- Amazon.co.jp ・本 (688ページ)
- / ISBN・EAN: 9784151850011
感想・レビュー・書評
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登場人物が丁寧に描かれ、アイルランドの村の自然と共に静謐な筆致で物語が語られていく。穏やかな中にも謎と伏線は張られ解き明かされていく、その過程にも無理がなく、好感。
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2022/05/24
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映画「ウィンターズ・ボーン」を想起する小説だった。紹介文にある犯罪小説というより、心理描写に拘ったハードボイルドと言った方がしっくりくるかも。地味な事件をじっくりと丹念に描く派手さの欠片もない作風(褒め言葉)は実直で、アイルランドの自然が醸し出す静謐な情景も魅力的だが、如何せん起伏に乏しく、筋書きのシンプルさに反して物語が冗長過ぎる印象は否めない。然しながら、その過程あってこそ、静かな余韻の残る結末に仕上がっている気がする。村社会に蔓延る閉塞感や非情な現実への諦念など、人生の悲哀を真摯に描いた良質の作品。
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アメリカ人の元警察官のカルがアイルランドに移り住みそこで出会ったトレイという子供。兄を探してほしいと依頼され少しずつ調べ始める。カルとトレイの交流がまず良くてそれだけで読む価値がある。その交流の中に徐々に漂い始める不穏な空気。トレイの兄はどこにいるのか、どうなったのか。派手な展開があるわけじゃなく直接的に犯罪が描かれているわけではないのに犯罪の匂いや不安が物語にずっと流れている。著者の作品をずっと待っていた甲斐がある出来で本当に面白い。
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アイルランド西部の田舎街。豊かな自然や動物たちと、まるで対照的な個性あふれる住民たちで構成された濃密なコミュニティ。そんな中に飛び込んだ元シカゴ市警の刑事。ゆっくりとしたペースで、主人公と「キッド」の関わり、そしてキッドの兄の行方探しが始まるのであった。
著者が女性というのに最後まで気づかなかったけど、アメリカ在住の娘が長距離電話で主人公にアドバイスするシーンがすごく良かった。
3.7 -
SL 2023.12.9-2023.12.12
離婚し、シカゴ警察を退職してアイルランドに移住したカル。地元の子どもに失踪した兄の捜索を頼まれ捜査を始める。
ミステリとしては弱いし、やや冗長ではあるけど、美しい自然やカルと子どもの細やかな交流を丁寧に描き出している。