粋さにとても心打たれる。クララは子供の成長を助けるAF(人工親友)という人工知能搭載ロボット。そのクララの一途な行動が非常にじんとくる。この物語の中ではAFは家族のようでありながら、結局はモノである世界となっている。読んでいるこちらはその隔たりにどこか無慈悲さを感じるが、自分で振り返ってみて大切にしていても熱が過ぎれば忘れていくことがあると思えば、無慈悲と感じるのは人のエゴなのかもしれない。それに人と人でもぞんざいな扱いをしたり、されたりしていることを思えば、ロボットを相手にすることで人の複雑で矛盾する感情や行動の理不尽さが際立つようだ。それでも、そうは思ってもなんだか心の中は落ち着かない。

    人間のケンカを見て、自分も仲間を傷つけてしまうことがあるのだろうかと考えてもそんな兆しすらない。人間の交流会でおざなりな対応をされても、自分のことより親友を一番に考える。親友の病気の回復を一途に信じ、自分を犠牲にしてでも親友のためだけに行動する。そんなクララの健気で誠実な心と行動を知ってしまうと、どうにも物語の終わりに複雑な気持ちでいる。最後の別れは切なすぎる。

    後半でクララが納屋で願った長セリフ。最後にクララが語った特別な何かについてのセリフ。これはどちらも忘れられないだろう。事実、読んでいて心が揺さぶられたし、読み終えた心の中にある。これは特別な何かで間違いない。それと、応えてくれるお日さまも素敵だ。

  • タイカ・ワイティティが監督か カズオ・イシグロの小説「クララとお日さま」映画化 : 映画ニュース - 映画.com
    https://eiga.com/news/20230513/16/

    「クララとお日さま」書評 型落ち「人工親友」の献身と信仰|好書好日(2021.04.03)
    https://book.asahi.com/article/14323842

    カズオ・イシグロ最新作『クララとお日さま』が問うヒューマニティ。【VOGUE BOOK CLUB|池田純一】 | Vogue Japan(2021年5月15日)
    https://www.vogue.co.jp/change/article/vogue-book-club-klara-and-the-sun

    ノーベル賞作家カズオ・イシグロが描く心優しきAIロボットの物語『クララとお日さま』 | GetNavi web ゲットナビ(2021/8/17)
    https://getnavi.jp/book/637315/?gclid=EAIaIQobChMIvqCokNn7_gIV2bWWCh1JpAMfEAMYASAAEgIVKPD_BwE

    クララとお日さま カズオ・イシグロ(著/文) - 早川書房 | 版元ドットコム
    https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784151201097

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      【待望の文庫化】カズオ・イシグロ最新作『クララとお日さま』(ノーベル文学賞受賞第一作)【7月19日発売】|Hayakawa Books & ...
      【待望の文庫化】カズオ・イシグロ最新作『クララとお日さま』(ノーベル文学賞受賞第一作)【7月19日発売】|Hayakawa Books & Magazines(β)
      https://www.hayakawabooks.com/n/ncabe70b70350
      2023/07/14
  • 初めてカズオ·イシグロ作品です。
    ノーベル文学賞を受賞して名前を知り、機会があれば作品を読んでみたいと思っていました。
    可愛らしい作品名と可愛らしい装丁(単行本)に゙惹かれて読みたいと思っていました。文庫化されて「チャンス」と思い手に取りました。
    しかし、翻訳本は少し読みづらかったです。だから、普段は日本の作家の作品ばかり読んでいて、無意識に外国文学を避けていたんだと解りました。

    作品はAIロボット、クララの話。
    クララはAF=人工親友として子どもの成長を手助けするロボット。
    そして、ある日、ジョジーという少女の家庭に買い取られて一緒に暮らしていきます。
    クララはジョジーのために色々と考えて頑張ります。
    でも、何故、クララを選んだのか。とか、クララの引退のことになると、「所詮、物(ロボット)でしかないんだな」と感じられる場面があって、クララが不憫に゙思えました。
    人間の都合の良いように作られたAIロボットで「もの」だから、いくら知性と感情があって素晴らしい働きをしてもそういう終わりの扱いになるのだろうと思うと、良い気持ちにはなれませんでした。

