捜索者 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

  • 早川書房
3.51
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本棚登録 : 475
感想 : 50
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  • Amazon.co.jp ・本 (688ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784151850011

感想・レビュー・書評

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  • 自然と人物が丁寧に描かれ、ゆっくりと時間が過ぎて行く。事件そのものは単純で、それ以外のあっと驚く結末を期待したが、定位置に着地した感じ。
    が、主人公と依頼者が徐々に信頼し合い絆が生まれていく様は、読んでいて気持ちがよかった。








    女の子にする必要があったのかということと、デスク修理の描写がやけに細かくこだわっている割には私には映像が浮かばなかったことが、ちょっと難点。

  • 登場人物が丁寧に描かれ、アイルランドの村の自然と共に静謐な筆致で物語が語られていく。穏やかな中にも謎と伏線は張られ解き明かされていく、その過程にも無理がなく、好感。

  • 2022/05/24

  • 映画「ウィンターズ・ボーン」を想起する小説だった。紹介文にある犯罪小説というより、心理描写に拘ったハードボイルドと言った方がしっくりくるかも。地味な事件をじっくりと丹念に描く派手さの欠片もない作風(褒め言葉)は実直で、アイルランドの自然が醸し出す静謐な情景も魅力的だが、如何せん起伏に乏しく、筋書きのシンプルさに反して物語が冗長過ぎる印象は否めない。然しながら、その過程あってこそ、静かな余韻の残る結末に仕上がっている気がする。村社会に蔓延る閉塞感や非情な現実への諦念など、人生の悲哀を真摯に描いた良質の作品。

  • アメリカ人の元警察官のカルがアイルランドに移り住みそこで出会ったトレイという子供。兄を探してほしいと依頼され少しずつ調べ始める。カルとトレイの交流がまず良くてそれだけで読む価値がある。その交流の中に徐々に漂い始める不穏な空気。トレイの兄はどこにいるのか、どうなったのか。派手な展開があるわけじゃなく直接的に犯罪が描かれているわけではないのに犯罪の匂いや不安が物語にずっと流れている。著者の作品をずっと待っていた甲斐がある出来で本当に面白い。

  • ・あらすじ
    アイルランドに移住した元アメリカの刑事が地元の子供に行方不明の兄を探してほしいと依頼され捜査を始める。

    ・感想
    ほぼ700ページ。
    作品によってはあっという間と感じるページ数も今作に関しては冗長に感じてしまった。

    悲惨な境遇だから仕方ないとはいえ子供が好きになれなかった。

  • アイルランド西部の田舎街。豊かな自然や動物たちと、まるで対照的な個性あふれる住民たちで構成された濃密なコミュニティ。そんな中に飛び込んだ元シカゴ市警の刑事。ゆっくりとしたペースで、主人公と「キッド」の関わり、そしてキッドの兄の行方探しが始まるのであった。
    著者が女性というのに最後まで気づかなかったけど、アメリカ在住の娘が長距離電話で主人公にアドバイスするシーンがすごく良かった。
    3.7

  • よそ者だからこそ、何の偏見もなく、主人公はトレイを助けてあげることが出来たのだろう。波風を立てたくないと思う、小さな村の人間達の結束力。良いこととも言えるが、時にそれはしがらみにもなり得る。何も無い村から出て行く為にはお金が必要、意欲はあるが働かせてくれる場所があまり無い。そうなった時、若者は非合法な手段に走ることになり、些細なことから命を喪う羽目になった。まぁ、ただの事故とありふれた悲劇ということで終わってしまうのだろうけど、慕っていた兄を突然喪ってしまった妹からすれば、事故か殺人かは対して変わりが無いのかもしれない。しかし、正義やモラルを見失ってしまったからと言って、死体を放置しておくのは正しいことなのかどうか。あそこでずっと暮らしていくなら黙っていた方が賢明ではあるが、死んだ本人がそれを希望しているかどうかは誰にも分からない。突き飛ばして殺害し、死体を埋めた人間にどうのこうのと推測される謂れはない。少なくとも、お前が言うんじゃねぇよ、と私は思ってしまった。小さなコミュニティの濃密な人間関係というのは、本当に難しい。かと言って都会の希薄なのが好きな訳でもない。個人的に、人間って本当に面倒臭い生き物だ、という結論に達した一冊。

  • SL 2023.12.9-2023.12.12
    離婚し、シカゴ警察を退職してアイルランドに移住したカル。地元の子どもに失踪した兄の捜索を頼まれ捜査を始める。
    ミステリとしては弱いし、やや冗長ではあるけど、美しい自然やカルと子どもの細やかな交流を丁寧に描き出している。

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