- Amazon.co.jp ・本 (207ページ)
- / ISBN・EAN: 9784151837012
作品紹介・あらすじ
標的であるボスの妻に恋をした瞬間、殺し屋の運命の歯車は狂い始めた……クリスマス前夜のオスロを舞台に描かれる、愛と血の物語
感想・レビュー・書評
-
詳細をみるコメント0件をすべて表示
-
クライム小説だからしんどくなるかと覚悟していたけど全く予期していなかった美しさに今頭がボーッとしている。
美しさって、タイトルにも見られるような色彩のコントラストもそうだけど、人間の心情やオーラヴが無意識に話を彩っている詩的で繊細な表現まで全部。
主人公(ちなみに殺し屋)がカッコいい…じゃなくて、ここまで惹きつけられたのも結構久しぶりな気がする。
それでいて、孤独。
最初は孤高の印象が強かったけど、後半にかけて孤独な魂がオスロの街を彷徨っているように見えてきた。
話自体もどんでん返しの連続で主人公はどう巻き返すのかと都度想像するのが楽しい。
思い起こせば数多くのコントラストを作中で見た。純朴なマリアに艶やかなコリナ。雪に閉ざされた街に一見不釣り合いな派手な派手な殺しのシーン。墓地とクリスマス仕様に身を包んだ街。虚無へと突き進む一方で、孤独な魂には愛が宿っていく。
「雪だるまは(中略)石の口でうつろに笑い、小枝の腕でこの腐った世界とそこで起こるろくでもないできごとをことごとく抱きしめたがっているように見えた」
そして「これで良かったのかも」とこれまた久しぶりに納得できるラストがそっと手を広げて待っている。 -
短いということもあり、息つく間もなく物語が進む。
お母さんとの思い出を軸に、主人公が一目惚れしたふたりの女性とのやり取りで進んでいく。
なんというか、一回読んだだけではその味がわからないような、そんな物語だった。
洋の東西を問わず、女性って聖女か悪女かなんだなあ。
雪の街の凍える、そして暗い光景が見えてくるお話でした。 -
主人公が、識字障害の文学青年ただし殺し屋ってのがなんともロマンチック。
クリスマスストーリーかっていわれたら、その感はイマイチかも。登場人物誰一人報われないから。 -
なんか最後がよく分からなかった。登場人物が多くてどれが誰のセリフなのかいまいちうーんって感じ。読んでから時間が経ったからはっきりとは覚えてないけど、最終的に誰も幸せにならなかった気がする。
-
この作品は、内容的にはノワールといったところで、殺し屋の物語。
オーラヴ・ヨハンセンという殺し屋の一人称で語られる物語であるのだが、正直なところ、初っ端で彼が殺し屋をしている理由について、「おれにはできないことが四つある」と語りだしたことにはうんざりさせられた。
そんなことグチグチ言われてもと。
ただ、話が進むにつれ、意外な展開を見せ、それなりに飽きさせずに惹きつける物語となっていることに気づく。
読み通してみると、それなりに読み応えのある作品であったと。
何やら、妄想癖が強い主人公であったという感じであるが、その妄想が、物語上大きな役割を占めていることに感嘆させられる。
例えどのような人間であれ、個人的に妄想に浸ることは自由ではないかと。
そんな感想を抱かされる作品であった。 -
2023-10-03
大変映画的。一人称の語りも効果的だし、映像的な美しさ、どうにも出来ない切実さ、文章でしかありえない仕掛けが相まって、なんとも言えない読後感が残る。
映画化されていないのが不思議と思う一方、これを映画化するには大きな困難が伴うとも感じた。
いいものを読んだ。紹介してくれたNo6PUMPさんに感謝。 -
中編だけど、映画1本観終わったような余韻に浸れる。
-
ジョー・ネスボを知った最初の一冊。
オーラヴのアンバランスな人物像と、世界観にぐっと惹き込まれる。
文章が美しく、最後はぼうっとするような余韻に包まれた。