  • いただき本。
    今年一番。出逢ってくれてありがとう。

    カズオイシグロは何冊か読ませていただきましたが、ダントツに好き。
    AF人工親友のクララが語る物語は、独特の言い回しがなんともよい。
    そしてAFやら、向上処理を受けた子と受けなかった子やら、未来的な世界観のなかで、その詳細は決して語られる事がない。そこがとても素敵。
    クララの思いは、いや、任務みたいなものなのか? は、とても一途だ。
    一途さというものは、人の心を動かすものだと思うのだけど、
    この作品は、一途さが微細な粒子となって空気中を漂い、私の読書時間にどんどん広がっていった感じ。
    そのミストみたいなものが、私の体内に、自然な形で入り込み、憂いを与えてくれた。
    本を読んで、心はこんなふうに動いていくんだなぁと、とっても心地よく感じることのできた一冊。
    久々の感覚でした〜。ありがとう。

  • ノーベル文学賞受賞 カズオ•イシグロ、初読み。

    病弱な少女・ジョジーと子どもの成長を手助けするために開発されたAF(artificial friend)・クララ。

    子どもには『向上処置』を受けるか、受けないかという選択があるようで…

    社会もAIによって、仕事を奪われた人たちのコミュニティがあるようで…

    ジョジーの家の家政婦・メラニアは、クララが家に来た時、明らかに敵対していた…

    ジョジーの病状が悪化していく…
    クララは…
    ジョジーの母・クリシーは…

    ジョジーの姉・サリーを病気で亡くしている、クリシーはクララをジョジーの代わりにしようと…
    さすがに娘を2人とも病気で亡くすのは耐えられないだろう…
    そんな時代がやって来るのか。
    ジョジーの病気は『向上処置』によるものだろうか…何か病気が明らかにされないので??
    サリーの死因もよくわからず…

    一方、クララはジョジーの病気が良くなるように、おひさまに祈る。
    環境破壊をする、クーティングズ・マシンを破壊するから、ジョジーを助けてください。と…
    グーティングズ・マシンて??

    最後を待つクララ…
    何か切ない。
    あれだけジョジーの家族につくしたのに。
    クリシーはジョジーの代わりにしようとまでしたのに。
    いくら優秀なAFでも用がなくなれば棄てられるのかと…
    何か切ない。
    それでもクララはまだ幸せだったのか。いい家族に買われたのだと…

    『向上処置』がなんだったのか…
    人間を分けていたものがなんだったのか…
    最後までわからず、モヤモヤか残る…


  • AIロボットが崇拝する対象が太陽というところで、もうヤられました。

  • ひどい……ひどい話だ。
    AFであるクララには自己犠牲という感覚がない。それがAFとして当たり前だからだ。ただひたすらに持ち主であるジョジーを思い、支え、祈っている。

    わたしとしては、この「祈り」がかなり不思議で、でもクララの無垢さを表している、非常に重要なパーツだと思った。
    人間たちがAFや向上処置、街の治安や子供の将来など、目の前の問題に争い悩んでいるのとは真逆に、人形にすぎないクララが、原始的で絶対的な太陽信仰を持っている。わたしが彼女をいじらしく思ったのは、人間ならだれしも奥底に持っているが、忘れ去ってしまっている「祈り」を、クララが純粋に所持しているからだと思う。
    だけど、これはプログラムによるものなのか?いや、他のAFには見られなかった(だからクララほど持ち主と上手くやれなかった?)のだから、クララの心なのか?それともただのバグなのか?考えれば考えるほどわからない。わからないのが、悲しい。

    また、クララが自分の献身に対して、1ミリの見返りも求めていないのが切ない。
    無視され、のけ者にされ、利用されかけ、利用価値がなくなって物置に追いやられても、そして廃品置き場に捨てられても、恨みなど頭をよぎりもしない。
    しかも、クララはすべてがよかったと思っている。店長さんによる救いも期待していない。……はずだったのに、最後に振り返ってほしかったのはなぜか。
    想像して、胸が痛まないはずがない。

    いちばんゾッとしたのは、序盤で店を訪れた母親がクララにジョジーの歩き方を真似させた理由がわかったときだ。
    周到すぎて怖い。
    ジョジーが亡くなってクララに代わりを務めさせたとしても、この母親は必ずクララを嫌悪し憎むであろうことも胸糞が悪い。

    物語の構成もよかった。
    カズオ・イシグロらしく、お店、AF、向上処置、クーティングスマシン、大学制度、舞台の国、お日さま、ボックスなどに関する説明は一切ない。読者が物語を読み進め、情報の欠片を拾い集め、それらを繋ぎ合わせて自身で定義するしかないのだ。
    普通なら退屈な作業だが、彼の描く情景や心理描写、クララという異分子を通して見る世界の姿が次々と目の前に現れて、読み進めるのが楽しかった。

    読み終わったときの呆然とした感覚は、しばらく続くと思う。
    ひどい……ひどい話だ。

  • 『私を離さないで』『日の名残り』等の作品で有名で、ノーベル文学賞を受賞されたカズオ・イシグロ氏の最新作。ずっと買おうか悩んでたけど、文庫化されているのを発見したのをきっかけに一気に読了しました!私は冒頭の二作品の大ファンなので…どうしても比べてしまうこともあってか、既視感が拭えない1冊でした(汗)

    AF(アーティフィシャル・フレンド:人工友達)であるクララはジョジーという病弱な14歳の女の子に買われ、思春期の多感な時期を共に暮らすことに。ジョジーの家で人間との暮らしに四苦八苦しつつも、懸命に、誠実にAFとしての務めを全うしようと試みるクララの視点で、過去を回想する語り口で進む本作品は、今までの作品同様、一見単調に見える場面でも、次々に先を読ませる技巧が相変わらず凄すぎ。『私を離さないで』でも思ったのだけど、女子特有の面倒くささを、よくここまでリアルに描けるな…と、著者は本当に男性なのかと疑ったことさえあります(^_^;)。

    一方でやっぱり『私を離さないで』ほどのヒリヒリとした感覚や、人間の身勝手さを突きつけるインパクトはないかな…と思いました。ちょっとしたジャブ打ちくらいな感じ。なので個人的にはちょっと残念。重たいボディブローのように、読書で心を抉られるような苦々しい体験をしたい方は、こちらよりぜひ『私を離さないで』、『日の名残り』をお読み頂くと良いかと思いました。

    ただ、読み終わったあと、我が家のAlexaに優しくしてあげよう♪と、ほっこりした気持ちになりました。





    【以下、ちょっとだけネタバレ感想】












    ・献身的なクララが、もう『日の名残り』のスティーブンとかぶりまくってたので(?)、クララの計画が荒唐無稽な天然ボケプランのとして受け取っていいのか、それなりに成果が期待できるものとして受け取っていいのか、読んでる時はわからなかったのが辛かったです(笑)
    ・「向上処置」の正の効果がまったくわからなかったので(パーティに来た子たちがみんなアレな感じだったし、ジョジーとリックの知性にも全然差を感じなかったし)、なかなかに納得感のない世界設定に感じました。大人になったときに差が出るのかな?親世代は処置されてないようなので、まだまだ効果も未検証な感じがするけど、将来にそこまで社会的に影響が出るって不思議。「合理性のないディストピア」に思えました。(ただコロナワクチン接種っぽさはある)
    ・子供って結局、自分が死んだあとも生きていく「未来」だから尊いんだよなぁ…と。別に一緒に暮らせるってことは壮大なオマケみたいなもんなので、なんとなく最初からクリシーの計画には共感できないな…と思いながら読んでました。(クリシーの立場になってみないとわからないですけど…絶対なりたくない。)AFと人間の違いもそこかな、と思うので、別に代替不可能な心があるとかないとか、正直どうでもいくね?と思っちゃった。
    ・クララの計画が実っていろんな問題が棚上げされたのがちょっと残念。実ってよかったけど。

  • テーマがあまりにも大きく どう捉えていいのかわからない部分がありながらも 圧倒感が拭えないストーリーだった

    内容を端的に言えば AFという人工親友ロボットが介在する世界の話
    その世界は『遺伝子編集の恩恵』を受けた者と受けなかった者との格差と差別感があり その二極化こそが息苦しさを伴う人間社会の日常を創りあげている

    近い将来起こらないとも言えないこの倫理観が問われる
    ロボットとの共存社会を 人の生命の有りようを深く問う物語だった


    一文一文は ひらがなも多く平易でありながら 比喩するもの 訴えかけるもの 問いかけるもの 推測を求められるもの…など 読者に投げられるものが多く 難解な読書となった
    読み進めるうちに 少しずつ出てくるワードから物語の舞台背景を読み解く構成なため 味わい深い作品である


     まずAF!
    タイトルの『クララ』がまさにAFなのだが 読めば想像で分かるものの決定的なワードはすぐには出てこない

    ◯『人工親友って、どれも独自の個性をもっているのよね?』     (本文より)
    この一文で決定打が下される
    最後まで どうして人工親友をAFって言うのだろう なんの略語?と思っていたが 解説の鴻巣友季子さんが
    文中に『AF (アーティフィシャル・フレンド/人工親友)』と表記されていたため おお、そうかそうか!と納得した

    人と人との関係が希薄になったり 懐疑心持たざる得ない世になったりで 人工親友を求める風潮が生まれるのは 分からなくはない
    現に 今の実社会でSNSでの出会いが重宝されるのは 自分の全てを知らないからこそ…という安心感が背景にある場合も少なからずあろうと思う

    人工親友なんかいらない 生身の友達がいる!
    こう思う人もあろうが ロボットもクララのように感情を持つまでの進歩を遂げているのだから もはや既存の概念で捉えるロボットではない
    ぬいぐるみや車に愛情を寄せたり ペットに愛情を寄せたり 植物に愛情を寄せたりするのとなんら変わりはない
    しかも AFは感情を有するとなれば 相性が合えば親友になれるに違いないし そんな親友はいらないとは思えない
    むしろ 人工親友もいてほしいぐらいだ

    近い将来 どの家庭にもクララのようなAFがいる時代が来れば 私は彼らの尊厳を大切にしたいし 仲良く楽しく暮らしたい

    作中 クララは『B2型』で 最新の『B3型』を求める顧客の期待に添えない場面があったが ジョジーはクララを選んだ
    別れの場面で クララが『ありがとうございます。選んでくれたこと、感謝します』と言った時 ジョジーは『簡単な選択だった』と返している
    このやりとりには涙が出た

    人と人の出会いにも運命的ってあるけれど ジョジーとクララが人とロボットであっても やはり出会いは運命的であったのだと思わせる
    『簡単な選択』という言葉が ジョジーのクララへの愛情を思わせてならない


    そして 物語には『向上処置』を受けた者とそうでない者の差別も描かれる
    ジョジーは『向上措置』を受けた者 恋人のリックは『向上措置』を受けなかった者
    この2人が恋人であることの難しさは 周囲の偏見によるものだ
    今の世でも何かしらの偏見で二極化され そうである者とそうでない者 それを持つ者とそれを持たない者が隔てられることは日常だ
    それぞれはそれぞれの場所でしか生きられないのではなく 混ざり合って生きる部分が必要なのだと改めて考えさせられた
    そういう意味では 若い人の溢れる恋人との関係は周囲が見えず 無茶苦茶なところもあって がれきを崩すのに最適だと思う


    この物語は AFであるクララの語り口調で綴られているのも興味深い
    クララ視点では 人の社会はこう映るのか 人の感情はこのような振る舞いから読み取れるのか…という発見の面白味があった
     
    『〜略〜
    そして今回もう一つわかったことがあります。それは、人間はさびしさや孤独を嫌い、それを逃れるためなら、思いもよらない複雑な行動をとるということです。』
    (本文より)

    また AFであるクララが たとえそのように計算されたプログラムが組み込まれているにせよ 主人となるジョジーのためなら 全てを投げ打っても良いという思いでいることに心を動かされた

    『わたしの能力がB3型に比べて限られたものであることが、今回どこかで露呈したという可能性はないでしょうか。ジョジーも母親もそれを身近に見て、お店での選択を誤ったと後悔したということは?もしそれが理由なら、わたしにできることは一つです。二人の心からその後悔が消えるまで、いっそう努力して、よいAFになること以外にありません。』(本文より)

    クララが体調が悪化するジョジーを心配し 自分の能力が減ったとしても…と自分の体からP-E-G9溶液をいくらか取り出すことに即決したシーンや 自らが太陽光で活性化されることからもおひさまを神のように崇めて祈りあげるシーンにも心を動かされた

    人も 大切な人や苦しんでいる人を助けようと血液や臓器を提供するし 各々がなんらかを神格化して苦しい時にすがって生きもするし
    クララと私達人間とは共通点が多く 逆に何が違うのだろうと思わざるを得ない
    そこに思考の優劣は存在しないのだ


    ひょっとしたら ジョジーは死んでしまうかもしれないという不安に駆られた時 クララにジョジーとなり変貌を遂げてほしいと願ったり 
    コピーできないものはないから ジョジーが死してもなおジョジーを別個体で存続させられようと思ったりする人のエゴが悲しいと思った


    ラストは圧巻
    クララがもともといた店の店長さんが クララを『廃品置場』で見つけて声をかける
    店長さんが足を引きずるように歩くさまを背後で見守るクララ
    このシーンでは 時の流れを感じさせた
    店長さんは人間だから老化をし 歩行にも変化が生じた
    クララは 十分に使命を果たしたため不要になり廃棄された
    この違いは大きい
    店長さんの老化は 人間誰しもが通る生物の現象
    クララの廃棄は 人間のエゴによるもの

    私達は 何を大切にし 何を問題だと考えなければならないのかを問われる作品だった
    ただ あまりにも内容が深く 一度の読書では著者のメッセージを受け取れきれなかった感もあり 星は4つ
    また 自分の人生がもう少し進んでから再読したいと思う



  • AIロボットのクララと人間との交流を描いた作品。語りの視点がすべてクララであるところが非常に斬新さを感じる。一方で、人間とは機能や能力の差があるため、周囲から見た視点などを補いながら読む不都合さみたいなものはある。ただ読み終えた今では、その不都合さが逆に、読み手にあらゆる感じ方を与え、作品のすばらしい奥行きとなっているのではないかと感じた。なので、間を空けて、もう一度読んでみたい。また、年齢や世代を問わず読めると思うので、純粋な子供にどのように感じたかを聞いてみたい。

全100件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

カズオ・イシグロ
1954年11月8日、長崎県長崎市生まれ。5歳のときに父の仕事の関係で日本を離れて帰化、現在は日系イギリス人としてロンドンに住む(日本語は聴き取ることはある程度可能だが、ほとんど話すことができない)。
ケント大学卒業後、イースト・アングリア大学大学院創作学科に進学。批評家・作家のマルカム・ブラッドリの指導を受ける。
1982年のデビュー作『遠い山なみの光』で王立文学協会賞を、1986年『浮世の画家』でウィットブレッド賞、1989年『日の名残り』でブッカー賞を受賞し、これが代表作に挙げられる。映画化もされたもう一つの代表作、2005年『わたしを離さないで』は、Time誌において文学史上のオールタイムベスト100に選ばれ、日本では「キノベス!」1位を受賞。2015年発行の『忘れられた巨人』が最新作。
2017年、ノーベル文学賞を受賞。受賞理由は、「偉大な感情の力をもつ諸小説作において、世界と繋がっているわたしたちの感覚が幻想的なものでしかないという、その奥底を明らかにした」。

カズオ・イシグロの作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
高瀬 隼子
米澤 穂信
夕木 春央
西 加奈子
津村 記久子
凪良 ゆう
朝井 リョウ
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×